麻ってどんな生地?
麻の生地は植物の「麻」から作られています。麻にはいろいろな種類があって、衣類の素材表示で見かける「リネン」や「ラミー」も麻の一種です。リネンやラミーは麻の中でも繊維が細くなめらかな生地なので、シャツやブラウスなどによく使われています。ラグの素材として見かける「ジュート」、紐などによく使われる「ヘンプ」といった素材も麻の仲間なのです。
夏の衣類や寝具に最適!
麻には以下のような特徴があります。
- 繊維が硬い
- 風通しがよい
- 吸水性・吸湿性に優れいている
- 乾くのが早い
また、綿などの他の天然素材よりも吸水性や吸湿性がバツグンで、汗をかいてもすぐ吸い取ってくれるのです。その上、速乾性もあるので吸い取った汗もすぐ乾きます。風通しもよく涼やか。麻は夏にこそ積極的に使いたい素材です。
洗濯するとどうなるの?
麻は魅力いっぱいの素材。特に夏場は、毎日でも着たくなってしまいますね。何度も着るとなると洗濯も何度もすることになりますが、麻には少し繊細なところもあるのです。洗濯の方法次第では素材のメリットよりデメリットの方が優ってしまうことも。洗濯するとどうなるのでしょうか。4つの特徴をお話しします。
縮むことがある
麻には水に濡れると繊維がギュッと引き締まるという性質があります。引き締まるということは、繊維が縮むということです。縮まないように加工されているものも多いのですが、商品によっては洗濯すると数パーセントほど縮む場合も。購入するときは縮むことを念頭に入れる必要がありますが、洗濯の仕方によっては極力縮みを防ぐこともできますよ。
色落ちする
麻は繊維の奥まで染めることが難しい素材なのです。染料が繊維にしっかりなじまないので、特に色の濃い製品は水の色が染まるほど色落ちすることもあります。洗濯や着用時の摩擦で他の衣類などへ色が移ってしまうこともあるので、特に購入したての商品を身に付けたり洗濯したりするときは注意しなければなりません。
シワになりやすい
また、シワになりやすいという性質もあるのです。洗濯して脱水すると絞られた跡がくっきり残ってしまいますし、畳んで保管しておくと畳みジワができてしまいます。シワ感がカッコよく決まる衣類もありますが、きれいめのシャツやジャケットなどにシワがよるとイマイチな印象になるので注意したいところですね。
洗うたびに生地が柔らかくなる
ここまで洗濯することによるデメリットをお話ししてきましたが、メリットもあります。それは、洗濯するたびにどんどん生地が柔らかくなること。洗濯を繰り返すと硬い繊維が次第にほぐれて手触りもソフトになり、肌になじむ生地になっていくのです。
麻製品の洗濯頻度は?
洗濯によるデメリットが多いと、洗濯の頻度は少ない方がいいように思うかもしれませんね。ですが、麻製品は「着用したらその都度洗濯」が基本。なぜなら麻は皮脂汚れなどを吸着しやすいため、汚れを放っておくと黄ばみになりやすいからです。麻は荷造りの紐に使われるほど頑丈な繊維なので、洗濯頻度が多くても大丈夫。むしろ洗濯をするたびに風合いが増していくので、洗濯のコツを知って丁寧に手入れすれば長く付き合うことができますよ。
麻製品の洗濯方法
洗濯前の注意点
麻の特色を理解し、特色に合った方法で洗濯すると長く使い続けられますよ。まず、洗濯機に入れる前に気をつけることをお話しします。
洗濯表示を確認
まず、洗濯表示を確認します。麻は強い素材なので、洗濯機を使って洗えるものがほとんどです。しかし、ウールなど水に弱い繊維が混じっていたり、ビーズなどの装飾品がついてたりすると手洗いまたはドライクリーニングになる場合もあるので、忘れずにチェックしましょう。
襟やそでの汚れは予洗いする
えりや袖などの皮脂汚れ、食べ物などでついた部分汚れは洗濯前に取っておきます。麻には吸着性があり、汚れが繊維の奥に入ってくっついてしまうので、洗濯機だけでは汚れを落とせないこともあるからです。きちんと汚れを落とさないと黄ばみのもとにもなってしまいますよ。酸素系の漂白剤や蛍光増白剤の入っていない洗剤や石けんで予洗いしてから洗濯しましょう。
