ハンス・j・ウェグナーとは?
ハンス・J・ウェグナーは、北欧デンマークにおいて家具デザイナーの巨匠として数々の名作をデザインしました。独創性かつ創造性豊かなデザインで、およそ500脚以上もの椅子を手がけ、現在もなお、多くの名作が世界的に高い評価を受けています。
北欧デンマーク家具デザイナーの巨匠
シンプルな美と機能性
ハンス J. ウェグナーは靴職人の父のもとで生まれ、17歳という若さで家具職人の資格を取り、活動の幅を広げていきます。家具の本質ともいえる「シンプルな美」と「機能性」の追求を重ね、無駄をそぎ落とした必要最低限のフォルムを創り出しました。その名作椅子の数々は、ニューヨーク近代美術館をはじめとする、世界中で著名な美術館のコレクションとして展示されています。
家具職人ならではの技術と知識
ウェグナーは、家具職人として修行した技術と知識を最大限に生かしたデザインを研究し、洗練されたフォルムや美的センスの名作を多く手がけました。また、天然素材・天然木材にこだわりを持ち、シンプルで素朴ながらも優しさと温もりあふれるオーガニックデザインを極めています。
ハンス・j・ウェグナーの名作家具①ザ・チェア
PP501「ザ・チェア」は、1950年にデザインされたウェグナーの代表作です。フォルムの美しさや座り心地など、あらゆる点で椅子としての機能の完成度が最も高いとされています。有名なエピソードとして、元米大統領のジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが、このザ・チェアを使用した討論会がテレビでも放送されており、ザ・チェアの知名度がさらに高まりました。
ザ・チェアの魅力
身体にピタッと馴染む木の椅子
ザ・チェアは、職人の手作業によって木部分の角がすべて面取りがされており、長時間身体を預けても痛くならない座り心地のよい椅子です。木が身体にピタッと馴染み、柔らかさと心地よさが備わった究極の木製椅子ともいえます。
威厳さと美しさのあるフォルム
ザ・チェアは、威厳のあるプロポーションと掛け心地の素晴らしさをあわせ持ち、その名の通り「ザ・チェア」と呼ぶにふさわしい名作です。公共建築の会議室やロビー、住宅のダイニングチェアなど、多くのインテリアシーンで広く親しまれています。
ハンス・j・ウェグナーの名作家具②Yチェア
CH24「Yチェア」は、ウェグナーにより1949年にデザインされました。技術の進行にともない、1950年から生産開始をされて以来60年以上も生産が途切れることはなく、Y字型の背もたれを持つフォルムから「Yチェア」と愛称で現在も世界中で愛され続けている名作椅子です。ダイニングチェアなど、住宅インテリアでも高い人気を誇る椅子となっています。
Yチェアの魅力
洗練された曲げ木技術
スチーム加工による「曲げ木技術」を利用することで、背もたれや脚の形状をY字の緩やかなカーブを生み出します。背もたれから脚までかかる重心をしっかりと支え、座面に貼られた紙製のペーパーコードと合わせて、安定感のある座り心地を使い勝手を継続します。高い耐久性とともに軽量化もされており、洗練された美しさと実用的な機能性を兼ね備えた作品です。
自然素材だからこそ出る深い味わい
ビーチ材やオーク材など天然木材で製作されているため、長く使い込んでいくほどに味わいと深みがでる、経年変化が楽しめます。老若男女問わず、長く使用できるデザインは、日本のインテリアにもマッチすると評判の高い椅子です。
ハンス・j・ウェグナーの名作家具③CH88チェア
CH88チェアは、ウェグナーにより1955年に試作品のみが作成されました。その後、ウェグナーの生誕100周年を記念しカール・ハンセン&サン社により復刻された、歴史的なチェアです。背面のデザインは「牛の角(カウホーン)」と呼ばれており、スタッキングも可能なダイニングチェアとして製作されています。
CH88チェアの魅力
シンプルで軽快なシルエット
背中を優しく包み込む曲げ木技術の木製背もたれは、角の部分で跳ねあげられており、ひじ掛けとしても利用できる計算されたデザインです。ステンレススチールの脚が、洗練されたシンプルさを軽快なシルエットですっきりと見立てています。座面や色、脚の種類は幅広く選べます。木製のオーガニックさとスチールのシャープさが組み合わさり、高級感のあるシックなインテリアとも調和する椅子です。
スタッキングできるミニマルなコンパクトさ
CH88チェアは、4脚程度のスタッキングも可能であり、そのコンパクトで無駄のないデザインは、さまざまな用途や空間でも利用できる万能性も持ち合わせています。復刻版も多く発売されており、カラーバリエーションや座面の種類も豊富に選べる椅子となっています。
ハンス・j・ウェグナーの名作家具④バレットチェア
PP250「バレットチェア」は、1953年にデザインされました。オブジェのようで遊び心のある独特なデザインは、寝る前に身の回りの整理整頓をいかに効率よくできるか、という議論からはじまり、この椅子を発案することがきっかけとなりました。ウェグナーにとってユーモアさがあふれる代表作の椅子となりました。
バレットチェアの魅力
座るだけじゃない驚きの仕組み
バレットチェアにはたくさんの仕組みが隠されています。独特な形状の背もたれは、ハンガーとしても利用できます。座面は立ち上げて使用すると、スラックスなどがかけられるようになっています。そして、立ち上げた座面の下には、日常的に身に着ける腕時計や鍵、アクセサリーなどの小物を収納するスペースとしても活用できます。1脚あれば、身の回りの整理整頓ができることから、バレット(召使い)、またはバチェラーズ(独身者)の椅子という愛称もあります。
3本脚で構成される軽快な印象
元々、製作段階では4本脚だったバレットチェアですが、重い印象を変えたいというウェグナーの意識からさらに研究され、印象もスリムな3本脚となりました。機能や構成を削ることなく、軽快さとユーモアが融合された椅子となっています。住宅の寝室やプライベートスペースに置くと、印象的なインテリアにもなりつつ機能性も楽しめます。
ハンス・j・ウェグナーの名作家具⑤ピーコックラウンジチェア
PP550「ピーコックラウンジチェア」は、1947年にデザインされた椅子であり、ますで孔雀が羽を広げたようなフォルムから名付けられました。元々は、イギリスの伝統的な椅子「ウィンザーチェア」を参考にしており、ウェグナーによってさらに洗練したデザインとなった、リ・デザインのハイバックチェアです。
ピーコックラウンジチェアの魅力
天然木材と印象的なデザイン
ピーコックラウンジチェアは、背もたれの14本もあるスポーク部分が矢のように見えるため、「アローチェア」という別名もあります。体を背もたれに預けるときに痛くならないよう、中央から1本ずつ平たい面も採用しています。丸みがかった天然木材を使用することで、優しく味わいのある名作となっています。
まとめ
長く愛され続けるハンス・J・ウェグナーの家具は、時代を超えて多くのインテリアシーンで重宝されています。日常生活や建物にとって必要不可欠な存在である家具の質を上げる、ハンス・J・ウェグナーの名作の中から、自分に合った作品をぜひ見つけてみてください。