正月に欠かせない!門松とは?
門松(かどまつ)は松や竹で作った正月飾りです。例年クリスマスが終わった時期にデパートなどの前に飾られ、年末年始の雰囲気を盛り上げます。日本の正月に欠かせない門松にはどのような意味があるのでしょうか。
門松の意味
門松は、年神様を家に迎え入れるための目印です。門松の風習は平安時代に中国から伝わったといわれます。中国の一部地域では唐の時代から、正月に松の枝を門に飾っていたのです。常緑樹である松は、生命力や繁栄の象徴とされていました。日本でも松は、神を「祀る(まつる)」や神を「待つ」につながることから、神が宿るとされる常盤木(常緑樹)の中でも大切にされています。
松だけの飾りから竹との組み合わせへ
もともとは松だけを飾っていた門松ですが、鎌倉~室町時代以降は竹を合わせた飾り方になりました。まっすぐにぐんぐん伸びる竹は、生命力や成長の象徴です。「松は千歳を契り、竹は万代を契る」といわれます。門松は正月に山からおりてくる年神様の依り代(神が宿る場所)で、家が神に守られて永遠に栄えることを願う意味があるのです。
門松の様式
本来は寸胴型な新年の門松は徳川家康が三方ヶ原の戦い後、武田信玄を竹に見立て削ぎ落としたことから「そぎ型」が生まれ主流となったそうですが、後に多くの武田家臣が徳川へ仕えたため神田明神ではこのように両方のタイプが見られるのでしょうか pic.twitter.com/O638jGYEtv
— ツルミロボ (@kaztsu) January 7, 2019
もともとの形は「寸胴」
門松は、高さの違う竹を3本と松を組み合わせて梅をあしらい「松竹梅」を揃え、対にして左右対称に配する方法が一般的です。しかしかつては対にするのは神社だけで、一般家庭では1つだけ飾るのが普通でした。また竹の先端部は、真横に切った「寸胴」と斜めに切った「そぎ」があります。「寸胴」がもともとの門松の姿で、お金が貯まるとして金融機関などで好まれる形です。
「そぎ」や「笑い竹」もよく見られる
「そぎ」の門松を始めたのは徳川家康だといいます。三方ヶ原の戦いで武田信玄に敗北した後、「今度は武田を斬る」との決意をこめて竹を斜めに切ったというのです。また、斜めに切るときに節の部分で切ると笑っているように見え、切る位置によって表情が変わります。「笑い竹」は「笑う門には福来る」に通じるとして好む人もいる形です。
置き方でも意味が異なる
門松の真ん中の3本の竹の長さは7:5:3で、7が男性、3が女性、5は両者を取り持つ意味があるといわれます。松は、門に向かって左側に雄松(黒松)、右に雌松(赤松)を使っていました。また画像のように、2番目に高い竹が内側にくる飾り方(迎え飾り)と外側にくる飾り方(出飾り)で意味が違います。門松の形や縁起物の飾り方には地域差もあるので、調べてみるとよいでしょう。
門松の飾りとしてよく使われる縁起物
- 梅の枝:気高さや長寿、1年の始まりの象徴。
- ナンテン(南天):難を転じて福となす縁起木。
- センリョウ(千両):金運アップの縁起木。
- クマザサ(隈笹):生命力が強く殺菌効果をお清めに使われる。
- ユズリハ:家業や家を代々譲って子孫繁栄していく意味。
- ウラジロ:葉の裏が白いシダ植物。心の潔白や、白髪になるまで長生きする意味。
- 葉牡丹(紅白):葉が重なっているように、よいことが重なる。
- 紙垂(しで):紙に切り込みを入れて稲妻状に折ったもの。神聖なものであることを意味する。
現代の門松
現代の家庭では集合住宅が発達したこともあり、本格的な門松を飾ることは少なくなりました。雄松(黒松)だけの門松や、小さな寄せ植え風の門松、対にしないで1つだけ飾る門松も普通に見られます。門松を飾る場所がない場合には、松を水引で飾った松飾りや、門松の絵に新年のあいさつを添えた門松用紙などを使う飾り方もよく見られる光景です。毎年使える門松も販売されています。
なるほど、門松は地域や時代によって変わってきているのね。手作りする場合には何を揃えたらいいのかしら?
出典:筆者撮影