松茸の食べ方③炊き込みご飯
松茸の炊き込みご飯も人気の食べ方です。松茸は繊維に沿って適度な大きさに裂きます。小さく裂き過ぎると食感と香りが弱くなるので、注意しましょう。炊き込みご飯の作り方は普段どおりで結構です。今回はだしに酒、薄口醤油、塩で味付けしてだし汁を作っています。米とだし汁の容積比は、土鍋の場合は1:1.1、炊飯器の場合は1:1が目安ですが、お好みで調整してください。
炊き込みご飯を炊きます。土鍋の場合は、だし汁がふつふつとしてきたタイミングで松茸を上にのせてください。最初から松茸を入れると、香りが抜け過ぎるためです。沸騰したら弱火で12分程度炊きます。最後に強火で6~7秒加熱し、火を止めて8分程度蒸らしましょう。炊飯器で炊き込みご飯を作る場合は、途中で蓋を開けられないので最初から松茸を入れて炊いて構いません。
炊き込みご飯ができあがったら、底から全体をさっくりと混ぜ合わせます。お茶碗に盛って、松茸の香りと食感を楽しみながら味わいましょう。
次は松茸のフライね…。おいしそうだけど、天ぷらじゃないの?
天ぷらだと揚げた後で松茸から水分が出て、衣がべちゃっとしやすいのじゃ。家庭では天ぷらよりフライのほうが成功しやすいかもしれぬぞ。
松茸の食べ方④フライ
松茸はフライにしてもおいしいですよ。フライの衣は、薄力粉をつけて卵液をつけてからパン粉をつけるイメージがあるかもしれませんが、もっと簡単にきれいに衣をつける方法があります。卵液を水で薄め、薄力粉を加えた液を使う方法です。この液をつけた松茸にパン粉をつけます。松茸の風味を活かすために、パン粉は細かめのものを薄くまんべんなくまぶすのがおすすめです。
フライを揚げる油の温度は170℃が適当です。衣をつけた松茸を油に入れ、時々ひっくり返しながら、きつね色になるまで揚げましょう。揚げあがりの目安は、泡が細かく、乾いた音になってきたころです。よく油を切ってください。
フライを盛り付けるときには、緑をあしらうときれいに見えますよ。ソースではなく、塩とスダチで食べるのがおすすめです。
おお、忘れておった。松茸はお吸い物にしても絶品じゃよ。
松茸の食べ方⑤お吸い物
最後にご紹介するのは、松茸のお吸い物です。まず、昆布とかつお節でだしをとります。昆布は一晩水に浸けてから火にかけ、沸騰直前で取り出してください。一度沸騰させてあくをていねいにすくいます。火を止めてからかつお節を加えましょう。放置時間は3~10分程度で、お好みによって加減してください。ペーパーで濾せば、だしのでき上がりです。酒と薄口醤油、塩で味付けします。
今回はお吸い物の具材として、松茸の他にエビ、スダチ、三つ葉を選びました。エビと松茸は、焼いてから吸い地に加えます。この作り方は、香りを楽しむ具材にぴったりです。エビは頭と背ワタを取ってから竹串を刺して形を整え、赤くなるまで焼いてください。松茸は、かさに入れた切れ目が開き、表面に水分がしみ出してくるのが焼き上がりの目安です。
お吸い物の作り方には、具材を吸い地と一緒に炊く方法もある。具材からだしが出る場合に向く作り方とされるが、お好みで選ぶとよいじゃろう。
松茸は手で半分に裂いて、香りを立てます。エビは殻をむいておくと食べやすいでしょう。熱々の吸い地を張って、三つ葉やスダチなどの緑で香りのあるものを添え、蓋をして蒸らします。お吸い物の蓋を開けたときの香りを、十分に楽しんでくださいね。
ところで、国産の天然松茸ってとても高価よね。中国産やカナダ産の松茸も見かけるけれど、おいしいのかしら?
では次に、産地やかさの状態と香りの関係を解説しておこうかの。松茸を選ぶときに参考になるかもしれぬ。
松茸の産地とかさの状態
おいしい松茸を食べるには、まずよい松茸を選びたいものです。松茸の香りは、産地やかさの状態とも関係しています。一般的に国産でかさが開いていないものがよいといわれますが、外国産のよさもあります。
松茸の産地
松茸は国産のほかに、中国産やカナダ産、北欧産などが流通していますが、すべて天然ものです。なかでも国産が最も香り高いとされますが、その理由に関係しているのが植物防疫法です。中国産やカナダ産など外国産のものは、土が少しでもついていると輸入できないので、輸入前に必ず洗浄されます。また、輸送時間がかかるため、そのぶん香りが抜けます。
アメリカ産やカナダ産の松茸は白っぽいのが特徴じゃ。外国産松茸は国産に比べて価格が低いのが魅力じゃのう。
一方、国産の松茸は洗浄の必要がなく輸送時間が短いため、香りが残りやすくなります。しかし国産の松茸でも、古くなれば香りが落ちるのは当然のことです。古い国産の松茸より、新鮮な中国産やカナダ産の松茸のほうがおいしいこともあります。産地にこだわらず、鮮度や香りと価格を吟味して買うのがよいでしょう。
ふうん、外国産でも天然ものには違いないのね。かさの状態も香りと関係あるのかしら?
松茸の笠の状態
松茸はかさの状態によって、呼び名が異なります。未成熟で、まだかさが全く開いていないものは「コロ」と呼ばれ、やわらかく食感がよいものの香りが立っていません。香りとうまみのバランスがよく珍重されるのが、かさが開き始めた「つぼみ」の状態です。かさが開いたものは「開き」と呼ばれます。「開き」は香りが最も強いですが、この後は香りが減る一方なので早めに調理しましょう。
松茸は全体が乾燥しておらず、香りがよいものを選ぼう。軸は太くて弾力があり、かさのひだがきれいなものがよいぞ。
松茸をいろいろな食べ方で楽しもう
松茸は秋の味覚としての代表格ですが、なかなか手が出せない食材かもしれません。その香りは古くから日本人を魅了してきました。松茸は焼き松茸、炊き込みご飯、お吸い物など、さまざまな食べ方ができます。もし松茸が手に入ったら正しく下処理をして、香りも食感も最大限に楽しみましょう。
参考動画
本記事は銀座渡利様のYouTubeチャンネルを参考にさせていただきました。本職の板前がさまざまな料理のポイントをわかりやすく解説しています。よろしければぜひご覧ください。
銀座渡利様のYouTubeチャンネルはこちら
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だしはお好みじゃが、松茸が新鮮で香りが強い場合は昆布だし、松茸の香りが弱い場合はかつおだしで風味を加えるとよいぞ。