DIYできる可動棚とは
可動棚(かどうだな)とは、棚板を取り外したり棚板を移動できたりする収納自在棚のことです。等間隔に穴があいた棚柱(たなばしら)やダボレールの好きな位置に棚受金物を取り付け、棚板をのせて使います。玄関や収納内部、洗面所に、必要な高さに合わせて棚を設置したいとき、家の新築の後に収納を増やしたくなったとき、DIYでできると嬉しいですよね。今回は、簡単にできる可動棚の作り方のおすすめをご紹介します。
DIYできる可動棚の種類
可動棚、いわゆるガチャ棚には、大きく2つのタイプがあります。ひとつはダボレール(ガチャ柱、棚柱)を、玄関のシューズボックスのように、側面の壁面にとりつけて4点のダボで支えるタイプ。もうひとつは、ダボレール(ガチャ柱、棚柱)を、設置場所の背後の壁面にとりつけるタイプです。
①側面タイプ
側面に棚柱を設置するタイプ
上の写真は、側面にダボレール(棚柱)が設置されている、ガチャ棚タイプです。左右2本ずつ計4本のダボレールに、1枚の棚板に対し4個のダボ(棚受)を設置する形となります。一般的には、シューズボックス内部や洗面所の洗濯機コーナーなど、左右の壁の間隔が1m未満の狭い場所に使われる方法です。簡易なレールも多く出ていて、金物費用もあまりかけずに作ることができます。
②背面タイプ
背面に棚柱を設置する持ち出しタイプ
一方で、ダボレール(棚柱)を背面につける場合が上の写真です。棚柱は背面の幅が狭い場合は2本で済みますが、写真のように棚板の奥行に応じた頑丈な棚受(たなうけ)が必要です。その棚受を支えるために、棚柱もしっかりとしています。棚の幅を大きくしたい場合は、棚柱の本数も3本以上に増やします。また棚板の奥行に応じて、支える棚受の長さも変えます。
可動棚のタイプの選び方
洗面所の洗濯機の上に可動棚をつくりたいとき、もし左右が壁で仕切られていなかったら、背後から持ち出した棚をつくることになります。また、左右にしっかりとした壁がある場合は、左右で支える可動棚となります。新築時に設けた押入れやクローゼットの内部など、可動棚をつくりたい壁面が幅広い場所では、左右の壁からでは持たないので、背後からの持ち出しのタイプとなります。
①側面タイプのメリット・デメリット
側面ダボレール設置タイプは、左右に壁がなくてはならないので、玄関やパントリー、洗面所の壁で囲われた場所など、DIYで設置できる場所は限られがちです。それでも材料の値段が安いのが魅力といえるでしょう。費用を抑えて可動棚を作りたい場合は、まずは試してみてください。
②背面タイプのメリット・デメリット
背面タイプの棚柱は「しっかり」しています。これは、背面からの持ち出しで板棚をささえるからです。棚受と合わせると値段が高めですが、それでも費用をかけずに耐荷重の大きな棚を自作できるので、ぜひトライする価値はあるでしょう。注意すべきは壁面下地の強度。ですが、一度棚柱を設置してしまえば、クローゼットや押入れの中に、大がかりな収納パーツをつくることも可能です。
初心者の方は、ホームセンターなどでモノを見て、係の方に一緒に選んでもらうのも手です。ただWebで商品名や金額をチェックしてからの方が、質問もしやすいでしょう。寸法を測り、長さなどもしっかり決めてから購入してください。
DIY可動棚の材料(レール&棚受)
次に、簡単にDIYできる可動棚の材料について、どういうものがあるのか、をご紹介します。
①側面タイプの材料
(1)レール
ガチャ棚レールは4本で1か所分。棚の高さがレール長さなので、長さに気をつけて選んでください。
(2)棚受
また、ガチャ柱に合うダボの選定を間違えないようにしてください。ダボは4個で棚板一枚分。失くしやすく値段も安いので、多めに購入すると良いと思います。耐荷重により何種類かあるのでいくつかタイプを変えて購入してみるのも良いと思います。
②背面タイプの材料
(1)レール
棚柱の長さについては、壁面の床近くから天井まで設置するのがおすすめ。設置位置も合わせやすく、棚柱全体で支えることができるからです。なお、棚柱の「名称」はダボレールではなく、チャンネルサポートなど、メーカーにより違います。
