極地法とは
極地法とは登頂まで日数のかかる長距離または高高度の山を攻略するための登山方法の一種で、その名の通り環境の過酷な「極地」を攻略するために考案された手法です。2000m以上の登山に使用されることが多く、7人〜20人ほどのサポートチームを組み、登山開始地点のベースキャンプから中継地点のキャンプを設営しつつ、メンバーがキャンプ間を行き来し、登山家に物資を補給し続け、確実に進んでいき最終的にサポートチームを除いた3人程が登頂するという方法です。
名前の意味
探検家が北極や南極など、生存が困難な環境で用いる方法という意味です。現代において長期間の極地サバイバル状態に入るのは登山くらいしかないので、一般的に登山方法として呼ばれています。極地では体力の低下が著しく、休憩による体力回復が生き延びるために大切になることから物資を持って移動するという方法をとる様になりました。
名称由来
初期のヒマラヤ遠征で使われていた「ポーラー・メソッド」という方法が日本に伝わったときに和訳されて「極地法」という名前がつきました。未踏の極地地帯では、ベースキャンプを建てながらの進行はもはや常識的な手法です。予想外の立地との遭遇や、突然の悪天候、体調の悪化など、暖を取れる丈夫なキャンプや食糧がないと、過酷な極地ではあっという間に死に至ります。これを登山に応用したのが一般的に極地法と呼ばれている登山方法です。
極地法のメリット・デメリット
極地法は入念に考えられた極地攻略法で、その目的は頂上への到達にあります。その点においては優れていますが、デメリットも存在します。メリットとデメリットを比較していきましょう。
極地法のメリット
- 十分な食糧や水を持って進むので悪天候との遭遇や体調悪化にも対応できる。
- 荷物運搬を他の人に任せられるので負担が軽くなる。
- 長期滞在を想定して登るので、比較的スローペースで登ることができる。
- ゆっくり上がっていくので高山病になりにくい。
極地法のデメリット
- 人件費がかなり高額になる。
- 登頂までの日数が長くなる。
- サポート体制の充実度から登頂に対する評価が低い。
極地法とは対照的なアルパインスタイル
物資を大量に持ち込み、時間をかけて着実に進んでいく極地法とは対照的な登山方法でアルパインスタイルまたはラッシュタクティクスと言う登山方法があります。
アルパインスタイル(ラッシュタクティクス)
最終キャンプ地点(1日で行き来できる地点)から頂上まで、一気に登頂する手法。キャンプを作りながら進むのは変わりないですが、ペースが速く、人員の数や荷物の量が圧倒的に少ないのが特徴です。装備や他の人に頼らず、自分の力で登ることを目的にした登山方法で、急な気圧の変化によって起こる高山病に耐性のある体を鍛え上げているプロ登山家にしかできない手法です。
アルパインスタイルのメリット
- 登山期間を短期間に抑えられる。
- コストを最小限に抑えられる。
- 荷物を最小限に抑えられる。
- 少人数チーム編成ができるのでペース配分が楽になる。
- 短時間で一気に移動するので、雪崩遭遇率が低い。
アルパインスタイルのデメリット
- 想定外の悪天候でペースが乱れると対応できない。
- 飢餓や脱水状態による死亡リスクが高い。
- 食糧などの持ち込みが少ないので体力勝負になる。
- 装備が少ないので急な体調悪化などに対応しづらい。
- 一気に移動して気圧が変化するので高山病になる。
アルパインスタイルの定義
極地法と対照的と言っても文字だけ見ると、違いが曖昧です。アルパインスタイルの定義が以下で、特徴的なのはやはりポーターを雇わない、酸素ボンベを持ち込まないという部分です。
国際山岳連盟(UIAA)はアルパインスタイルに対して以下の定義を提唱している。
- クライマーは6人以内。
- 酸素ボンベは持たない。
- 固定ロープを使用しない。
- 高所ポーターやシェルパの支援を受けない。
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