原因②日本人の食生活の多様化
戦後、食の欧米化が進んだことで、日本人の食生活は大きく変わりました。新しく入ってきた多種多様な食べ物の中で、次第にシベリアの存在感が薄れてきたのかもしれません。また、昨今の健康食ブームも、甘いものに甘いものを掛け合わせたシベリアのようなお菓子が敬遠される一因になっていると考えられます。
原因③プロモーション力不足
シベリアは主に町のパン屋で販売されていて、材料であるカステラやようかんといった和菓子はとは、少し位置づけが違ったようです。このことも、見かけなくなった原因のひとつかもしれません。というのも、パン屋の主力商品はパンですから、シベリアを大々的に売り出すこと自体が減ってきたのではないでしょうか。
中身は和菓子のようですが、位置づけは菓子パンだったようです。
あんこを甘い生地で挟んだどら焼きは、今でもメジャーなお菓子です。こちらの発祥は江戸初期といわれています。何が明暗を分けたのでしょうか。老舗和菓子店や大手メーカーのプロモーションによるところも大きいのかもしれません。
あんこをパンで包んだあんパンは、今でも愛されているもっともポピュラーな菓子パンといえます。こちらは1874年に木村屋が銀座で初めて売り出したのが発祥です。シベリアはお菓子でありながら、パン屋にあり、菓子パンのようでパンではない。そんなところも、いつの間にか町のパン屋さんから消えていった原因なのかもしれません。
お菓子のシベリアを通販で購入できるお店
ここまでシベリアのことを知ると、食べてみたくなりませんか?スーパーやコンビニでなかなかお目にかかる機会のないシベリアですが、もちろん今も販売を続けているお店があります。近くに買いに行けるお店がなくても、通販で購入可能ですので、お店をいくつかご紹介します。昔懐かしの味に触れてみてはいかがでしょうか。
コティベーカリー
大正5年創業の街のパン屋さんです。主力商品がシベリアという、珍しいお店です。王道の三角形のシベリアで、中のようかんは水ようかんです。そのためボリュームのわりに食べやすいシベリアです。通販にも対応していて、メールか電話で注文を受け付けています。
風流堂
風流堂は、島根県松江市にある老舗和菓子店です。老舗和菓子店らしく上品な四角いフォルムのシベリアが製造販売されています。こちらのシベリアは、実店舗だけでなく、公式サイトから通販で購入可能です。
ヤマザキの三角シベリア
実は大手メーカーであるヤマザキ製パンからも、シベリアが販売されています。値段も100円ほどとお手頃価格です。運がよければスーパーやコンビニで出会えるかもしれませんよ。一部のネットスーパーでも扱いがあるので、通販でも手に入るようです。
工藤パンのシベリア
青森県の製パンメーカー、工藤パンからもシベリアが販売されています。主に県内に卸しているようですが、こちらも一部の通販サイトで扱いがあるので、探してみてはいかがでしょうか。
シベリアと似ている?おもしろいお菓子
知れば知るほど唯一無二の立ち位置で異彩を放つ、なんとも独特なお菓子のシベリアですが、世の中には他にもおもしろいお菓子がたくさんあります。その中から、ネーミングが似ているお菓子と、かたちが似ているお菓子をそれぞれご紹介します。
アラスカ
アラスカというお菓子をご紹介します。外側をメレンゲで覆ったお菓子で、中はアイスクリームにケーキ生地を重ねたものが入っています。正式にはベイクド・アラスカといいます。シベリアとのネーミングの対比がおもしろいですが、アラスカはアメリカ発祥のお菓子す。こちらも名前の由来について諸説あり、わからないことが多いようです。
カステラサンド
カステラでようかんをサンドするシベリアに対し、カステラサンドは、カステラをパンでサンドした菓子パンです。ふわふわの食感のミルク風味のパンに、カステラとクリームがサンドしてあります。ようかんを挟むのもおもしろい発想ですが、パンでカステラを挟むのも負けず劣らずおもしろいですね。
まとめ
かつて広く庶民に愛されていた昔懐かしのお菓子シベリア。独特な見た目と中身に、謎が多いところも相まって、不思議な魅力のあるお菓子です。まだ食べたことがない方は、ぜひ一度食べてみてください。どこか懐かしい甘さと美味しさに、ファンになるかもしれませんよ。
出典:写真AC