全国に広がる竹害
いま全国で、山林や空地の管理されていない竹林が繁殖し、農地や住宅地に入り込んで被害を与える竹害が続発しています。中でも竹の地下茎(根の部分)は、植物の中でもっとも強い繁殖力を誇ります。管理されていない竹林は次第に周囲に根が入り込んで土地を荒らし、中には建造物を崩壊させた事例すら報告されるほどです。
竹とはどんな植物なのか?
竹は古くから日本人の親しみのある植物です。観賞用として庭に植えられるだけでなく、京都や奈良では竹林や竹の庭園が観光地として紹介される程です。では、竹とはどの様な植物なのでしょうか。
竹はイネ科の植物
竹はイネ科タケ亜科の植物です。日本に生息する竹は「旧大陸熱帯・オーストラリアタケ連」と「温帯系木本タケ類」の2種に分けられます。海外では熱帯系タケ連が「バンブー」と呼ばれ、中国からやってきた帰化植物です。一方温帯系タケ類は「ササ(笹)」と言われ、日本原種の植物です。ちなみに、上野動物園のパンダは「ササ(笹)」を好んで食べるとか。
竹害を起こしてるのは熱帯系タケ連(バンブー)
いま主に竹害を引き起こしているのは、熱帯系タケ連、いわゆるバンブーの竹です。繁殖力旺盛で、地下茎が一年で8m延びた記録もあるそうです。日本古来のササも、手入れしなければ荒れて地下茎が侵襲しますが、熱帯系タケ連の竹が国内で生息する竹の8割を占めるいま、熱帯系タケ連の地下茎侵襲による竹害は、深刻さを増しています。
竹の駆除に向けた動き
竹害の広がりを受け、全国の自治体や農業・林業組合の中には、組織的に竹を駆除して竹害を食い止めようとする動きを始めています。持ち主不明の土地で繁殖する竹林や、種が山林に飛来して自生を始めた竹林が対象にされています。
竹の駆除方法①伐採
現在進められている竹林の駆除で、主に用いられる方法として伐採・除草剤などの薬剤散布があります。このうち伐採は、地上に伸びた竹そのものを切り倒すだけでなく、繁殖のもとになる地下茎を土木機材を投入して切り刻む方法です。周囲の自然環境を傷付けない利点がある一方、多数の人員機材を投入する必要があり、加えて地下茎を完全に根絶できないため、再び生える可能性は捨てきれません。
竹の駆除所方法②除草剤使用
伐採に代わって竹を駆除する方法として用いられるようになったのが、除草剤による駆除です。海外から繁殖性の強い植物を枯らす除草剤が輸入されると共に、注意に飛び散り環境を汚染しない顆粒や粒剤の除草剤も開発されたため、自然環境に負荷を掛けず竹林だけを枯らすことができるようになりました。
除草剤代わりに塩を使ってはいけない
竹など繁殖力旺盛な植物の駆除法として、塩を撒く方法が言い伝えられてきました。確かに効果はてきめんですが、塩は地中で分解されず、そのまま残留して植物が生えなくなります。加えて、塩分が住宅やインフラ構造物を腐食させます。塩の利用は絶対やめましょう。代わりに、環境負荷の少ない除草剤を利用しましょう。
次のページでは、除草剤を使った竹の駆除方法を解説します。