ベッドバグとは?
「ベッドバグ」は、日本では南京虫やトコジラミ(床虱)と呼ばれ、名前にシラミとつくもののシラミ目ではなく、カメムシ目トコジラミ科に属しています。「床」とつく名のとおり、ベッドや布団で寝ている間に刺されることが多く、床虫とも呼ばれている虫です。
南京虫の名前の由来
江戸時代には、外国から入ってきた珍しいものに関して国を問わず「南京○○」と呼ぶ習慣がありました。ベッドバグもそれにならって南京虫と呼ばれました。南京豆や南京錠なども同じ由来です。関西では、かぼちゃをナンキンと呼ぶ場合もあります。
ベッドバグの生態
ベッドバグの栄養源は人や動物の血液で、犬や猫などのペットからも吸血する場合があります。卵からかえってすぐの幼虫から成虫になるまで1~3カ月かかり、その間吸血しながら脱皮を繰り返します。普段は茶色く平べったい形ですが、吸血するとふくらみ、赤黒くなるのが特徴です。成虫になっても羽根は生えないので飛べませんが、素早い動きで移動します。
発生原因
ベッドバグはもともと日本にいる虫ではありませんが、江戸時代にはすでに生息していました。海外からの旅行者の荷物についていたり、家具などの輸入品に紛れたりして国内へ運ばれてきたのが発生原因といわれています。それがどんな原因で各地に広がっていったのかをみていきましょう。
原因①移動しやすい
ベッドバグは、主に荷物や人について運ばれ移動する害虫です。外国から持ち込まれるだけでなく、国内でも以下の例をはじめさまざまな発生原因が考えられます。血が吸える環境があれば簡単に住みついてしまうので、「気をつけているから大丈夫」などと油断は禁物です。
- 利用した施設で荷物や服にベッドバグがつき、持ち帰ってしまった
- ベッドバグがついたアンティークの家具を知らずに買った
- 自宅で発生したバッドバグを持ち出してしまった
原因②繁殖力が強い
ベッドバグは繁殖力がとても強く、1日に5~6個の卵を約3カ月間毎日産み続け、生涯で200~500個産むといわれています。最初にみつかったのが少数だとしても、繁殖力が強く見つけて駆除するのが大変なため、大量発生するのは時間の問題といえるでしょう。
原因③生命力が強い
オス、メスともに血を吸うことで栄養をとりますが、吸血しなくても1カ月近く生きるくらいの生命力を持っています。暖かい時期(20℃~)に活発に活動し、寿命は1年くらいで、寒い冬も死滅せず休眠する害虫です。また、密閉された暖かい室内では冬でも気温があまり下がらないので活動する可能性があり、冬といえども油断はできません。
原因④見つけにくい
ベッドバグは、昼間や明るい室内ではあまり動かず、暗くなると活動し始めます。活動が活発なのは深夜で小さいうえに動きが素早く、見つけるのは至難の業です。さらに活動が活発な時間帯でも明かりがついていれば出てくることがありません。また性格も臆病で、人の動きのない見つかりにくい場所へ移動する傾向があります。
ダニとの違い
ベッドバグの体長が5~8mmなのに対し、ダニは1mm以下で目視は困難です。また、ベッドバグが人を刺すのに対して、ダニの仲間はヒトを刺すものと刺さないものに分かれます。日本の家にいるダニの80%は、人を刺さず糞や死骸がアレルギーの原因となるヒョウダニやコナダニです。
刺され方の違い
ダニは主に、おなかや二の腕、太ももなど人の皮膚のやわらかい場所を刺します。それに対して、ベッドバグは露出している顔や足の裏など部位関係なく刺して吸血します。刺された場所でどちらに刺されたのか判断してもよいかもしれません。どちらも症状に個人差はありますが、かゆみで不眠や傷口が化膿するなどの症状を引き起こすことがあります。
ベッドバグに刺された場合の症状
ベッドバグに刺されると赤い発疹ができます。初めて刺されたときは抗体がないので症状がない場合が多いですが、繰り返し刺されるとアレルギー症状が出て強烈なかゆみに襲われます。かゆみには個人差がありますが、まれにアレルギー症状が重症化して呼吸困難などを起こしてしまう人もいるようです。
刺されやすい人の傾向
ベッドバグは、人が放出する二酸化炭素や汗、体温を感じて刺します。臆病で動かないものを好むため、寝相が悪い人や頻繁に寝返りをうつ人はあまり刺されない傾向があります。また衣服の中までは潜っていかないので、暑がりで肌の露出が多い人が刺されやすいでしょう。
刺されてしまったら
ベッドバグに刺されると強烈なかゆみなどの症状に襲われることが多いですが、できるだけ患部を掻かずに清潔に保ってください。我慢できずに掻き壊してしまうと、患部が化膿したり傷あとが残ったりする場合があります。市販の抗ヒスタミン剤やステロイドの入った軟膏などで症状が収まるときもありますが、病院を受診して、薬を処方してもらうのが安心です。