玄米のびっくり炊きは時短におすすめ!
玄米は普通米より吸水しにくい性質のため、ふっくらと炊くには長めの吸水時間が必要です。しかし「びっくり炊き」という方法で炊くと、特に浸水時間は必要なく、しかも普通に炊くよりもやわらかくふっくらとした食感に仕上がります。
玄米のびっくり炊きとは
玄米のびっくり炊きは江戸時代から秋田で伝われてきた炊飯法です。時間が掛かって面倒だといわれる玄米の炊き方を、より時短で簡単な炊き方にしたものがびっくり炊きです。
「びっくり水」が由来
一般的に小豆や麺などをゆでるとき、沸騰した際の噴きこぼれ防止や仕上がり調整で「びっくり水」と呼ばれる差し水をします。びっくり炊きはこのびっくり水が由来です。
白米のような炊きあがり
びっくり炊きで炊いた玄米は白米のように白く、でんぷんが糊状になりモチモチした食感に炊きあがります。また、おこげを作りたいときは、最後に30秒ほど強火にかけると、こんがりとカリカリした食感が楽しめておすすめです。
デンプンが糊状に変化することを「アルファ化」と呼び、玄米は「アルファ化」することで消化されやすくなります。
面倒な吸水が不要
玄米をびっくり炊きする大きなメリットは、面倒な吸水がいらないことです。また玄米は硬くて消化に悪いというイメージがありますが、玄米をびっくり炊きで炊くと、水に浸さずに玄米の皮がやぶれて簡単に短時間でふわふわに炊けます。
炊飯器を使った玄米のびっくり炊きの作り方
玄米のびっくり炊きは炊飯器や土鍋、圧力鍋、ホーローやステンレスの鍋などを使って作ります。秋田県では玄米のびっくり炊きに土鍋を使っているようですが、今回は使いやすい炊飯器を利用して作ってみましょう。
用意するもの
材料
- 玄米:2合(360mL)
- 1回目の水:約400mL(米の1.1倍)
- 2回目の水:300~360mL(米の0.8~1.0倍)
玄米の炊きあがりは1合でおよそ大人用茶碗の2杯分です。
作り方①玄米を洗う
沖縄に来て、はじめて玄米を洗う水が冷たいと感じる。玄米は、両手で擦り合わせるようにして、何度も水を替え、よーく洗います。このよーく洗うことで、美味しく炊けます。 pic.twitter.com/IdQqU7FVfm
— オーロラ自由アトリエ(出版) & ビオ鍼灸治療院 (@OGaraiguma) January 23, 2016
玄米を軽く水洗いしてザルで水を切って炊飯器に入れます。玄米は精米していないお米なので、ぬかが出ず水はにごりません。洗ったら水に浸す必要はなくこのまますぐに炊けます。
作り方②水を加えて急速コースで炊く
1回目の水を約400mL入れて、炊飯器の「急速」コースで炊きます。玄米が古い場合は少し多めの水を入れてください。
作り方③2回目の水を加えて炊く
玄米ぱちぱち(=゚ω゚)ノ
— まけお⭐️ (@katuoooooo) June 2, 2016
びっくり水入れる前(^-^) pic.twitter.com/hPK0IjMZ15
玄米が炊けたら、2回目の水を300~360mL入れて、全体をしゃもじで混ぜてください。この2回目の水がびっくり炊きのびっくり水です。柔らかく炊きたいときは水の量を多めに、硬く炊きたいときは水の量を少なめにしてください。水を入れたら再度炊飯器の「急速」コースで炊きましょう。
作り方④炊きあがったら蒸らす
炊き上がったら10分ほど蒸らし、全体をよくかき混ぜたら完成です。玄米はびっくり炊きをすることで、普通の炊き方より水分を多く吸収します。茶碗に盛ってみると玄米の量が増えているのがわかりますよ。
他の調理道具を使ったびっくり炊きの作り方
作り方①土鍋を使う
ベジ飯
— ちょび (@vegelovecat) November 21, 2018
ひとりの昼飯
残ってた煮物 粕汁 玄米ごはん
玄米は土鍋でびっくり炊きしたよ pic.twitter.com/9l1M1podab
材料
- 玄米:2合
- 1回目の冷水:450mL
- 2回目の冷水:300mL
- 塩:ひとつまみ
作り方
- 玄米を軽く洗い鍋に1回目の水と塩を入れる
- フタをして中強火で約20分炊く
- 水分が減って香ばしい匂いがするのを確認し、チリチリと音がしたら2回目の水を入れて軽くかき混ぜてフタをし、さらに約15分間炊く
- 火を止めて15分間蒸らす
-
フタをあけて表面にポツポツとあいていたら完成
2回目の水の量は柔らかく炊きたい場合は多めに、硬めに炊きたい場合は少なめにしましょう。
作り方②ホーローやステンレス鍋を使う
材料
- 玄米:3合
- 水:6合(3合×2回)
作り方
- 玄米を軽く洗い、お鍋に玄米と3合の水を入れてフタをし強火で炊く
- 噴きこぼれたら火力を調整し、パチパチと音がして表面に穴があいたら2回目の水を3合いれる
- フタをして再度パチパチと音がして表面に穴ができたら火を止めてしばらく蒸らす
- 10分ほど蒸らしたあと、底から全体をかき混ぜて完成
作り方③ストウブの鍋で作る
材料
- 玄米:2合
- 塩:適量
- 1回目の水:450cc
- 2回目の水:350cc
作り方
- 玄米を軽く洗って水気を切りストウブに入れる
- 1回目の水に塩を入れ、フタを少しずらしながら中〜強火で炊く
- 沸騰したらフタをして弱火にして約20分炊く
- ビシッビシッと音がしたら、2回目の水を入れてフタをする
- 強火で再度炊き、沸騰したら弱火にして20分炊く
- 強火にして1〜2分炊いたら、10分蒸らして完成
人気の「ストウブ」はフランス発の調理器具メーカーで、「ピコ・ココット」が有名です。おしゃれな「ストウブ」でびっくり炊きをすると、そのまま食卓に出せて便利です。
作り方④フライパンで作る
#玄米 びっくり炊き 第二弾!
