はじめに
愛情を込めて育てている赤ちゃんの1歳の誕生日は、特別な日です。まだ生活環境が悪かった頃は、無事に1歳まで育つ子も少なかったため、盛大にお祝いをしました。現代でも、一升餅を使ったお祝いなどがありますね。地域によっても、さまざまなお祝い方法がありますが、今回は「タンカーユーエー」についてご紹介します。
タンカーユーエーとは?
沖縄の方言で、赤ちゃんの1歳の誕生日を祝う行事を「タンカーユーエー」といいます。両親のどちらかの実家で、親せきや友人知人などを招いて行う沖縄の伝統行事です。一連の流れが決まっており、火の神様であるヒヌカンと仏壇への祈願をしたあとに、メインのイベントのタンカー占いをします。
タンカーユーエーの由来
沖縄の言葉で「タンカー」は、満1歳の誕生日を表すともいわれていますが、本来は真正面、向き合いという意味です。「ユーエー」はお祝いを表します。さまざまなことに直面しても、自分自身と向き合い自分で判断して生きてほしいという思いも含まれています。諸説ありますが、中国から伝わったとされ、三国志の時代から続いている風習です。
タンカー占いは沖縄版の「選び取り」
タンカー占いは、沖縄以外の一部地域で行われている「選び取り」に似ています。選び取りとは、お金やえんぴつなどを子どもの前に並べて、手に取ったもので、子供の将来を占うことです。並べる道具も、地域によって違いがあります。一生食べるものに困らないようにと願いをこめた一升餅で祝う方法と同時に、選び取りを行う地域もあります。
タンカーユーエーの祈願の仕方
神様やご先祖さまを、沖縄の人々はとても大切にしています。火の神様のヒヌカンは家の守り神ですが、ヒヌカンに伝えたことは、ほかの神様にも伝えてくれるという存在でもあります。拝む順番は、最初にヒヌカンを拝んでから、次に仏壇を拝む家庭が多いです。子どもの大事な祝いごとのときも、しっかり祈願をします。
火の神様ヒヌカンへの祈願
火の神様のヒヌカンは、台所にまつられています。ヒヌカンをまつり拝むという行いは代々受け継がれており、沖縄の人にとって、とても身近な存在といえるでしょう。タンカーユーエーのときは、ふだん白いご飯をお供えしている家も赤飯などに変えます。お線香をあげて、赤ちゃんが元気に育つように願い祈ります。
お仏壇への祈願
沖縄では独特な風習やしきたりがあり、感謝と敬いの気持ちを持って、ご先祖さまを大切にしています。ご先祖さまはある一定の時期になると、神様に変わると考えられています。子どもが1歳まで無事に育ったことに感謝しつつ、これからも元気に育つようにと願い、お供えものや線香をあげて祈ります。
タンカーユーエーの料理
お供えものや、来客のために赤飯やお酒、郷土料理を準備します。現在では、オードブルを用意する場合もあります。人数が多い場合は会場を借りて行うため、沖縄のホテルや料理店では、タンカーユーエーのプランもあるのです。コース料理などが用意され、豪華に祝福しつつ、記念に残る1日を過ごせます。
次のページでは、タンカーユーエーのメインイベントを見ていきましょう!