「まごはやさしい」の意味
体に良い料理で「まごはやさしい」という言葉や、その意味を知っていますか?ヘルシーで体の調子を整えるのによいと注目される「和食」は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、ますます注目されています。そんな文化的な食生活において、食事を作るときに取り入れるとよい食材の頭文字をあわせたものが「まごはやさしい」です。
「まごはやさしい」食材とは?
食事を作るときや、レストランでメニューを選ぶときのために「ま・ご・は・や・さ・し・い」この合言葉を覚えておきましょう。それぞれの食材にある栄養素は、食事をするときに咀嚼を促す効果や、合わせてとることでより効果的に栄養素を吸収できるメリットがあります。それでは「まごはやさしい」食材を見てみましょう!
「ま」は豆
豆のなかで食卓に使いやすいのは「大豆」です。煮る・蒸す・炒る、どのように調理しても美味しく食べられる大豆は、旬の野菜と豆腐を和えた「白和え」、発酵食品の「納豆」、味の染みが良いので「ひじき煮」や「五目豆」、鍋の季節なら「豆乳鍋」もおすすめです。乾燥大豆は、一度に一袋茹でて小分け冷凍すれば半年ほど持ち、調理に使いやすくなります。
「ご」は胡麻
胡麻はひとつひとつが小さな粒でありながら、豊富な栄養素を含んでいます。白・黒・金と皮の色で栄養量はそれほど変わりませんが、皮が硬いため、よく炒ったり、すり鉢ですったり、指の腹でひねったりするほうが、より効果的に栄養を摂取できます。野菜の「ごま和え」や「豚汁」に練りごまを入れるとコクがでておすすめです。
「は(わ)」はわかめ
わかめなどの海藻類は皮膚や毛髪の健康を保つヨウ素を多く含んでいます。食物繊維やミネラルが豊富でヘルシーなところがいいですね。昆布は「煮物」に、旬の生わかめは「しゃぶしゃぶ」にすると高栄養のほか、色が変わる様子が見た目に楽しいです。もずくは「酢の物」、ひじきは「炊き込みご飯」にすると手軽に調理できます。
「や」は野菜
現代人は野菜不足といわれています。1日分の野菜ジュースや野菜スムージーは手軽に野菜がとれて便利ですが、和食における野菜の役割は栄養摂取のほかに「咀嚼」という大事な要素を含んでいます。咀嚼することで唾液や消化液の分泌を促し、口腔の機能や清潔を保ちます。調理方法によって、さまざまな噛み応えを表現できることも、野菜が得意とするところです。
「さ」は魚
お肉と魚、どちらを選びますか?実は10年以上前から、日本人は魚よりも肉の摂取量が多くなりました。肉も魚も、たんぱく質のほかにビタミン・ミネラルがとれますが、旬で脂がのった背の青い魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれ、健康維持に欠かせません。肉料理だけではなく「焼き魚」「煮魚」などの魚料理も積極的に取り入れたいですね。
「し」はしいたけ
しいたけなどのキノコ類はヘルシーでカリウムや葉酸が豊富に含まれています。とりわけ、しいたけは生よりも乾燥させると栄養は何倍にもなります。乾燥しいたけは水でもどして「筑前煮」や「五目御飯」に使います。えのき茸やなめこ、しめじは低カロリーで旨味もあるので野菜と一緒に「お浸し」にするとボリュームが出ておすすめです。
「い」は芋
芋類は人のエネルギー源になる炭水化物(糖質と食物繊維)が豊富で、加熱調理してもビタミンが失われにくい特徴があります。ジャガイモ、さつまいも、長芋、里芋どれをとっても、免疫力を維持したり胃腸を整えたりするために必要な栄養素です。「焼き芋」にして皮ごと食べるほか、山芋は「とろろ」にして食べるのがおすすめです。
「まごはやさしい」食材を使った副菜