— kiyon (@kiyopu28) October 18, 2015
お鍋が予約入ってたためフライパンで。
心なしか柔らかい炊き上がりな感じ(^^)それとも、炊飯器で炊くつもりで一時間くらい吸水させちゃったから?
炊きたては、美味しいよ~ん(*´-`)♡#料理日記 pic.twitter.com/HFruSkp7TE
材料
- 玄米:2合
- 1回目の水:玄米の1.2~1.5倍
- 2回目の水:玄米の0.8~1.2倍
作り方
- 2合の玄米はサッと洗い、フライパンに1回目の水と一緒に入れてフタをして強火で炊く
- 吹きこぼれたら弱火にして、フライパンのフタからあふれる泡が消えるまで待つ
- 15~20分後水分が減り、フライパンからピシッ、ピシッと音がしたら2回目の水(びっくり水)を入れる
- 一度全体をかき混ぜてから、弱火にして10~15分炊く
- 火を止めて5分ほどしたら、フライパンのフタをそのままにして蒸らし全体をかき混ぜたら完成
玄米のびっくり炊きの注意点
①水加減と火加減に注意する
玄米びっくり炊きっていうのを試してみた。強火だとすぐ焦げるからネットでみたレシピ通りにいかない。なんどか水を足したり、弱火でコトコトやったり。でもまた焦がして焦げ臭いものができてしまった。火加減水加減がむずかしい。
— しーど (@harapekobaba) May 12, 2018
結局、炊飯器の玄米モードで炊いたら美味しく出来ました😋 pic.twitter.com/NxIROmu6ty
玄米のびっくり炊きに失敗すると、米が柔らかすぎたり硬すぎたり、焦げたりします。その主な原因はびっくり水の量や火加減です。びっくり水の理想的な量は玄米の0.8~1.0倍ですが、慣れないうちはいろいろ調整しましょう。2回目の水加減はとても重要で炊き上がりの硬さに差が出ます。
鍋を使うときは、最初は強めの中火で炊き始めて、その後中火でして最後に弱火にするなど段階的に火加減を弱めにすることで水分が飛びます。
②アブシジン酸の危険性
にがくてあまいすごい良かった( ´∀`)
— かずち (@kzc_of_the_dead) March 11, 2020
料理映画って本当好きだなって思った✨
んじゃ今日も炊き込むぞって事で玄米の吸水開始\(^o^)/ pic.twitter.com/ty8Qq9i8nw
玄米の外皮には冷え性や免疫低下など、人体に悪影響の恐れがある物質アブシジン酸が含まれています。この物質を解毒するには長時間浸水する必要があり、浸水不要なびっくり炊きは危険という説もあるようです。しかし、アブシジン酸は活性酸素の発生をうながすものなので、体に悪いという説が流れたとも推測されています。
玄米と白米の大きな違い
違い①ぬかの有無
玄米と白米の最も大きな違い「米ぬか」があるかないかです。お米は精米されることで、「米ぬか」がそぎ落とされて白米になります。それと同時にお米本来が持っていたビタミンB1などの栄養素や化粧品になるような有効成分もほとんどなくなってしまうのです。
違い②味や食感
玄米は白米のようにもちもちした食感が少なく硬めなので、好き嫌いがはっきり分かれます。しかし、玄米はよく噛んで食べることで消化吸収がよくなり、満腹感が得られやすいです。また玄米を普通に炊くよりも、びっくり炊きするとより白米に近い食感に仕上がることから、白米が好きな人にも向いているでしょう。
玄米のびっくり炊きを試してみよう!
玄米のびっくり炊きは、普通の炊き方よりも簡単に時短でふっくらとした食感に炊きあがります。さらに、家にある炊飯器やお鍋で炊けて、長時間水に浸しておく時間が不要です。玄米はとても栄養価が高く健康的な食材なので、思い立ったときにぜひ作ってみてください。
出典:写真AC