シリカゲルとは
乾燥剤としてお馴染みのシリカゲル。お菓子の袋などに入っていて、普段目にする機会も多いですよね。実は再生して繰り返しつかえるんです。なぜ再生できるのかをお伝えするために、まずはシリカゲルについて説明します。種類によって再生方法が変わるので、そちらもチェックしてみてください。
シリカゲルの特徴
シリカゲルは二酸化ケイ素という成分でできていて、表面に水と結合しやすい分子を持っています。また、この二酸化ケイ素が密に集合することで、網目のような構造になり、水を取り込む穴がたくさんできます。そのためシリカゲルは水を吸着しやすく、乾燥剤として活躍してくれるのです。
シリカゲルの安全性
二酸化ケイ素は安定な物質で消化吸収もされないので、口に入れても中毒の心配はありません。そのため安心して使っていいといえるでしょう。ちなみに二酸化ケイ素を構成するケイ素は、地殻成分に多く含まれるミネラル物質で、人体でも重要な働きをしています。最近では、ケイ素を含むシリカ水が流行するなど、ケイ素のミネラルとしての働きに注目が集まっているようです。
シリカゲルの種類
シリカゲルには2種類あります。種類によって再生方法が変わるので、ここでそれぞれの特徴について紹介します。下の表に簡単にまとめてみました。
A形シリカゲル | B形シリカゲル | |
網目構造 | 密 | 緩やか |
吸湿スピード | 速い | ゆっくり |
吸湿に適した湿度 | 低湿度 | 高湿度 |
放湿 | 150度以上で放湿 | 低湿度になると放湿 |
A形シリカゲル
A形シリカゲルは吸湿のスピードが速く、湿度が低い場所での吸湿に適しています。どんどん空気中の水分を吸収していくので、密閉された状態で使わないとすぐに吸湿力を失ってしまいます。そのため食品や薬品、電子部品などの乾燥剤として使われています。150度以上に加熱すると、水分を放出して吸湿力が復活します。
B形シリカゲル
B形シリカゲルは吸湿のスピードがゆっくりで、湿度の高い場所での吸湿に適しています。そのため押し入れやクローゼットの除湿に使われます。湿度が低くなると水分を自力で放出し、湿度を60%ほどに保つはたらきがあります。
シリカゲルは電子レンジで再生できる?
電子レンジで再生できる
さきほど記述した通り、A形シリカゲルは150度以上になると、取り込んだ水分を放出させて吸湿力が復活します。そのため電子レンジで加熱し高温状態にすることで再生して、繰り返し使うことができるのです。
吸湿力をなくしたシリカゲルの見分け方
写真のように、シリカゲルにはインジケーターと呼ばれる青い粒が混ざっています。これが吸湿力のバロメーターです。インジケーターが青の状態では、シリカゲルは吸湿力を保っているので乾燥剤として働いてくれます。
湿気を吸っていくと、シリカゲル全体が白っぽくなり、青かったインジケーターがピンクに変色します。こうなると乾燥剤としての役目を果たしてくれません。ピンクになったシリカゲルは電子レンジで再生させましょう。
再生できない種類も
B形シリカゲル
B形シリカゲルは湿度が低くなると自然に水分を放出します。そのため電子レンジではなく、天日干しで吸湿力を復活させましょう。この場合も、再生サインが青からピンクに変わったら再生が必要です。
乾燥剤の種類に注意
再生できるのはシリカゲルのみです。他の乾燥剤は再生できないので、乾燥剤の中身には注意しましょう。例えば上の写真の乾燥剤は生石灰です。生石灰は湿気を吸うと化学反応を起こして消石灰に変わり役目を終えるので、再生することはできません。間違えて電子レンジに入れることのないように注意しましょう。ちなみに、消石灰はガーデニングの肥料として別の用途で再利用できますよ。
シリカゲルを電子レンジで再生する方法
再生手順
いよいよ本題の再生手順です。
用意するもの
|
再生手順
再生手順はとても簡単です。
- 耐熱皿にシリカゲルを敷きます。
- 電子レンジで加熱します。加熱時間は500~600Wで1分30秒から2分ほどです。
- 電子レンジから取り出します。
- 少し置いたら耐熱皿の上に新聞紙をかぶせ、放出される水分を吸着させます(できれば)。
加熱時間とコツ
加熱時間
加熱時間は500から600Wで1分30秒から2分です。追加で加熱するときは30秒ずつするとよいでしょう。電子レンジの機種によっても変わるので、必ず様子を見ながら加熱してください。シリカゲルの量や粒の大きさによっても加熱時間は変わります。商品によっては加熱時間が記載してあるものもあるので、注意書きをよく読んで再生しましょう。しっかりと加熱して復活させたシリカゲルは長持ちしますよ。
コツ
ちょっとしたコツをご紹介します。シリカゲルは容器に薄く広げて加熱しましょう。熱が均等に行きわたるので上手に再生できます。厚みはおよそ1㎝までとするとよいでしょう。時々容器を揺すってシリカゲルを循環させると、より均一に加熱できます。
電子レンジで再生する際の注意点
①高温に注意
シリカゲルは熱することで非常に高温になります。見た目が変わらないので油断しがちですが、加熱後のシリカゲルには直接触れないようにしましょう。また、加熱のし過ぎは電子レンジの故障につながるので、必ず様子を見ながら少しずつ加熱してください。
②誤飲に注意
人体に害はないといっても、シリカゲルの粒はとても小さいです。誤って口に入れ、気管に入ってしまったら大変危険です。小さなお子さんやペットのいる家庭では、シリカゲルの取り扱いに一層注意してください。作業後は掃除機がけをおすすめします。
シリカゲルの利用方法
再生したシリカゲルは、さまざまな用途で再利用できます。おすすめの使い道を3つ紹介します。
①食品の乾燥剤
まずは食品の乾燥剤として再利用する方法です。だしパックで小分けにしたシリカゲルを、乾燥させたい食品と一緒に保管します。密閉された空間で効果を発揮するので、保存容器の中にそれぞれ入れておく方が長持ちします。手作りのクッキーなども、シリカゲルで除湿すればカビの発生を遅らせることができます。
②衣服の湿気取り
衣服の湿気取りとしても再利用できます。通気性の悪いクローゼットの中や引き出しの中など、湿気の気になるところに置くだけです。食品の保存容器より空間が広いので、多めに使いましょう。他の乾燥剤との併用もおすすめです。繰り返し使えるシリカゲルを併用することで、使い捨ての乾燥剤を長持ちさせてくれるでしょう。
③ドライフラワー作り
シリカゲルはドライフラワー作りにも使用できます。花をシリカゲルに埋めて1週間ほどで、できあがりです。自然乾燥より早く、そして枯らすことなく色鮮やかにドライすることができます。粒子の細かいドライフラワー用のシリカゲルがあるので、そちらを使うとよいでしょう。この場合も再生方法は同じです。電子レンジで何度でも再生させ、再利用しましょう。
まとめ
気密性の高い集合住宅や、換気の行き届かない収納スペースなど、住まいにはなにかと湿気が溜まりやすいです。湿気は放置すると結露やカビの原因になるので、悩んでいる人も多いのではないのでしょうか。そんなとき、置くだけで湿気を取ってくれる乾燥剤はとても役に立ちます。シリカゲルなら何度でも再利用できて経済的ですね。ぜひ生活に取り入れてみてください。
もう少し詳しく見ていきましょう。