折り紙で傘を折ろう!
折り紙は、紙を折ることによって動植物や生活用品などの形を作る遊びです。紙は、折ることで命を吹き込まれるかのように形を変えます。折り紙で作れないものはないと言われるほどです。もちろん、傘も折り紙で作ることができます。
折り紙は日本の文化
折り紙は元々、上級武家が物を送る際に、心を込めて和紙を折り目正しく折って包んだ礼儀作法で、折形礼法(おりがたれいほう)といわれるものでした。それが江戸時代に礼法の部分を失い、遊びとして発展し、庶民に普及したのです。折り紙は海外でも「ORIGAMI」と呼ばれます。また、コンパクトに畳んで一気に開く折り方が、エアバッグや医療や宇宙の分野でも応用されているのです。折り紙はまさに、世界に誇れる日本の伝統文化といえます。
折り紙の傘と本物の傘との違い
本物の傘と、折り紙の傘では、どのような違いがあるでしょうか。本物の傘を構成する部品は、骨と持ち手と生地です。折り紙の傘は基本的に、その全てを紙で表現できます。生地の部分は紙で、骨の部分は折り目で、持ち手部分は紙を細く折ったり丸めたりして表現するのです。柄を丈夫にしたいときは、和傘の柄には竹串や爪楊枝が使われます。洋傘(パラソル)の丸みのある持ち手を表現したいときによく使われるのは、モールやワイヤーや曲がるストローなどです。
和傘と洋傘の違い
ところで、洋傘(パラソル)と和傘の違いはどんなところでしょうか。洋傘はビニールやポリエステルなどを生地とし、骨や持ち手は金属でできています。一方和傘は、和紙や竹や木などの自然素材を使っているところが大きな違いです。しかしそれだけではありません。洋傘の骨の数は8本程度ですが、和傘の骨は30~70本です。開いたときのフォルムも違います。パラソルは開いたときの形が丸みを帯びていますが、和傘は末広がりにまっすぐに広がるのです。
傘を畳んだときも違いがあります。洋傘は生地が外側で骨を巻き込むので、骨は見えません。和傘では逆に、生地が骨の中に畳み込まれ、持ち手もまっすぐなので1本の棒のようになるのです。さらに畳んだ傘を持つときの向きも違います。洋傘は持ち手部分を上にして持ちますが、和傘では上下が逆です。天頂部分にある吊り紐を持ち、置くときも持ち手部分を下にして置きます。折り紙の傘でも、和傘と洋傘の違いを意識して作ってみましょう。
立体的な開いた傘の作り方
まずは立体的な開いた傘の作り方をご紹介しましょう。大きく分けると、同じ形を複数組み合わせる作り方と、一枚の紙を放射状に折っていく作り方があります。
折り紙7枚で作る和傘
こちらは、上項で画像をご紹介した立体的な開いた和傘の作り方動画です。ユニット折り紙のように、簡単な同じ形のパーツを7枚折って組み合わせています。実際には裏側にも一辺の長さが半分の色紙7枚で同様に作ったものがついているので、色紙は大7枚、小7枚、合計14枚必要です。和傘の柄はまっすぐなので、柄には竹串を使っています。
ユニット折り紙のコツは、形を揃えることです。今回の作品では、半分に折ってから三角に折り上げるところ(画像の段階)で、中心で長さをきちんと測って印をつけておくと、形が揃ってより美しく仕上がります。貼り合わせるときには傘の中心がずれないようにしましょう。この傘は、パーツの折り方が簡単で片手でも折れるとして、デイケアやリハビリなどにも取り入れられています。
折り紙7枚で作るフリル付きパラソル
こちらも同じパーツを7枚折って組み合わせて作っています。パーツ1枚ずつの角度が45度なので、8枚だとちょうど平面の円になるのです。1枚減らして7枚にすることで、傘の円錐状の形を作ります。この作品は、各パーツに模様を折りこんでおり、フリルのついたおしゃれで立体的なパラソルです。曲がった持ち手を表現するために、曲がるストローを使っています。
作り方は動画の通りですが、フリル部分を開くのが難しいときには、爪楊枝などを使うとよいでしょう。パーツ7枚の形や高さ(傘の中心から縁までの長さ)を揃えることがコツです。7枚のパーツを貼り合わせるときに、傘の中心、パーツとパーツの間をきっちり合わせていきましょう。
折り紙7枚で作るハート付き洋傘
こちらはハートの模様が可愛いパラソルです。やはり同じ形のパーツを7枚組み合わせて作っています。この作品は、柄と持ち手の部分も折り紙で作っていますが、柄の中にワイヤーを通して曲げやすくしたり、曲がるストローを利用してもよいでしょう。
この作品もユニット式なので、やはり7枚のパーツの形を揃えることが、きれいに仕上げるコツです。さらに、7枚のパーツを貼り合わせるときに、傘の中心、パーツとパーツの間をきちんと合わせて貼っていきます。細かいところの糊付けは爪楊枝などを使うと便利です。中心の穴が大きくなりすぎた場合は、柄を太めのストローに切り替えたり、パーツ同士を中心にぎゅっと寄せて接着剤で固定してみましょう。
円形の折り紙から作る洋傘
こちらは円形の紙を四つ折りにして組み合わせて作ったパラソルです。色紙に画用紙で裏打ちをしたり、画用紙を用いた場合は、円形の紙6枚でできます。折り紙で作る場合にはこしがないので円12枚ほどを重ねた方が見栄えがします。両面に色がついているときれいです。円を四つ折りにするだけなので、簡単に折れます。
作り方は動画の通りです。円を最初に半分に折るときは、中心だけに折り目をつけて、両端は丸みを残します。パーツを貼り合わせるときに、柄がワイヤーのように細いものの方が作りやすく、曲がるストローのように太いものの方が作りにくいかもしれません。パーツをきちんと貼り合わせると中心にストローが通るだけのスペースがあかなくなってしまうことがあるからです。全て貼り合わせてから柄を通すのではなく、最後のパーツの接着は柄を挟み込みながら行いましょう。
カラーセロファン1枚で作るビニール傘
こちらは、カラーセロファンで作る立体的なビニール傘です。セロファンは折り紙に比べて折りにくいですし、強度を出すために縁に細い紙を貼るなど、難易度は高めです。骨の部分にアレンジワイヤー(フラワーワイヤー)を使っています。アレンジワイヤーは紙のテープが巻いてあるワイヤーなので、ボンドで接着できるのです。セロファンの透明感を生かすために、ボンドを余分なところにつけないようにすることが、きれいに仕上げるコツになります。
次項では開閉できる傘や、閉じた傘、平面の傘の作り方をご紹介します。
出典:筆者撮影