キャンピングカーのエアコンの設置方法！電源確保の仕方から設置手順まで解説！

まず、種類と設置可能かどうかを一覧でまとめてみました。では、詳しく種類をみてみましょう。

バスコンとは、マイクロバスをキャンピングカーに改造したものです。高額なので簡単に入手できるものではありませんが、その広い居住空間はキャンパーの夢の一つです。家庭用エアコンを設置するスペースは十分にあります。マイクロバスは大勢の人を乗せて走るものなので、走行中のパワーがあり、小回りも利く利点があります。

フルコンとは、運転席も居住空間も一体となったトラック全体を、キャンプ用に作りかえた種類のことを言います。魅力的な輸入車が数多くあり、キャンピングカーの最高峰クラスではないでしょうか。お値段は1000万円前後と高価です。

キャブコンとは、トラックの運転席（キャブ）と居住部分が分離された種類です。キャブコンの見た目は髪型のリーゼントのように頭がせり出しているのが特徴です。キャブコンには、マツダ「ボンゴ」などのトラックタイプや、「ハイエースセレンゲティ」や「ハイエースボレロ」など人気車種「ハイエース」をベースにしたキャブコンが沢山あります。

バンコンは、普通のハイエースなどの乗用車と変わらない見た目と性能で、中身だけキャンピングカー用になっているもの。初心者でも気後れすることなく乗ることができます。ポップアップルーフテントがあれば広々と使えますが、家庭用クーラーをつけられる車種は限られてきますし、サブバッテリーが足りなければ追加購入が必要です。

軽キャンパーは略して軽キャンとも呼ばれます。100万円台から安価な価格帯で購入でき、装備は充実。通勤など普段使いにも利用でき、維持費が安いのも魅力です。ただし馬力もなく大勢乗ると厳しいものがあります。スペース的にも家庭用エアコンは無理でしょう。

走行中や、キャンプ場で停車してから使えるバッテリーを5つご紹介します。どれも稼働時間に制限があり一長一短といった感じです。車中泊用に複数合わせて使うとよいでしょう。（ここでは自車両以外の外部から提供された電源を外部電源と記します）

走行中やエンジンがかかった状態で使えるメインのバッテリーです。ヘッドライトやカーステレオ、ワイパーなど車の基本的な電気制御系統に使われます。エンジンが動いている時は常にオルタネーターで発電し充電しています。走行中はいいのですが、夜にキャンプ場で停車中や、車中泊で寝るときにエンジンをつけっぱなしにすると、アイドリングがうるさくて迷惑となるのでやめましょう。

キャンプでは走行中よりむしろキャンプ場で停車中に、照明を灯したり、冷蔵庫で24時間冷やしたり、と電気を多く使うものです。そこで重宝するのがサブバッテリーです。サブバッテリーの稼働時間は、容量にもよりますが日常使いに加えさらに夜寝るときにクーラーで使うとなると、稼働時間は3時間も持たずにバッテリーが切れるので、車中泊用に複数台持つ人も多くいます。

ガソリンで動くエンジン発電機の稼働時間は、ガソリンを携行すれば伸ばすことができますが、デメリットは騒音と排気ガスです。夜、寝るときに室内で稼働すると一酸化炭素中毒になる可能性があり車中泊では危険なので、エンジン発電機の置き場所は外部収納庫か、リアキャリアを取り付けて、エアコンの室外機と一緒に乗せるといいでしょう。戸外の場合、雨に濡らすと感電の危険があるため雨除けも必要です。

太陽光パネルはアウトドアに最適です。なぜなら日光が当たる場所に駐車すれば、昼間遊びに出ている間に充電されるのでうれしいですよね。当然ながら夜は発電しないので稼働時間は限られますが、充電すれば夜寝るときに使え、車中泊にも適しています。サブバッテリーを回復させ稼働時間を長くするよい方法ですが、初期費用がかなりかかるのがデメリットです。

オートキャンプ場に行くと、自由に使える外部電源があるサイトも増えてきました。稼働時間は気にせず車中泊でも使えますが、外部電源は15A、1000Wまでなどの制限があります。最近の家庭用エアコンであれば、省エネ仕様なので安心です。オートキャンプ場の外部電源付きサイトは料金がその分割高となっています。

設置費用は、キャンピングカー業者に頼むと20万～40万円ほどかかります。ハイエースなどサブバッテリーがなければ追加購入し、直流から交流に変換するためのインバーターもあわせて必要になってきます。自分で設置すれば、エアコン自体は5～6万円で購入できますし、部品や工具を購入しても業者の半額ほどでできそうですが、簡単に設置できると思ったら大間違いです。

