簡単な花の刺繍を覚えよう
刺繍を施すと、寂しい雰囲気の布小物に華やぎを与えられます。簡単なパターンを作るだけで実践できる、かわいらしい花柄の刺繍を始めてみましょう。丸い花や花びらを表現できるステッチを覚えるだけです。慣れてくると自分のデザインで花の刺繍が作れますよ。
花の刺繍で準備するもの
刺繍の仕方を覚える前に材料を準備しましょう。わずかな材料で始められるため、お試しに刺繍をしてみようと考えている人でも安心して始められます。材料は手芸店でも購入できますが、100均の手芸コーナーでも入手可能です。材料費数百円で刺繍ができますよ。
①布
初めて刺繍に挑戦する場合、ゆがみにくくハリがある布を使うとよいでしょう。シーチングやリネン、少し肉厚の生地になりますが、ツイルやオックスなどもおすすめです。
刺繍に向いている布
- 布目がゆがみにくく、ハリがある布(シーチングやリネンなど)
- 糸を通したとき、針穴が目立ちにくい布
- 透け感が少ない布
刺繍にあまり向かない布
- 薄手で糸を引いたときに布ツレが起こりやすい布(ローンやボイル生地など)
- 織りが甘く、縦糸と横糸がゆがみやすい布(ガーゼなど)
②刺繍針
刺繍糸やリボン刺繍をするために針穴が大きめに設定されています。針先は鋭くなっており、布をしっかり貫通できる仕様です。刺繍の大きさに合わせて、長さがそろっている「取合せ針」をおすすめします。
③刺繍糸
DMC エトワール ボックス缶セット 35色
参考価格: 9,621円
刺繍糸は25番手糸が買い求めやすく、加えて使いやすいためおすすめです。今後も、刺繍を続けようと考える場合は、花の刺繍に使える色がそろっているセット買いもよいでしょう。
DMCやコスモというメーカーの刺繍糸は手芸店でも取り扱いが多いのでおすすめです。
④刺繍枠
布がゆがまないよう、布を張って固定するための枠です。サイズがそれぞれあるため、刺繍のサイズに合わせて準備してください。小さな花の刺繍であれば、15cmサイズがあれば十分ですよ。
⑤図案用ペン
刺繍の位置決めなどに使用するチャコペンです。おすすめは時間とともに消えるタイプの水性チャコペンです。1~2日経過後に消えるタイプなら、時間をかけて作業をしたい人にも最適です。
簡単な花の刺繍のやり方
花の刺繍のやり方①レゼーデージーステッチで作る花
チェーンステッチの派生型の刺繍の仕方です。基本ともいえるため、まずはこちらのやり方を覚えましょう。花びらのパターンを5つ作ると花の形になりますよ。
刺し方はシンプルです。花びらの中心を起点に、布の裏から針を出します。「1出」のすぐわきに2針目を刺し、花びらの長さを決めて3針目を出します。針を出したところに「1出」の糸をかけてください。
針を抜いて糸を引くと、花びらのように丸い形ができます。4針目で花びらを形作った糸を留めてください。これで、花びらの1つ目ができました。5個~8個の花びらを円形に作ると、かわいい刺繍に仕上がります。たくさんモチーフを刺繍すると、動きのある花柄が完成しますよ。
レゼーデージーステッチの参考動画
花の刺繍のやり方②サテンステッチで作る花
サテンステッチは、刺繍の仕方自体はとても簡単なプロセスですが、糸の引き具合や揃え方で仕立てに大きな差が出てしまいます。まずは小さい図案を用意したうえで、花柄を作るなど練習しながら感覚をつかんでいくとよいでしょう。
刺し方の加減でふっくらとした花びらを作るために、図案を書き写した後で図案の内側にのみ縦方向にランダムに糸を渡します。画像の状態を作ったら、サテンステッチを入れていきます。
図案を埋めるように、針を刺し糸を渡すだけのプロセスです。糸を引きそろえ、糸を引きすぎないようにすることがポイントです。画像では糸の引きそろえが十分ではないため、きれいなステッチに仕上がっていないのがわかります。練習し、感覚をつかむことできれいに揃っていきます。
立体的にふっくらとした刺繍ができあがりました。図案どおりに刺しやすいステッチのため、ぜひ試してみてください。
サテンステッチの参考動画
花の刺繍のやり方③ストレートステッチで作る花
ストレートステッチもまっすぐ糸を渡すだけの刺繍の仕方です。はじめて針と糸を持った子どもにおすすめの基本の刺し方ともいえます。糸の太さを変えるほか、糸を渡す長さや中心点を変えることで、動きの表現を付けられるため応用しやすいですよ。
刺し方はとても簡単です。図案を描いたら、まっすぐ針を刺すだけです。糸を引き締めすぎると、布が引きつれてしまうため注意してください。パターン次第では、花柄なども作りやすいですよ。
ストレートステッチの参考動画
花の刺繍のやり方④バリオンローズステッチで作る花
バラの花びらのような花柄を作れるステッチです。パターン次第でいろいろな形が作れるため、ステッチの刺し方を覚えておくとよいでしょう。小さいものでも見栄えがすることから、マスクに刺繍するのもおすすめですよ
あたりをつけるように図案を描いたら、布の裏から1針目を出します。バリオンローズステッチの長さを見極め2針目をいれ、1針目のすぐ近くに3針目を出してください。
3針目の針先に1出目から出ている糸を巻き付けてください。ステッチ1個分相当の長さだけ10回程度巻き付けた後、針先を引いて針だけを出していきます。まいた糸が緩まないようにゆっくり針を出しましょう。
針を出して、糸をゆっくり引いていくとステッチができあがります。固定するために、2入目のすぐわきに4針目を刺して完成です。
デザインなどを考えて刺していくと、立体的な花に仕上がります。針に糸を巻き付ける回数を変えると長さが変わるため試してみてくださいね。バリオンローズステッチをたくさん刺していくと、立体的な花柄に仕上がります。
バリオンローズステッチの参考動画
花の刺繍のやり方⑤糸をくぐらせるだけでできる丸い花
ふっくらとした丸い花の刺繍です。立体的で一見複雑そうですが、実は簡単に作れます。はじめて刺繍をする人でもきれいに仕上げられますよ。
図案を描きます。1円玉くらいの小さい円と中心点から円周に向かって5本の線を引きましょう。直径が小さな円の場合は3本でも構いません。必ず3本以上の奇数の線を引いてくださいね。
ストレートステッチで5本の線を刺繍します。これが今回の刺繍の仕方の要です。この5本の糸を芯にして刺繍糸を絡めていきます。
針先の糸は、芯1本おきにくぐらせていきます。これを円が埋まるまで続けていくだけです。途中糸を変えるときは針先を布の裏に出して処理してください。新しい糸は、その近くから始めるときれいに仕上がります。糸をくぐらせ終えたら、針先で糸目を整えましょう。
出典:筆者撮影