ブショネとは
「ブショネ」というワイン用語をご存知ですか?ブショネとは、ワインの品質劣化を意味する用語で、赤ワインにも白ワインにも起こりうる現象です。この記事ではそんなブショネの語源や、酸化との違いについてくわしくご説明します。
ブショネの語源
ブショネの語源は、フランス語でコルクという意味をもつ「Bouchon(ブション)」です。コルクは樹木の皮からできているもので、ワインの栓に使われます。ブショネの発生の多くは、コルクの汚染が原因といわれています。
ブショネの原因
①コルク
コルクの汚染は、ブショネを引き起こす主な原因のひとつです。コルクの中に潜んでいたバクテリアなどの細菌が、消毒剤と化学変化を起こしてトリクロロアニソル(TCA)という物質を発生させることがあります。この物質がブショネの原因と考えられています。
②コルク以外
コルクを語源とするブショネですが、それ以外のものが原因となることもあります。ブショネの原因であるトリクロロアニソル(TCA)は、バクテリアと消毒剤が反応して発生することがほとんどです。そして、木樽や段ボールなどの細菌と化学反応を起こして発生する場合もあります。つまり、コルクが健全でもブショネが起こる可能性があるのです。
ブショネの発生確率
ブショネは約5%の確率で発生するといわれています。発生確率は赤ワインも白ワインも同じで、高級ワインにもブショネが発生する可能性はあります。しかし、現在はコルクの品質改善や樹脂製の栓を使うなど、ブショネの発生率を低減する工夫が取り入れられています。
ブショネの特徴
カビのような臭い
カビのような臭いは、ブショネの特徴のひとつです。ブショネの主な原因がコルクの汚染によるものなので、多くの場合、コルクがかびたような臭いがします。ほかに、段ボールが濡れたような臭いとたとえられたり、古い雑巾の臭いとたとえられたりもします。
実際のカビとは無関係
カビのような臭いがするからといって、実際にカビが生えているものがブショネしているとは限りません。カビが生えるのは、湿度の高いところでワインが保管されていた証拠です。ワインは湿度65%~70%で保管するのがよく、適切な環境で保管されるとカビが発生しやすくなります。そのため、コルクの上部にカビがついていても、ブショネとは関係ない場合がほとんどです。
その他の劣化
熱劣化
ワインは高温で保存すると、熱劣化という品質劣化が起こることがあります。熱劣化とは、高温で保存されたワインの成分が化学変化を起こして風味が落ちてしまうことです。熱劣化はワインに含まれるタンニンの量が関係するので、一般的に白ワインよりも赤ワインのほうが熱劣化に強いとされています。熱劣化を起こすと、コルクにワインが染み出すことがあります。
酢酸菌の増殖
酢酸菌とは、通常どのワインにも含まれている酸っぱい味の原因となる成分です。ワインを適切に保存できていないと、この酢酸菌が増殖することがあります。酢酸菌が増殖すると酸っぱい味や鼻につくような刺激臭がするようになり、ワイン本来の風味が感じにくくなります。酢酸菌の増殖を防ぐためには、空気の少ない環境で保存するようにしましょう。
ブショネの見分け方
次にブショネの見分け方についてご説明します。もしかしたらブショネかもしれないと思ったら、これから紹介する方法を試してみてくださいね。
臭いをかぐ
ブショネしたワインからは、カビのような臭いがします。そして、この独特の臭いは酸化によってさらに強くなる傾向があります。酸っぱい臭いの中にカビの臭いが混ざってブショネかどうかわかりにくいときは、ソムリエや店員に直接聞いてみるようにしましょう。
ステアして放置する
ブショネは、ワインをグラスに注いでステアすることで判断できるケースもあります。ステアとはグラスを回す動作のことで、テイスティングのときにする動作です。ステアで酸化させて1分~2分放置したあとで、再度臭いを嗅いでみてください。不快な臭いが悪化した場合は、ブショネである可能性が高いといえます。