MDF材の短所
一見、長所が際立つMDF材ですが、短所もあります。ひとつには、水や湿気に弱くてカビやすいということです。つまり、そのままでは場所を選びます。ふたつめとしては、ネジやビスが利かないということです。これを知らずに失敗する人がいます。もうひとつ、塗装するには工夫がいります。
MDF材は湿気に弱い
MDF材は、ボード状の材料の中では比較的、水や湿気に弱くてカビやすい部類になります。それでも、手間とコストをかければ、短所もおぎなえます。
MDF材をカビから護る
水気や湿気のあるところにMDF材をどうしても使いたい場合、「防カビ剤」を塗布しておくと長持ちします。注意したいのは、スプレーで空間に噴霧するタイプや室内に置くだけのものではなく、塗料のように塗布するタイプがよいということです。合わせて防水効果や撥水効果のあるものもありますので上手く使って下さい。
同じ防カビ剤自体を重ね塗りする場合の乾燥時間の目安は、パッケージに記載されているので作業を始める前に確認しておきましょう。
MDF材にはネジやビスが利かない
MDF材を使って、例えばボックスのような箱状に組み立てるとしましょう。そのとき、ネジ、ビスなどは利きません。一見利いているように見えてもすぐに壊れてしまいます。釘はもっと利きません。MDF材だけで組み立てる場合は木工用ボンドなどの接着剤を使用します。
MDF材だけで組み立てるのではなく、普通の木材と挟むようにしてやれば、MDF材に利かなくても、ネジ、ビスは使えますね。
MDF材は塗装には向かない
MDF材は、そのままでも表面が割と平滑ですし、カラーの選択肢もありますので、無理に塗装しなくてもよいのですが、どうしても塗装が必要な場面もあるでしょう。その場合は工夫と手間が必要です。まず、下塗りをしてペーパーをかけて、それを繰り返します。それから、同性の塗料を上塗りし、これもペーパーをかけて重ね塗りします。
MDF材は、普通の木材に比べて吸水性があるので、そのまま塗装するときれいに仕上がりません。後述する加工方法のところで、もう少し詳しく説明します。
MDF材の使用用途
MDF材は、家具類の一部分、音響設備であるスピーカーの筐体部分、カラーボックスと呼ばれる類いのものの主材、家屋の裏張りなどに使われます。また、その手軽さと安さからDIYや工作でもよく使われる材料のひとつですが、短所をよく知らないと失敗に繋がります。
本棚の薄い背面パネル、スピーカーの背面パネルなどに使われてることもありますね。重量がかからないので、頑丈でなくともよいのですね。
DIYにも使えるMDF材
DIYをよくやる人は使い分けなどはご存知でしょうが、一風変わった使い方をすることもあります。DIYの作品を二点ほど紹介します。二つとも、強度が足りないものをMDF材をうまく使って、しかも簡単に使って強度を増している使い方です。
用途①百均の「スタッキングトレー」を頑丈にする
一つ目の用途は、百均の「スタッキングトレー」が強度が足りなくて歪んでしまうので、サンドイッチのように間に挟むことでしっかりとした強度を保たせるものです。なんの補強もしていないと、上の写真のように歪んでしまいますが、DIYでこれがしっかりと形を保てます。
下の写真が、DIY後のものです。歪みが補正され元の形に戻っていますし、補強されていますからもう歪みません。大きさを合わせてMDF材を切っただけです。
ただ重ねただけでは、横ずれしてしまいますが、スタッキングトレーの爪に合わせて穴を空け、穴に合わせて出っ張りを作ってやれば接着などしなくても防げます。
用途②段ボール箱を丈夫な小棚にする
二つ目の用途は、ダンボール箱の補強です。こちらはもっと簡単です。段ボール箱を空け口を横にして棚代わりに使っていると、箱の上に載せたものの重みで歪んできます。それが上の図の状態ですね。実はダンボールというのは、面に対して横側からの力には強いのですが、正面からの力には弱いのです。そこで、プチDIYをしてみたわけです。
下の写真がプチDIY後です。サイズを測ってMDF材を切断したら、段ボール箱の上に重ねただけです。これである程度までは、ものを上に載せても歪まなくなります。
こちらの作品は本当にのこぎりで切断しただけですが、角を削って丸めるのもいいですね。
右横のプラスチックキャビネットも同様に上を補強してあります。
MDF材にネジは利かないはずでは?
ネジが利かないのがMDF材の短所のひとつです。なのに、一つ目の用途でネジを使っています。これは、ネジが何も保持していないからです。普通、ネジというのは、二つ以上の部品を合わせるのに使います。一つ目のDIYの例では、そうではなく、「爪」を作っているに過ぎないのです。
棚板を留める場合などと違って、出っ張りを作っただけのその「爪」は普段、力が掛からないので、壊れづらいのです。
撥水効果を併せ持つ防カビ剤を塗布したあと完全に乾燥させたら、もうその上には、同じ塗料でも重ね塗りできないので注意が必要です。