苛性ソーダとは?
正式名は水酸化ナトリウム
苛性ソーダは食塩を原料として作られる化合物で、ナトリウムイオンと水酸化イオンからなるイオン結晶です。正式名を水酸化ナトリウムといいます。強アルカリ性の化合物として工業用に広く利用されています。常温では無色無臭の個体で白い粒状やフレーク状をしていますが、吸湿性がよいという特徴がありますので空気中に放置するとドロドロの状態になり発熱することがあります。
劇物に指定されている
苛性ソーダは、強いアルカリですので使い方によってはたいへん危険な化合物です。人の皮膚に触れると強い痛みやただれを引き起こす可能性があり、利用するときには注意が必要です。このため毒劇物取扱方や薬事法などで劇物に指定されています。薬局で購入できますが、購入時には印鑑や身分証明が必要です。
苛性ソーダの特徴
強いアルカリ性
苛性ソーダは水に溶かすと、陽イオンと陰イオンに分かれる電離をおこして強いアルカリ性の液体になります。この強いアルカリという性質が、酸性の汚れであるがんこな油汚れやたんぱく質の汚れを分解するのに役立ちます。アルカリ性が強ければ強いほどがんこな酸性の汚れに対して洗浄力を発揮できるのです。
重曹とは違うもの
苛性ソーダと重曹は同じものだと勘違いされることがよくあります。重曹は、正式名を炭酸水素ナトリウムといいみなさんがよく知っているベーキングパウダーの主成分で料理にも使われています。最近ではエコなクリーナーとしても人気があります。弱アルカリ性ですので酸性を中和する働きは同じですが、強アルカリ性の苛性ソーダにくらべると洗浄力は弱いのが特徴です。
強い腐食性がある
苛性ソーダは強アルカリ性のために腐食性があるといわれています。腐食性というのは、化学反応によって金属などにサビを発生させたり溶かしたりする性質のことで、人間の皮膚や体の中でも同じようなことがおこります。苛性ソーダが人の皮膚につくとその成分の作用で強い痛みやただれを引き起こします。また、目の中に1滴でも入ると失明の恐れがあるといわれています。
苛性ソーダの使い方や用途
油汚れを落とす
強アルカリ性の苛性ソーダですが、使い方によってはたいへん心強いアイテムです。特にキッチンの油汚れにはその効果を最大限に発揮してくれます。油汚れやコゲのこびりついたコンロやドロドロでベタベタの換気扇など、キッチンには油汚れがいっぱいです。掃除が嫌いな人にとってキッチンの汚れほどいやなものはないでしょう。そんながんこでベタベタの汚れをかんたんに落とす方法があればうれしいですよね。
キッチンのコンロ
キッチンで油汚れがなかなか落ちないところと言えばとコンロですが、ゴシゴシとタワシでこすってはいませんか?そうすると金属の部分が傷ついたり、傷がついたところがサビてしまったりすることになりかねません。そんなときは、苛性ソーダを溶かした液体に漬けおきすることでがんこなコゲつきや油汚れがゆるんで落ちやすくなります。そのやわらかくなった汚れを落とせばいいのです。
換気扇
キッチンでいちばん掃除に苦労するのが、ドロドロでベタベタの換気扇です。換気扇の油汚れにも苛性ソーダは強い洗浄力を発揮します。取り外した換気扇の部品を苛性ソーダを溶かした液体に漬けおきすると油でベタベタの汚れがするんと落ちます。また、布にしみこませた苛性ソーダの液体で換気扇まわりを拭くだけでもすっきりと汚れを落とせます。
お風呂掃除
おふろの配管が髪の毛や石鹸カス、皮脂汚れで詰まってしまって困ったことはありませんか?こんなお悩みも苛性ソーダが解決してくれます。それは、苛性ソーダがお風呂の配管につまった髪の毛やタンパク質の汚れを溶かす作用があるからです。排水口に苛性ソーダで作った液体を流しこむことで詰まりを解消できます。
石鹸作り
苛性ソーダは手作り石けんを作る材料にも使われます。油脂と苛性ソーダを混ぜると化学反応が起きることで石鹸になります。オリーブオイルやココナッツ油などの油脂と苛性ソーダの液体を混ぜてペットボトルや牛乳パックなどに流し込むと簡単に石鹸ができます。また、ハーブやアロマオイルを混ぜると、自分好みの石けんが作れます。
苛性ソーダの危険性と注意点
やけどの危険性
苛性ソーダは、水に触れると激しく発熱しやけどをする危険性があります。液体を作るときには一気に大量の水に溶かすのはやめた方がいいでしょう。また、空気中に放置すると吸湿して発熱することがあります。保管するときは、水気に十分注意して保管するようにしましょう。
皮膚につくと危険
苛性ソーダは、強アルカリ性ですので皮膚につくと痛みやただれをひきおこす危険性があります。そのため、苛性ソーダを使用するときにはゴム手袋やマスクを用意して使用しましょう。また、目に入ると失明のおそれがありますのでゴーグルの着用もおすすめします。
まとめ
このように、苛性ソーダにはいろいろな用途があり便利ですが、使い方を間違えると大変なことになりますので注意が必要です。用途に応じた正しい使い方や正しい保管方法を守って使用するようにしてください。特に子供さんのいるご家庭では、細心の注意が必要なことも忘れないでください。