サンドペーパーの用途
サンドペーパーは木材や金属などの表面を磨き、なめらかにするために使います。耐久力は強くなく、研磨剤の剥がれやへたり、目詰まりを起こしやすい一方で、木材や金属、プラスチックなどに幅広く使え、たいへん便利です。また、表面の研磨はもちろん、棒に巻きつければ狭いところやパイプの中など、使う場所を選びません。ほかのやすりに比べると安価で手軽に入手できるのも魅力の1つです。
用途①バリ取り
木材や金属、プラスチックなどを切断したときにできるささくれが「バリ」です。バリがあると見た目が悪いだけでなく、引っかかってほかのものを傷つけたり、思わぬケガにつながったりしてしまいます。このバリはサンドペーパーで細かく削ることできれいに取れ、なめらかな表面に仕上がりますよ。また、模型などはバリを取ることで、よりきれいにつくれます。
用途②塗装はがしやサビ落とし
車などのペイントやキズを補修するときにまず必要なのは、古い塗装をはがすことです。サンドペーパーは、古い塗装をはがすのにも役に立ちます。複数の番手(目の粗さ)のサンドペーパーを組みあわせれば、表面も一層なめらかになり、新しいペイントがのりやすいですよ。またサビにも有効で、削り落として上から錆止めをすれば、骨董品でも新品同様になります。
用途③刷毛跡やたれの処理
木材や金属の塗装をハケでする場合、ハケ跡の筋が残ってしまうことがあります。また、塗料を多く塗ってしまうと、垂れてしずくのような跡が残ってしまうことも多いです。そのようなときでも、塗料が厚くなったところをサンドペーパーで優しく削り取れば、きれいに仕上げられますよ。
用途④面取り
面取りとは、木材の角ばったところを削ることです。先ほどの「バリ取り」とおなじように、引っかかってケガをしたり、壁や床を傷つけてしまったりすることを防げます。それだけでなく、角を斜めに削ったり丸みをつけたりするなどと、形をつけながら削ることでおしゃれな装飾にも仕上がりますよ。
用途⑤仕上げ加工
サンドペーパーを使えば、以下のようなさまざまな加工もできますよ。
エイジング加工 | わざと経年劣化したように見せる加工。塗装を少し剥がしたり、細かい傷をつけたりすることで、使い込んでかすれた感じが出せる。 |
ウェット研磨 | 塗装が乾く前に耐水ペーパーで磨き上げること。砥いだ木くずが木目に入り込み、よりなめらかな質感に仕上がる。 |
鏡面仕上げ | 金属を細い目のペーパーで磨き上げること。鏡のように周りのものが映り込むほどきれいにできる。 |
サンドペーパーの種類
紙やすり
紙やすりは紙に研磨剤を塗ったものです。そのため安価で手に入り、場所を問わず手軽に使えますが、耐久性や耐水性はあまりありません。目詰まりや劣化をしやすく、水洗いや再利用もできないため、使い捨てとしてあらかじめ枚数を確保しておくとよいでしょう。
布やすり
布やすりは、研磨剤を布に接着したものです。耐久性が高く、電動サンダーやディスクグラインダーなど電動工具と一緒に使え、金属などの硬いものでも削れます。また布製のためどのような形にも対応しやすく、曲面の研磨はもちろん、棒状のものなどを研磨するときにもぴったりあわせやすくて重宝しますよ。
耐水ペーパー
耐水ペーパーは、耐水加工がされていて、水やオイルを使って研ぐサンドペーパーです。研磨くずが出にくく、仮に研磨くずが出ても洗い流せるため、目詰まりが起こりづらくて便利ですよ。また、プラスチックなど、摩擦熱で変形や変色するようなものであっても、水で冷やしながら研磨でき、見た目もきれいに仕上がります。水でサビてしまう金属には、オイルを使うとよいですよ。
空研ぎペーパー
