オトーリ(御通り)とは?宮古島の風習として知られる乾杯方法を紹介!

オトーリ(御通り)とは?宮古島の風習として知られる乾杯方法を紹介!

「オトーリ(お通り)」は酒宴の席で車座になって泡盛を回し飲みをする乾杯方法です。沖縄県宮古島の古くからの風習で祝い事などで行われます。そのルールは他に見ない独特な飲み方。今回はその乾杯方法、概要や歴史などオトーリについてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.オトーリ(御通り)とは?
  2. 2.オトーリの乾杯方法
  3. 3.オトーリの歴史
  4. 4.まとめ

オトーリ(御通り)とは?

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「オトーリ(御通り)」という言葉をご存知ですか?オトーリとは、沖縄県宮古島の酒宴の席での風習で、お酒好き、酒豪が多い島民の昔から行われている中国式の乾杯方法です。沖縄のお酒である泡盛をみんなで回し飲みするのですが、ちょっとしたルールや意味があります。今回はそのオトーリ(お通り)についてご紹介します。

オトーリが行われる場

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飲み会や人が多く集まる場

  • 会社の飲み会
  • 友人との飲み会
  • 祝い事
など、一般的な酒宴の席で行われる乾杯方法です。特別な日(結婚式などの祝い事)に限らず、人が集まる場ではオトーリはよく行われているようです。

意味や回す方向

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人の和を図るコミュニケーションツール

あとにも述べますが、オトーリは泡盛を回す前に「親」が前口上する場があり、必ず一人一人が喋る機会があります。その人がどんな人なのか初対面の人でも場に馴染みやすくなり、人と話すきっかけにもなります。お酒をたくさん飲もう!というよりは、たくさん話して楽しもう!という趣旨があります。

時計回りと反時計回りで意味がある

時計回りは「豊年回り」。反時計回りは「大漁回り」。農家の人は豊年回り、漁師の人は大漁回りといった回す方向が意味が違っていたようです。現代では特に方向に決まりはなく、自然に目上の人から回していく形になっています。

オトーリの乾杯方法

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オトーリ用のお酒

オトーリ用のお酒をピッチャーで用意します。泡盛3:水7を目安に割って作ります。参加者が使用するのは「オトーリグラス」という小さいグラス。グラスに線が引かれており、それぞれ「やまかさ」、「ずみ」、「なから」、「いぴっちゃ」と注ぐ量を選べます。

  • やまかさ:たくさん
  • ずみ:最高
  • ながら:少なめ
  • いぴっちゃ:ちょっとだけ
宮古島の方言です。オトーリグラスは島民なら一家に一つはある身近なもので、デザインもさまざまでお土産としても有名です。

「親」の役割

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「親」は口上とお酒を注ぎ渡す

  1. 「親」となった人は自分でグラスにお酒を注ぎます。口上として、感謝の言葉や抱負などを述べます。そのあとにお酒を飲み干します。
  2. 親はグラスにお酒を注ぎ、参加者に渡します。
  3. 渡された人はお酒を飲み干し、グラスを親に戻します。
  4. 参加者全員に行き渡るまでこれを繰り返します。
  5. 最後に渡された人は飲み干したあとに、グラスにお酒を注いで親へと返します。
  6. 親は渡されたお酒を飲み干し、参加者に感謝の言葉を述べ次の「親」を指名します。
オトーリの最中は私語は厳禁です。親の口上以外は無言で行うのが基本ですが、最近ではそこまで厳しくなく、楽しく行うために独自のルールもあるようです。

飲めない人は?

・出典元:写真AC

数回にわたって回し飲みをするので自然と飲む量も多くなります。オトーリはお酒の弱い人には中々辛い時間になってしまいます。そもそもお酒自体飲めない人も。しかし、付き合いもある中では断りづらい。そんな人のためにオトーリを断るための方法があります。

「オトーリカード」

「オトーリカード」というものが宮古島の保健所で発行できます。節度ある適度な飲酒量を推進するために作られたカードで、提示することでオトーリを断りやすくなります。今日は飲みたくない。医師から飲酒を止められているなどにも使え、カード自体は免許証サイズで財布に入れられるので常に持ち運べます。平成30年度から「美き酒飲み(かぎさきのみ)カード」に名称を変え、リニューアルもされました。

注意点

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オトーリ中は無言で

お酒を回し飲みしている間は基本的に無言で行うのがオトーリのルールです。楽しく行うために最近では守っている人も少ないようです。

多量のアルコール摂取に注意

水で割っているとはいえ泡盛はアルコール度数が高いお酒です。親は入れ替わりで何回もお酒を回し飲みを行うので急性アルコール中毒等にならないよう注意が必要です。

オトーリの歴史

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オトーリは、元々中国式の乾杯方法です。16世紀頃、日本は安土桃山時代に琉球王国で流行しました。当時、穀物の生産量が少ない中、泡盛は庶民にとっては貴重なものでした。貴重な泡盛をみんなで均等に飲むためにこの飲み方が行われていました。

オトーリは神聖な儀式にも

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祭祀でのオトーリは形が変わっていた

このオトーリの風習が16世紀頃に流行したときに、御嶽(うたき)という琉球の信仰における聖域で執り行われる祭祀にも導入されました。ここで行われるオトーリの方法が少し変わっていました。参加者が一人ずつ祭祀の神役の前に立ち、祝詞を詠み上げ、祭器に注がれた御神酒を飲み干すという形でした。オトーリが一般的に流行する前は、神職者の就任儀式である神女の儀式などで行われていたようです。

オトーリの廃止の声も

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オトーリは宴席を盛り上げるための催しですが、アルコールを多量に摂取します。急性アルコール中毒の恐れがあるほか、肝臓を患ったり死亡事故が過去に起きたり、一時問題となりました。お酒が強くない人や、お酒は好きだけどオトーリは半強制的で苦手と思う方も中にはいます。そういう声も出てくるようになり、最近では廃止を望む声やオトーリ禁止条例が一部地域にはあるようです。

まとめ

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沖縄県宮古島で行われる酒宴の席での乾杯方法、オトーリ(お通り)。みんなで車座になって泡盛を回し飲みをする伝統ある風習は、初対面の人とでも楽しくお酒を飲み交わすコミュニケーションツールです。私語厳禁などそのルールは独特ですが一番は楽しく飲むことなので、盛り上がりながら行ったりとその場独自のルールもあるようです。反面、飲酒量から健康面が問題視されています。宮古島に行った際はオトーリを経験してみたいところですが、飲み過ぎには十分注意する必要があります。

yu_ro
ライター

yu_ro

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