赤貝とは
赤貝とは
赤貝は浅い泥地に住む二枚貝で、江戸前寿司にはなくてはならない寿司ネタです。以前は、東京湾などの内湾にも多く生息していて、庶民の味として親しまれていました。しかし、高度成長期の水質汚染などで姿を消し、国産のものは高級品として扱われています。宮城県の閖上や渡波が有名ですが、最近は中国産や韓国産の赤貝が輸入されていて、安価で手に入ります。
赤貝の名前の由来
赤貝の身は、他の貝よりも赤く見えます。これは、赤貝を含むフナ貝にみられる特徴で、人間の血液と同じように赤貝の血が赤いためです。これが「赤貝」という名前の由来です。赤貝の殻を外したときにも、赤い血がでます。この血液に赤貝のむき身をつけておく保存方法を「血止め」といい、2~3日は生かしておけます。鮮魚店などでも使われている方法です。
血止めをしている貝は、さばいてから日数がたっていることがあるため、買うときは殻付きがおすすめです。
赤貝の旬
赤貝がもっとも美味しく食べられる旬の時期は、11月下旬頃から3月初旬頃までです。日本全国でとれますが、産卵時期は水温によるので地域や場所によって違います。関西以西では5~6月、関東以北では7~8月です。夏に産卵を終えた赤貝が、再び栄養を蓄えて太り始める冬の季節が身が厚く、ぷりぷりとしていて大変おいしいです。
赤貝には毒がある?
夏場の赤貝は、身がやせているだけでなく、肝に毒があります。餌であるプランクトンからの影響ですが、まひ毒でその強さはフグ毒と肩を並べます。また、貝毒は加熱では無毒化できません。そのため、地域によって漁期が決まっており、規制がかかることもあります。潮干狩りのときなどは、各地方自治体や保健所、漁業組合などの情報に注意しましょう。
赤貝の栄養素
赤貝は高タンパクで低カロリーのため、ヘルシーです。また、赤血球を作るビタミンB12やヘモグロビンを作る鉄分が豊富で、貧血に効果的です。そして、コレステロールや中性脂肪をおさえて肝機能を高めるタウリン、新陳代謝や肝臓の活性化に必要な亜鉛も含まれており、おつまみとしても非常に優秀でおすすめです。
新鮮な赤貝の選び方
貝類は死んでいるものは食べられません。まずは生きているものを選びましょう。触ると口をさっと閉じるものや、振って音がしないものは新鮮です。また、泥臭いような匂いではなく海の香りのするものも鮮度がいいですよ。そして、殻を持ったときにずっしりとするものがいい赤貝です。
次のページでは、いよいよ「赤貝のさばき方」についてご紹介します。
赤貝のさばき方については、銀座で板前をなさっている銀座渡利様の動画を参考にさせていただきました。動画は記事の最後にご紹介しますので、ぜひご覧になってくださいね。
【赤貝のさばき方】準備するもの
貝の殻を外すことを「貝をむく」といいます。貝をむくには、「貝むき」という道具が必要です。貝むきは調理器具を扱っているところや、100均で手に入ります。赤貝専用貝むきもありますが、カキ用のオイスターナイフでもできます。もしない場合でも、食事用の洋ナイフやバターナイフなどで代用可能です。その際には、刃の薄いもののほうが使いやすいですよ。
【赤貝のさばき方】①貝をむく
赤貝の口が開いているときは口から貝むきを入れる、閉じている場合にも口側を割ってこじ開ける方法などさまざまな方法がありますが、ここでは、蝶番をねじる方法をご紹介します。
①赤貝の持ち方
しっかり殻を洗った赤貝の2枚の貝殻のつなぎ目である蝶番(ちょうつがい)に刃を当てます。蝶番から貝がらの端までが長いほうが向こう側、短い方が手前側に来るように持ちましょう。
赤貝は砂抜きは必要ありません。気になる方は、ペットボトル1杯(500mL)の水にキャップ2杯(15g)の塩を溶かした塩水に赤貝を入れて、暗所で砂を抜きましょう。
②貝がらに隙間を作る
赤貝は、殻をはずすときに赤い血がたくさん出ますので、ボウルなど血を受ける容器を用意すると周りを汚しませんよ。
蝶番の横の出っ張りに刃を引っ掛けるようにして、ぐっとねじるように力を入れると、テコの原理で殻が割れたり、ずれたりします。
③貝柱を切る
殻が割れた場合は、割れた穴を少し広げ、貝むきを差し込みます。貝殻の内側に沿わせるように貝むきを動かし、貝柱を切っていきます。貝がらがずれた場合は、開いた隙間から貝むきを入れ、同じように貝がらの内側をこするように貝を外してください。
貝柱はにあり、表裏あわせて4箇所でくっついていますので、ここを切ります。片側の貝がらについている2つの貝柱を外すと口が開きます。貝がらの内側についた膜ごと貝ひもを切らないように外してください。その後、もう一方も同じ要領でむいていきます。
次のページでは、いよいよ包丁を使って赤貝をさばいていきますよ。
【赤貝のさばき方】②赤貝をきれいにする
①貝の身と貝ひもを分ける
貝むきが終わったら、次は身と貝ひもに分けて、エラなどを処理していきます。貝のちょうつがい側の身をまな板に伏せるように置いて、身と貝ひもの境目に包丁をあてます。
出典:写真AC