はじめに
「ピクトグラム」をご存知ですか?あまり聞き慣れない言葉ですが、2020年開催の東京オリンピックでは33競技50種類の「ピクトグラム」が発表され、ニュースでも大きく報道されました。実は、私達の生活にも密接に関わっています。今さら聞けない「ピクトグラム」が表す意味やその歴史、またピクトグラムの種類にはどんなものがあるのか、ご紹介します。
ピクトグラムとは
私達が日々生活しているだけでも駅や街中、道を歩いているだけでも日常的にさまざまな場所でさまざまなピクトグラムを目にしています。それだけ、私達の生活に馴染みが深く、私達がスムーズに生活をする上で、なくてはならないものです。ピクトグラムとはどういうものなのか、また似たような性質のあるアイコンやロゴマークとの違いについて、ご説明していきます。
ピクトグラムとは世界共通のマーク
誰にでも分かりやすい「ユニバーサルデザイン」
「ピクトグラム(ピクトグラフ)」とは地図や標識、案内図などに用いられる2色の絵文字のサインのことです。街なかで男子トイレや女子トイレのマーク、非常口、車椅子マークなどのデザインを目にしたことがあるのではないでしょうか。言語や文化が違っても、その形からのイメージだけでそのマークの意味が読み取れるようになっています。
ピクトグラムとアイコンの違い
ピクトグラムは「誰にでも」アイコンは「ユーザー向け」
「ピクトグラム」は地の色ともう1色の2色で、老若男女問わず、外国の方にまでぱっと見ただけで意味が通じるように作られています。「アイコン」はさまざまな色でカラフルに表現され、主にそれを使っているユーザーなど、基礎知識がないとその意味がわかりづらいです。例えば、twitterの鳥の形のアイコンやLINEの吹き出しのアイコンなどがあげられます。
ピクトグラムとロゴの違い
ピクトグラムは「公共サイン」ロゴは「企業のシンボル」
ピクトグラムに似たものはもうひとつ、「ロゴマーク」があります。ピクトグラムが2色で表され、図形のみで誰にでも分かるように公共の案内に使われるサインです。これに対して、ロゴマークは特定の企業の社章、社名をデザイン化したものです。使う色も2色にとどまらず、企業カラーを使うなど、その企業のシンボルとして商品や看板、ホームページなどに使われます。
ピクトグラムにも落とし穴!?
大変便利なピクトグラムですが、実はデメリットもあります。まず1つ目は、文字を入れることがないため、地名など特定のものをあらわすのには向きません。2つ目は、人によってマークの意味や捉え方が違ってしまうことがあります。例えば、私達には馴染みの深い温泉のマークですが、海外の方には温かい料理を出してくれるお店として認識されてしまうことがあります。
JIS規格とISO規格
日本の規格と世界の規格
世界にはISO(国際標準化機構)という組織があり、国同士が取引をスムーズにできるように世界共通の基準をつくっています。これがISO規格です。ピクトグラムも例外でなく、日本の基準のJIS規格とはデザインが違います。JIS規格では勘違いが起きるため、東京オリンピックに向けて世界共通のISO規格のデザインにそったピクトグラムがつくられています。
実は、ピクトグラムは1964年の東京オリンピックと関係が深いんです。次は、ピクトグラムの歴史について触れていきます。
出典:写真AC