「立待月」とは?正しい読み方や、呼び名の語源・意味・風習を解説!

「立待月」とは?正しい読み方や、呼び名の語源・意味・風習を解説!

現代では太陽の動きを元にした太陽暦が使われています。明治初期頃までには、太陰暦が用いられていた頃の名残で、月にいろいろな名前がついているのをご存知でしょうか。立待月や居待月、寝待月など欠け始めた月にも風流な呼び名があります。こちらでは立待月を中心に紹介します。

記事の目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.立待月とは
  3. 3.立待月以外の風情のある呼び名
  4. 4.まとめ

はじめに

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昔は電気がなかったので、月は日付や時間を確認する上で大切な存在でした。和歌や俳句で月を秋の季語に読み込むこともあり、古来から月に親しんでいる様子がわかるでしょう。特に満月の翌日、十六夜以降の月には雅な呼び名が付けられていますが、こちらでは太陰暦で各月の17日の月「立待月」を中心に紹介します。

立待月とは

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「立待月」ってどう読むの?

立待月の意味や読み方、語源、関連する太陰暦のことについて見ていきましょう。昔の人が月の満ち欠けにどれだけ注意を払っていたか、どれほど身近な存在であったかがうかがえます。

立待月の意味と読み方

立待月は「たちまちづき」と読み、別名「十七夜」(じゅうしちや)とも呼びます。立待月の名前は、立っていながら待っているとようやく出てくる月という意味です。太陰暦で17日目の月である立待月は、満月(15日の月)の2日後にあたります。満月と比べると、少し上部が欠けていて3/4くらいの大きさをしています。月の季語は全般的に秋(初秋)に分類され、立待月も同様です。

十七夜

「十七夜」(じゅうしちや)とは太陰暦17日の夜、もしくは立待月のことです。ただし、特別に太陰暦でいう8月17日の夜や月を指して、十七夜という場合もあります。8月15日は中秋の名月に当たり、十七夜はその2日後を示す秋の季語として扱われることもあるでしょう。

立待月は毎月17日目に迎える月ですが、なぜ「立って待つ月」という呼び名がついたのでしょうか。語源を見ていきましょう。

立待月の語源

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立待月の月の出は、満月よりも1時間半ほど遅い時間帯です。

月の出は満月から遅くなっていきますので、立待月が姿を表すのは満月よりも約1時間20分~1時間40分ほど遅い時間帯です。そのくらいの時間であれば、月の出を立って待てるということから立待月と名付けられました。夕方頃から立ちながら待っているところから、月をまだかまだかと待ち構えている様子もうかがえます。

「たちまち」の語源

「たちまち」という言葉は、非常に短時間に物事がなされる様子を表しています。すぐに、急にといった意味です。この語は立待月が語源といわれています。現代人の感覚では考えられませんが、昔の人は「立って待つ間」のことを非常に短い時間と考えていたようです。現在とは違い、ゆったりとした時間の流れの中で暮らしていたのでしょう。

太陰暦について

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太陰暦は29.5日周期なので、3年に一度の割合で「13か月(うるう月)」の年を設けていました。

太陰暦は月の満ち欠けに準じた暦のことです。ひと月のまとまりを1日目の朔(ついたち:新月の状態)~30日目の晦日(みそか:月がこもって姿を見せない日、新月のこと)とします。月の間の15日に満月を迎え、朔~15日には月が満ち、15日~晦日までは欠けていくという周期です。

太陰太陽暦

太陰暦を用いると1年が太陽歴(西暦)よりも11日短くなります。太陽の動きと誤差が出て、3年経つと約1ヶ月のずれが出ますね。年が経つにつれ季節が大幅にずれる恐れがあり、閏月(うるうづき)を設けて1年を13ヶ月にして誤差を調整することになりました。閏月を設けている太陰暦を太陰太陽暦といい、日本では明治5年12月2日(西暦1872年12月31日)まで使われています。

昔の人にとって、月は暦に関係した縁の深いものだったのですね。立待月のように欠けていく月の呼び名にはどのようなものがあるのでしょうか。

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立待月以外の風情のある呼び名

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