防腐剤とは
防腐剤は、食べ物に含まれる代表的な添加物として知られています。食べ物だけでなく、化粧品などにも広く使用されています。
防腐剤の役目
防腐剤とは「腐るのを防止する薬剤」のことです。「菌やウイルスなどの微生物の侵入、発育、増殖を防止する」「腐敗や発酵が起こらないようにする」という2つの働きをもつ薬剤を指します。必ずしも殺菌作用はなく、物質の状態をそのままに留める「静菌作用」を目的として使われる薬剤です。
防腐剤の種類
防腐剤の種類は多岐にわたりますが、目薬などの医療品によく使われるのはパラべンと呼ばれるパラヒドロキシ安息香酸エステルです。食品に対しては安息香酸が多く用いられます。安息香酸はよい香りの物質で、食事や使用時に嫌悪感がわきにくいのも特徴です。
防腐剤の入っているもの
スーパーで購入した食パンなどが1週間程度保つのは、防腐剤として安息香酸が入っていることが多いためです。また、長期保存できる飲み薬やコンタクトの洗浄液など身近なものに含まれています。長期保存が可能なものには防腐剤が入っていることが多いでしょう。公衆衛生学の発達で人々の衛生観念が向上したことで、防腐剤なしのものはほとんどなくなっています。
血管収縮剤とは
防腐剤の成分がある程度限られるのに対して、血管拡張剤はあくまで効果についてうたったものです。「血管を拡張させる作用をもつものすべて」が血管拡張剤といえます。
血管収縮剤の役目
血管収縮剤は、血管を縮めて血液の流れを緩やかにするために用いる薬剤です。血管を強引に収縮させるため、使いすぎると涙を抑制したり充血を悪化させたりすることもあります。コンタクトを使用する人は特に炎症を起こして充血しやすいので、使用時には十分な注意が必要です。コンタクト着用時でも使用できる目薬以外はコンタクトを外してから使用しましょう。
血管収縮剤の種類
血管の収縮は、自律神経の交感神経が関わっています。そのため交感神経を刺激する薬剤、特に交感神経の受容体であるアドレナリン受容体のうち、血管収縮に関わるα1受容体を刺激する薬剤は血管収縮剤です。具体的にはフェニレフリン塩酸塩などがあります。
血管収縮剤の入っているもの
血管収縮剤はアレルギー用の点鼻薬や目薬、吸入薬などに含まれます。アレルギー症状や病気に対するもの以外に含まれていると咳やくしゃみ、涙などの免疫反応を抑制してしまうため、アレルギー用以外の目薬にはほとんど含まれていません。
なぜ目薬に防腐剤や血管収縮剤が?
目薬における防腐剤の役割
防腐剤の入っていない食べ物は、すぐに腐ります。同様に、目薬も水分なので防腐剤なしではすぐに菌が繁殖し、腐ってしまいます。繰り返し長期的に使用する目薬には防腐剤が必要です。近年現れた防腐剤なしの目薬には、注意点として「1回に2、3滴を1日に5、6回」など、早く使い切るための記載があります。
目薬における血管収縮剤の役割
目薬での血管収縮作用は非常に局所的です。全身の血管が収縮するというわけではありません。局所的だからこそ、作用はとても速く実感できます。そのため、花粉症などのアレルギーや目の充血をすばやく抑えます。「症状を速やかに抑える」という点が、目薬に血管収縮剤が含まれる理由です。
防腐剤なし・血管収縮剤なしを選べない人
販売されているもののなかには、防腐剤や血管収縮剤なしの目薬がありますが、それらを使用できない人もいます。自分が当てはまるかを確認しておくと、目薬選びのヒントになるでしょう。
防腐剤なしを選べない人
防腐剤なしの目薬を選べないのは、長期的かつ断続的に目薬を使用する人です。時々使う程度であれば、防腐剤が入っているほうが目薬の使用期限が長いため都合がよいでしょう。
血管収縮剤なしを選べない人
市販の血管収縮剤なしの目薬を選べないのは、アレルギー疾患の治療で血管収縮の必要がある人などです。目にアレルギー疾患のある人は治療で血管収縮剤入り目薬を使います。また、コンタクトの使いすぎやPC画面の見すぎなどで目に炎症が起きてしまった人も、一旦コンタクト使用をやめたり血管収縮剤の入った目薬を使ったりする必要があります。現代社会では、血管収縮剤フリーの目薬を選べない人は多いかもしれません。
防腐剤なし・血管収縮剤なしがおすすめの人
防腐剤なし目薬がおすすめの人
防腐剤なしの目薬がおすすめなのは添加物が苦手な人や、頻繁に目薬を使う人です。使用期限が短いことから、きちんと目薬の管理ができる人も向いています。また目薬にはビタミンなどの栄養が含まれていることも多いです。PCやスマホの扱いが多い人は頻繁に目薬を使用して消費しやすいため、防腐剤なしの目薬を選んでもよいでしょう。
目をこすりやすい人も選ぶのがおすすめ
防腐剤には角膜を傷つけやすいというデメリットがあります。目をよくこするくせがあるなど眼球に傷をつけやすい人は、防腐剤なしの目薬を選ぶことが望ましいでしょう。
血管収縮剤なし目薬がおすすめの人
血管収縮してはいけない疾患を持っている人は、血管収縮剤の入った目薬は使えないため、血管収縮剤なしの目薬がおすすめです。また、疲れ目になりやすい人も血管収縮剤なしの目薬が向いています。血管収縮は交感神経の活性化で起こるため、副交感神経を抑制することになります。リラックスの神経としてよく知られる副交感神経を抑制すると、リラックスできずに疲労回復できなくなることがあるからです。
コンタクトレンズを使用する人
アレルギーや充血の抑制、防止が目的ではない人にも血管収縮剤なしの目薬はおすすめです。また血管収縮剤はコンタクトレンズをしている人には向いていないため、コンタクトレンズによるドライアイの人も血管収縮剤なしの目薬を選んだほうがよいでしょう。
血管を収縮させる必要のない人
コンタクト未使用のドライアイの人や、PCなどを注視しすぎてまばたきが少なくなる人、栄養を目的に目薬を使用する人なども挙げられます。また老眼の人も血管収縮剤フリーの目薬を選んでもよいでしょう。血管を収縮させる必要のない人は、血管収縮剤なしの目薬を選べるといえますね。
自分に合った目薬を選ぼう!
市販の目薬は種類も多く、ニーズにあったものが購入できます。迷ったときは「防腐剤が入っている・入っていない」「血管収縮剤が入っている・入っていない」を選ぶ目安にしてみてください。自分の体質にあう目薬を選んで、快適な生活を送りましょう。
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出典:写真AC