ヒヌカン(火の神)とは?
日本には「八百万の神」と言われるほど、たくさんの神様がいます。その中でも「ヒヌカン」は、主に沖縄県や鹿児島県の奄美地方で信仰されている「火の神様」です。他にも「かまどの神」「家の神(ヤヌカン)」などと呼ばれることもあります。沖縄には「ユタ」と呼ばれる霊媒師や「御嶽(うたき)」というお祈りや祭祀などを行う施設などの神聖な場所が数多くあります。
どんな神様?
それでは、「ヒヌカン(火の神)」とは、どんな神様なのでしょうか?沖縄の人々には、とても身近な神様である「ヒヌカン(火の神)」。まず最初にその由来についてご説明しましょう。
ヒヌカンの由来
沖縄は四方を海に囲まれた、独特の文化や信仰のある国。古代より人々は、太陽が昇る東の彼方には「ニライカナイ」と呼ばれる理想郷が存在すると信じていました。そこから昇る太陽は、信仰の対象として崇められ、「火」もまた、太陽の化身である神として祀られるようになったのです。やがて、暮らしに欠かせない「火」のある場所「かまど」にも神を祀るようになりました。それが「ヒヌカン(火の神)」のはじまりだと言われています。
台所の神様
「ヒヌカン(火の神)」は「かまどの神」ともいわれ、昔から火を扱う場所である「かまど」に祀られていました。現代では、火を扱う場所は台所であるため「台所の神様」とも呼ばれ、大切に受け継がれています。家族のために食事をつくる台所は、女性が毎日立つ場所です。そのため、昔より「台所の神様」が宿る神聖な場所を守るのは、女性の役割だと言われています。
ヒヌカンの役割とは?
身近な神様である「ヒヌカン(火の神)」には、その家にとって大きく二つの役割があるといわれています。具体的なその役割とはどんなものなのでしょうか?その具体的な役割についてご説明しましょう。
家の守護神
まず一つ目は、家の守護神としての役割です。「ヒヌカン(火の神)」は、家と家族を災難から守り、家族の健康を見守ってくれる存在です。さまざまな行事の安全祈願や健康祈願など、何らしかのイベントがあるときに手を合わせたり、毎朝、家族の安全と健康を願って手を合わせるている家もあります。
伝達役
もう一つの役割として、他の神々へ話を通す「ウトゥーシドクル(お通しどころ)」です。家に住んでいるさまざまな神様と人間との折り合いをつけてくれたり、お墓や仏壇が遠く離れている場合など「ヒヌカン(火の神)」を通して拝めたり、多くの神様に思いや願いを伝達してくれたり、とても重要な役割を担っています。
次のページでは、ヒヌカンをお祀りするタイミングやセットの仕方について解説します。
出典:写真AC