色の濃い製品は単独で洗う
色の濃いものは別にすると、他の洗濯物への色移りも防げます。特に買ったばかりの製品ほど色落ちのリスクが高いです。色落ちはだんだん落ち着いてきますが、他のものと一緒に洗濯機に入れない方が安心ですね。
準備するもの
麻製品を洗濯する際に準備するものは以下の4つです。
- 中性洗剤(おしゃれ着洗い用洗剤)
- 洗濯ネット
- 酸素系漂白剤
- 蛍光増白剤不使用の石けん
洗い方
必要なものを準備し、予洗いを済ませたら洗濯機に入れて洗濯スタートです。洗い方のコツは4つ。難しい工程はありません。いつもの洗濯方法に少し手を加えるだけで仕上がりに差が出ますよ。
衣類を裏返しにして洗濯ネットに入れる
まず、衣類を裏に返します。裏返しにして洗うと生地が傷みにくいですし、色落ちもしにくくなりますよ。洗濯ネットは目の細かいものがおすすめです。生地へのダメージがさらに軽減されますよ。
お湯は使わない!水で洗う
洗濯には、水か30℃以下の水温のぬるま湯を使います。これも生地の傷みと色落ちを防ぐためです。また、低い水温の方が生地も縮みにくいですし、強度も増すのでさらに丈夫な生地になるというメリットもあります。
すすぎはしっかり!
「すすぎ1回でもOK」の洗剤もありますが、麻製品を洗う時は2回すすぐようにしてください。吸着性の高い麻製品は、洗剤も吸着し洗剤のカスが繊維に残ってしまうことがあるからです。残った洗剤カスは時間がたつと黄ばんでくることもあります。汚れも洗剤もきれいに落とすために、しっかりすすぎましょう。
脱水時間は短くor脱水しない
衣類にシワがよるのは脱水のしすぎが原因。脱水しないか、少しだけ脱水して干すとシワを防げます。脱水する場合は長くても30秒でストップしましょう。脱水せずに干すと、生地に残っている水分が重力で下に落ちますよね。水が上から下に落ちていくときにシワも伸びてきれいになるのです。
麻製品の干し方
麻製品は干すときにもいくつか注意点があるのです。正しい方法で干すと、シワや色あせの可能性がグッと減りますよ。詳しくお話ししていきます。
半日陰に干す
干す場所は、外に干すなら反日陰がベストです。直射日光に当てると生地が傷んでしまいますし、色あせもしやすくなります。もちろん室内に干しても大丈夫。リネンは速乾性があるので、外に長時間干さなくてもすぐ乾きますよ。
タンブラー乾燥は絶対NG!
タンブラー乾燥で乾燥させるのは避けましょう。タンブラー乾燥は強い温風で乾燥させるので生地が傷みやすい上、大きく縮んでしまう可能性が高いです。
洗濯バサミは使用しない
洗濯バサミでとめると、とめたところがしっかり跡になって残ってしまいます。なるべく洗濯バサミは使わずに干しましょう。どうしても使用したい場合は、跡が目立たないところをとめるようにしたいですね。ハンガーも肩の部分に厚みがあるものを使うと、跡がつきにくいのでおすすめです。
シワになってしまったら?
コツを押さえて洗ったり干したりしても、シワがよってしまうことはあります。シワが気になる場合は、アイロンがけするといいですよ。以下の3点が上手にシワをのばすコツです。
- アイロンは温度は高温にする
- 乾ききっていない状態でアイロンをかける
- 霧吹きで湿らせながらアイロンをかける
麻製品の保管方法
上手に洗って上手に干したら、保管も上手にしたいですよね。衣類は厚みのあるハンガーにかけて保管しましょう。シワを防ぐだけでなく、形崩れもしにくくなります。麻には虫がつきやすいため、保管時には防虫剤を使いましょう。また吸湿性もあるので、防湿剤もいっしょに入れると次のシーズンもきれいな状態で着れますよ。
まとめ
麻は汗をよく吸いとってくれるし乾きやすい、夏にぴったりの素材。しかし少しデリケートなところもあり、洗濯するときにはいくつか注意することがあります。ですが、使い込んでいくうちに硬い繊維が柔らかくなり優しい風合いが増すので、丁寧に手入れすると長く着れますよ。正しい洗い方や干し方で、お気に入りの麻の衣類を長持ちさせてくださいね。