キャンピングカーへの家庭用エアコン設置は、そんなに簡単ではありません。取り付けには緻密な作業が続き、根気が必要です。エアコンの設置説明書をよく読んで、規格やサイズなどを間違えないように必要部品を入手しましょう。ちなみにエアコンメーカーへの設置依頼は不可です。なぜならキャンピングカーにはメーカー保証が出せないからです。

作業のすべてを文字で説明するのは難しいので、ここでは要所のみ7つ解説します。設置説明書や動画など参考にし、やり方を熟知してから行うことをおすすめします。この章では、「正しいエアコンの取付け方”業者不要” ”資格不要”：How to Install a Air Conditioner」より写真を数点抜粋しました。

側面や後面など、家庭用エアコンを設置できるスペースを探し、コンパネで補強するなど工夫します。傾くとドレン水が溢れるので、水平器で測りながらエアコンの据付板を固定し、エアコン本体を設置します。本体のふたを開け、電気配線のVVFケーブルの被覆をはがして取り付けます。エアコン本体から出ている管は、ドレン管、冷媒管、VVFケーブルの3つになります。

室外機は、エンジン発電機と一緒にリアキャリアに乗せるか、外部収納庫に設置する人が多いようです。室外機はエアコン本体のなるべく近くに置くのが鉄則です。取説にある「壁からの最低距離」を守り、排気が外に出る向きで水平に置きます。傾くとドレン水や冷媒管からオイルが漏れ出すので注意が必要です。

室外機の背が高すぎて収納庫に入らないときは、室内の床をのこぎりで切り取り、室外機の頭が室内に飛び出るようにしたり、車の腹を切り、金具で下に出るように設置したりする人もいます。いずれもしっかり固定し水平を保ってくださいね。

ここからが最大の難関です！フレア加工とは、空調配管パイプの銅管を水平に切り取り、専用の道具でラッパ状に広げることです。少しでもバリ（切りくず）が残ったり割れたりしたらやり直しのシビアな作業です。フレア加工がうまくいけば冷媒ガスの漏れなく接続できます。フレアツールキットは数千円で手に入りますよ。

自分で加工できない人には、フレア加工済みの空調配管セットも売っていますが、種類は2つあります。自分のクーラーの配管が「2分3分」か「2分4分」か、間違わないようにしましょう。長さも色々あるので短すぎず長すぎずのものを選びます。短すぎたらおしまいです。また長さが余った時に庫内でうまくさばくセンスが必要です。

エアコン配管には2種類あり、ドレン管と冷媒管です。家屋の場合は、壁に穴をあけこの2つを外に出しますが、キャンピングカーの場合、どのように目隠し配管し、外に出すかセンスが問われます。エアコン本体に管を取り付けたら室内を這わせて下に送り、室外機に冷媒管を取り付けます。

エアコンで結露した水分を外に排出させるための管で、これを失敗すると室内がびしょぬれになってカビの原因にもなります。ドレン管は床下に穴をあけて通します。その後エアコン本体の受け皿に、スポイトで水を垂らしてうまく排水されるかテストしてみましょう。

先ほど述べたフレア加工した冷媒管を室外機に取り付けます。冷媒管は径の大小2本組なのでペアコイルといいます。トルクレンチを使ってフレアナットで締め付けます。これで冷媒ガスがエアコン内を循環するようになりました。ここをしっかり取り付けないと冷媒ガスが漏れて室内が冷えなくなります。

真空ポンプは数千円でレンタルすることができます。室内外機、冷媒管の空気を吸いだし、真空状態にすると、水分や塵を含めすべてが吸い出され乾燥します。15分ほどしたらマニホールドという計測器を使って真空になったことを確認します。これで配管内部は冷媒ガスとオイルのみが循環し、正常に動くようになりました。

この作業は高度な技術を要します。取説を熟読してから行いましょう。冷媒ガスは一般的に「R22(HCFC)」「R410A(HFC)」「R32(HFC)」の3種類があります。機種により違うので、室外機の裏面や側面に書いてあるものを購入しましょう。室外機に先ほどのマニホールドを接続し、冷媒充填秤に乗せたガスボンベを接続。記載の適正量を充填します。

冷媒管が通ったら、室外機にVVF電線を取り付けます。外の配管（冷媒管・VVF・ドレン管の途中から）はエアコンテープで下から上に向かって逆巻きにすると雨が入りにくくなります。室内側の配管には結露対策で断熱材を巻く処理をしましょう。

家庭用エアコンは10年持つイメージがありますが、常に振動している車に設置すると寿命も短くなり、メーカーは保証を出しません。キャンピングカーへの家庭用エアコンの自設には、手先の器用さに加え、数年で壊れてもいいと笑い飛ばせる心の広さも必要ではないでしょうか。これを読んで無理だと思ったら迷わずキャンピングカー専門業者に相談しましょう。失敗しても筆者は責任とれませんので悪しからず。