(2)棚受
棚受は、棚板の奥行の3分の2程度~1cm引いた寸法からサイズを選びます。1つの値段は高めなので、個数を決めて数個多めくらいで購入するとよいでしょう。
(3)ブラケットパーツ
ロイヤル ハンガーブラケットオーバーハング用φ25 【シューノ19】 マットシルバー SS2-HOB-25RL 呼び名:300
参考価格: 980円
押入れやクローゼット内では、ハンガーポール用のブラケットパーツもおすすめ。色もメタルでなく白や黒などを売っているショップもありますので、必要であれば検討してみてください。
可動棚の材料(天板)※共通
さて、金物は設置されたとして、肝心の棚板はどれが良いでしょうか。可動棚・自在棚の棚板は大きく分けて2種類あります。ひとつは、市販されている木質の板にシートを貼った棚板、もうひとつは集成材など木そのものを活かした棚板です。写真のように、市販されている集成材に自然系オイル塗装などをすることができれば、よりオリジナルでこだわりのある可動棚ができるでしょう。
①既製品のシート貼りの棚板
ホームセンターやネットで購入可能
既製品のシート貼りの棚板はホームセンターでも売っていて、カットを頼めるショップもあります。実際にモノを見るのが一番ですが、ネットでもいろいろ売られています。重量もあるので、配送をお願いするのもよし。シートの種類や奥行、幅で値段を確認し、送料もプラスした金額で検討してみてください。
既製品のメリットとデメリット
既製品のシート貼りの良いところは、値段が安いだけでなく、色や模様を選べ、表面の拭き掃除がしやすいことです。難点は、軽いものは耐荷重が小さく、断面から水が入ると耐久性が悪くなりやすいことです。玄関の靴用など泥や水のついたものを置く場合や、パントリーなど機能性重視の場所、新築時の意匠と色を合わせたい場合におすすめの棚板です。
②集成材や無垢の木をカットした棚板
集成材のメリットとデメリット
一方、集成材などの木そのものをカットして棚板にする方法もあります。集成材の良いところは、比較的強度が大きく、好きな色に塗装でき、ナチュラルな雰囲気が良いところです。難点は、木目によって反ることがあり、塗装が足りないと汚れが染みてしまうところです。
パイン集成材やスプルース集成材などホームセンターでも選ぶのも楽しいですし、堅木で水にも強く元々色も濃い木や、杉など軽い木、木目が素敵な木もあります。水性塗装やオイル塗装にチャレンジするのも楽しいです。可動棚のDIYは、このように棚板の選択で楽しむことができる点が良いでしょう。
可動棚のDIYに必要な道具
意外に盲点なのが、道具や工具、ビスなどの準備です。床からの寸法や平行を正確に測ることも、きれいな仕上がりを左右します。初歩的な話ですが、大きな定規や巻き尺(コンベックス)、水平器も。大きな金額をかける必要はないものの、まず用意しておきましょう。
電動ドライバーは必須!
そして工具。手持ちのプラスドライバーでも簡単に自在棚を作ることが可能ですが、電動ドライバーがあると、短時間での施工が可能に。下穴を開けることもできるので、DIYにはもはや必須アイテム。少し値段は張りますが、これを機に用意するのがおすすめです。
下地探しも必要
ダボレール(棚柱)をビス留めする際に、壁の下地に木材が入っているかどうかを調べる「下地探し」や「下地探知機」も必要でしょう。軽いもの用の棚であれば、内部が空洞でも石膏ボードアンカーでボードに留めますが、重量に耐える棚では、下地に木のある位置にビス留めをする必要があります。
シンワ測定 下地探し どこ太Pro 35mm マグネット付 78992
参考価格: 2,471円
道具それぞれは数百円~数千円ですが、まとまると結構な金額にも。初めての方で道具に費用はかけたくないと思う方は、経験しながら少しずつ用意していくのも良いかもしれません。
続いて、DIY可動棚の作り方
まずは、DIYしたい場所によって、可動棚の種類を選びましょう。