はじめに
大根は、煮物や漬物や炒め物など、どんな風に料理してもおいしく食べられます。また、大根のどこの部位がどのような性質をもっているのか、どうすればその性質を活かした料理を作れるのか、という点を知っておくとさらにおいしい大根料理が楽しめますよ。大根の種類もたくさんありますが、全国的に栽培されている青首大根に適した使い方を紹介していきます。
大根の栄養素
大根の栄養素は葉の部分と根本の部分で違います。消化を助ける酵素もたっぷりはいっていて、付け合せとしても優秀な野菜です。部位によって甘いところと辛いところがあり、おいしく料理する方法も変わってきます。旬は秋から冬にかけてですが、一年中安価で手に入れることができ、家計にもやさしい食材です。
大根の根部分
大根の栄養素はビタミンA、ビタミンC、食物繊維(リグニン)がありますが、どれも突出して多くはありません。ただし、でんぷんの消化酵素アミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂質を分解するリパーゼなど、胃腸の働きを助ける消化酵素がたっぷりはいっています。食べた分の消化を促してくれるので、ダイエットにも効果が期待できます。
加熱しても栄養がなくなることはありません
大根に含まれている酵素やビタミンCは熱に弱く、加熱すると失われてしまいます。ただし、栄養がなくなるということではありません。加熱によって大根の抗酸化作用が高まり、活性酸素を除去するアンチエイジング効果が期待できます。また老廃物を排出してくれる食物繊維は加熱後のほうが多くなりますので、整腸作用によりデトックス効果が期待できます。
切干し大根
- 日光に当てて干して作る切干し大根は栄養素を凝縮させるので、生の大根より栄養価がぐんと高くなります。カルシウム、鉄分、ビタミンB群、食物繊維も豊富になり、便秘の解消にも効果が期待できます。地域によって作り方や呼び方も変わりますが、大根を干すという保存食は「先人の知恵」が凝縮されたものといえます。
大根の葉部分
大根の葉は緑黄色野菜に分類されます。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、カルシウム、食物繊維など、栄養たっぷりです。店舗では葉部分は切り落として販売していることが多く、手に入りにくいかもしれません。野菜の直売所などで見かけたときは葉付きの大根を購入してみてください。
「春の七草」のすずしろ
- 「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・春の七草」
正月7日目に七草粥を食べると邪気払いとなり、万病を除ける、という言い伝えがあります。呪術的な意味合いだけでなく、おせち料理で疲れた胃を野菜粥で休ませ、栄養を補う、という意味もあります。この中の「すずしろ」が大根の葉のことです。昔から冬場の大事な栄養源だったことがわかりますね。
部位によって違う甘さ
大根は部位によって甘さ、辛さが違います。どこが辛い部分で、どの部分が甘いところなのか、どこがどんな料理に向いているのでしょうか。上・真ん中・下と3つに分けて説明していきます。
上の部位
畑に植わっているときに、日光が当たっている根本の部分です。葉がついて少し青くなっています。少し硬いですが甘いところです。みずみずしい部位なのでサラダや漬物など生で調理するものに向いています。辛いのが苦手な方はこの部位で大根おろしを作るとおいしく食べられます。
真ん中の部位
柔らかくて、甘さと辛さのバランスがよい部位です。また、水分が多くおいしい部分でもあります。味もしみこみやすいので、厚めに切ってもやわらかくジューシーに食べられる部分です。おでんやふろふき大根など、煮物料理にむいています。
下の部位
大根の先端部分です。辛味が強く繊維質の多い部位ですが、加熱すると辛さはなくなりますので、味噌汁の具として使うととてもおいしく食べられます。
キッチンガーデニング
大根の葉を使いたくても、スーパーなどで売っている大根には、葉部分がついていません。すぐに悪くなってしまう部分ですので、葉を切り落とした状態で販売しています。少量を使用したい時は、大根の根本から2~3cmのところを切って水をはったお皿にしばらくのせておくと、葉がニョキニョキとのびてきます。毎朝、水を変え、日光の当たる窓辺に置いておくとよいでしょう。