はじめに
ホームセンターに行くと、丸められたり、壁にかけられたりしているカーペット。色や柄で選びがちですが、生地の織り方や素材によって、メリット・デメリットなどがあります。ここでは、代表的な織り方である「ウィルトン織」や「タフテッド」といった種類や、使われている素材についてご紹介します。
カーペットとラグの違い
部屋に敷くものといえば、カーペットとラグがありますよね。これらの明確な違いはご存知ですか?実は大きさによって分けられています。床全面に敷く3畳以上のものを「カーペット」、テーブルやソファー下など部屋の一部分に敷くもので3畳以下のものを「ラグ」とよんでいます。ちなみに、キッチンや脱衣所などに敷く小さなものは「マット」です。
カーペットの織り方の種類
「ウィルトン織」と「タフテッド」
カーペットを買おうとホームセンターやネットショップをのぞくと、「ウィルトン織」や「タフテッド」という織り方が書いてあるのを見かけます。この2つは、身近でメジャーな織り方です。実は、一見同じに見えるカーペットにも織り方によってさまざまな特徴があり、生地の厚さや価格も変わってきます。ここでは、その作り方や特徴について見ていきましょう。
ウィルトン織
イギリスのウィルトン市発祥の機械織り
ウィルトン織とは、18世紀中期にイギリス発祥の織り機で織りあげられた敷物です。表地のパイル糸と下地になる3本の糸を絡み合わせて織り上げることで、しわやヨレが起こりづらく、毛が出てくることも少なく、耐久性や摩耗性が高く、しっかり長持ちします。色がはっきり出るので、細かい柄のデザインも多く、高級品として扱われています。
タフテッド
タフテッド機による刺繍式カーペット
タフテッドは、19世紀にアメリカで考えられ、戦後に開発された織り機によって大量生産が可能になったカーペットで、現在ではカーペットの定番になっています。もとになる布にパイル糸をさし込み、接着剤で裏布を貼り付けたものです。比較的安価で薄く、収納しやすいですが、劣化すると接着剤が粉になって出てくることもあり、寿命は2~3年と短いです。
「ウィルトン織」「タフテッド」以外の種類
緞通(だんつう)
一本一本手作業でパイル糸を結びつけながら織っていく手織りカーペットです。「中国緞通」が有名ですが、産地によって糸の結び方や扱う素材が違い、「ペルシャ緞通」や「鍋島緞通」などもあります。結びつける糸の数が多くなるほど手間がかかり、高価になりやすいですが、耐久性に優れ、きちんと手入れをすれば「孫の代まで使える」といわれるほど長持ちします。
フックドラグカーペット
下絵を書いた布に刺繍針を使ってひと目ひと目打ち込んでいきます。下地にパイル糸を打ち込んでいく点ではタフテッドに似ているので「ハンドタフテッド」とも呼ばれます。劇場の緞帳(どんちょう)などの大きいものまで作れます。手作業のため、パイル長を調節でき、生地の厚さや素材など自由にできますが、技術者の力量に左右され、少数生産で高価になりやすいです。
ニードルパンチカーペット
手芸で人気の羊毛フェルト(ニードルフェルト)の方法と同じように、繊維を重ねて針で突き刺すことにより圧縮・整形した、手織りや機械織りをしない敷物のことです。糸を織り上げたものではないため、カットしても切り口がほつれることもなく加工がしやすいのが特徴です。安価で施工も簡単なので、オフィスやイベント会場などでよく使われています。
平織りカーペット
パイル糸を使わずに横糸と経糸(たていと)を交差させて織る、極めてシンプルな織物です。裏のコーティングがなく、折りたたむことが可能で、リバーシブルで使えるものもあります。織り方によって「平織り」「三笠織り」、金糸や銀糸の飾り糸を入れた「菊水織り」、茶室やお寺の床などに使われる「毛氈」などがあり、手織りのものは高級品とされています。
カーペットは、素材によっても特徴が違います。次のページでは、カーペットに使われる素材についてお話ししますよ。
出典:写真AC