紙やすりと同じく紙に研磨剤を接着し、その上からコーティングをすることで目詰まりしづらく、さらに耐久性を高めたものです。紙やすりより丈夫で長持ちし、サンダーなど電動工具にも使えます。木材など粉が出やすく目詰まりしやすいものに向いています。空研ぎペーパーは紙ヤスリと同様に耐水性があまりないため、水と一緒には使えません。
ポリネットシート
ポリネットシートは、メッシュ状の樹脂シートに研磨剤を塗ったサンドペーパーです。メッシュで目詰まりしづらいだけでなく、水にも強く、洗って繰り返し使えます。表にも裏にも研磨剤がついているため両面を使用でき、丈夫で電動工具でも使えるなど万能ですが、ほかのサンドペーパーより割高です。
フィルム研磨剤
フィルム研磨剤は、樹脂フィルムに細かい研磨剤をつけたものです。ラッピングフィルムとも呼ばれます。目が非常に細かく、ぴかぴかに磨き上げることに向いています。ギターなどの楽器やアクセサリーなど、精密な作業を必要とするものや場所にはもってこいです。水にも強く、洗って再利用もできます。
ダイヤモンドペーパー
ダイヤモンドは非常に硬い鉱石です。研磨剤にダイヤモンドを配合することでその特性を生かし、硬い素材を研磨できます。包丁に使われているセラミックや石材、ガラスの水垢落としなど、さまざまな素材に使えますよ。ダイヤモンドペーパーは研磨力が強く、柔らかい素材に使うと削りすぎてしまうため注意が必要です。
サンドペーパーを選ぶ3つのポイント
乾式と湿式
サンドペーパーには、乾いた状態で使う「乾式」と水や油を掛けながら使う「湿式」があります。空研ぎペーパーに代表される乾式は、水を吸う木材や水でサビる金属に使えますが、研磨くずを流せないため目詰まりしやすく、粉塵も舞いやすいです。湿式は研磨くずが出にくいうえに、熱も起こりづらいですが、研削液の除去や保管方法など注意しなければいけません。
粒度
「粒度(番手)」とは、研磨剤に含まれる「砥粒」と呼ばれる物質の大きさを表す度合いです。番手の数が少ないほど大きな修正に向いていて、番手の数が多いほど目が細かく小さな傷や磨き上げに向いています。粗目のものから徐々に番手をあげていくことで、きれいに研磨できますよ。
JIS規格(#)とヨーロッパ規格(P)
番手の表記には2種類あります。日本独自の規格であるJIS規格(#)と国際規格であるISO規格を基準にしたヨーロッパ規格(P)です。JIS規格とヨーロッパ規格とでは、おなじ数字でも粒度に違いがあるので注意が必要です。おおよその番手と使用方法の目安をまとめました。
サンドペーパーの番手と使用方法 | |||
JIS規格 | ヨーロッパ規格 | 使用用途 | |
#40~#100 | P40~P100 | 粗目 | バリ取り、塗膜剥がし、サビ落とし |
#120~#240 | P120~P220 | 中目 | 塗装の下地処理、サビ取り、工作の仕上げ |
#240~#800 | P220~P1000 | 細目 | 塗装の下地処理、後処理、ウェット研磨 |
#1000~#2000 | P1200~P2400 | 極細目 | 金属の汚れ落とし、磨き上げ、鏡面仕上げ |
#2000~ | P2400~ | 精密機器・貴金属・骨董品などの研磨、鏡面仕上げ |
タイプ
サンドペーパーにはさまざまなタイプがあります。形でいえば、シート状やロール状、グラインダーで使うディスク状のもの、ベルトサンダーで使うベルト状などがあります。また、当て木などに簡単に装着できるのり付きのものや、専用ホルダーに使うマジックテープ式などもあるので、自分にあったものを選びましょう。
次のページでは、サンドペーパーのおすすめ商品についてみていきますよ。
出典:写真AC