それでは「まごはやさしい」食材で献立をたててみましょう。お肉を食べることが多い人は、副菜で取り入れるのはいかがですか?「まごはやさしい」を多く含む常備菜を作っておけば、一汁三菜もかんたんです。小松菜やホウレン草などの葉物野菜は、下茹でしておくと「お浸し」に胡麻を加えて「胡麻和え」や、豆腐の衣をつけて「白和え」の順にリメイク調理ができておすすめです。
おすすめ副菜①炒り豆腐
炒めた鶏肉と野菜、しいたけを下茹でした豆腐をあわせ卵でとじる「炒り豆腐」は、豆、野菜、しいたけの他に鶏肉のたんぱく質が含まれ、栄養バランスがいいですね。主菜を魚料理に、汁物に芋やわかめを使うと「まごはやさしい」のほとんどが補えます。懐かしく、ほんのり甘い優しい味で、幼児から大人まで広く人気のある副菜です。
おすすめ副菜②切り昆布の煮物
切り昆布は乾物で売られることが多く、日持ちします。人参やちくわの他に、干ししいたけや油揚げをいれたレシピもよいでしょう。「まごはやさしい」の食材を使って「焼く」「煮る」「蒸す」「茹でる」などかたよりのない調理方法を献立に組み込むのがおすすめです。
「まごはやさしい」食材を使った主菜
今日は副菜まで作ってる時間がない、それなら主菜を具沢山にしましょう!ジャガイモやさつまいもは下茹でして冷凍しておくと、凍ったまま揚げたり茹でたりできます。忙しい毎日でも、鍋に入れるだけで品目が増えてお手軽ですね。絹揚げや木綿豆腐は、調理しても煮崩れせず量のかさましになるのでおすすめです。
おすすめの主菜①鮭のホイル焼き
「鮭のホイル焼き」は、生鮭と野菜ときのこをホイルに包み、焼いて食べる料理です。秋が旬の生鮭と野菜、きのこを使います。フライパンで焼くほか、オーブンや魚焼きグリルでも調理できるので、包んでしまえば焼き上がりまで放置できるのが手軽でいいですね。副菜に「さつまいもの甘煮」と「ほうれん草の胡麻和え」、汁物を「豆腐とわかめのお味噌汁」にすることで、「まごはやさしい」すべてを取り込んだ献立の完成です。
おすすめの主菜②タラの野菜あんかけ
秋から冬にかけて旬を迎えるタラは、鍋料理や漬け焼き、唐揚げと用途が豊富で使いやすい魚です。淡白な味で、野菜やきのこを使った具沢山の餡にもよく合い、1品でごはんがよく進むおすすめの主菜です。「タラの切り身」は冷凍食品での流通も多く、年間を通して活躍できるレシピです。
「まごはやさしい」食材を使った汁物
健康な献立も大事だけど、風邪をひいているときや、疲れて忙しいなか調理に時間を取られていては意味がないですよね。豊富な栄養素が一度にとれる汁物はいかがでしょうか。調理に使った洗い物も少なく済み、冷蔵庫の整理にもなる具沢山スープで「まごはやさしい」をとりましょう。
おすすめの汁物①豚汁
大きな鍋にたっぷり作りたい「豚汁」は根菜と里芋、きのこやこんにゃくを入れて具沢山にしましょう。味噌と一緒に「練り胡麻」を加えると、濃厚でコクのある味になりおすすめです。さらに、煮干しやカツオ出汁を使うことで、よりしっかりした味わいになります。お椀一杯食べるだけでも、満足できますよ。
おすすめの汁物②けんちん汁
「けんちん汁」は、野菜と木綿豆腐を出汁で煮た汁物で、精進料理としても知られています。食欲が落ちているとき、体の調子を整えたいときには、胃腸に負担の少ない具材を使ったけんちん汁がおすすめです。主菜が味噌を使った「鯖の味噌煮」のときにもいいですね。
まとめ
「まごはやさしい」には、食事から栄養を効率良くとるためのヒントがあったのですね。普段の食事はもちろん、体の調子が悪いときはこの合言葉を思い出してみましょう。忙しい毎日でとるのは難しいですが、1週間を1クールとして、無理のない献立を調整してみるのもおすすめです。健康で長生きし、老いたあとも食事を楽しむために、今からでもぜひ実践してみてください!
出典:筆者撮影