オーブンで陶器がつくれる?
オーブン粘土とは、家庭用のオーブンで焼いて陶器を作れる粘土のことです。形を作って、自宅のオーブンで焼くだけなので、簡単にブローチなどのアクセサリーや食器、インテリア小物を手作りできますよ。手軽に本格的な陶芸が楽しめる「オーブン陶土」と、かわいらしいプラスチック製品が作れる「ポリマークレイ」があります。
ここでは、陶器が手作りできるオーブン陶土についてお話しします。
オーブン陶土とは
オーブン陶土は、陶芸用の陶土に樹脂やデンプンなどのつなぎ材を混ぜたもので、「低温度硬化型粘土」とも呼ばれるものです。オーブンで焼くだけで落ち着いた風合いの陶器が手作りできます。食器はもちろん、箸置きなどのカトラリーやブローチなどのアクセサリー、小物入れ、インテリア雑貨など幅広くさまざまなものをつくれますよ。
【オーブン粘土での作り方】陶器の材料編
材料①オーブン粘土
オーブン粘土
参考価格: 578円
自宅のオーブンで焼くだけで陶芸ができる粘土です。通常の陶芸につかう陶土は800℃以上の高温で焼くため、家庭用のオーブンでは無理です。「オーブン陶土」と書いてあるものを用意しましょう。土の種類によって、色も赤っぽいものや黒っぽいもの、白っぽいものなどいろいろあります。
材料②コート剤
コート剤
参考価格: 880円
コート剤は焼いた陶器を保護してくれる溶剤です。素焼きの陶器は水が染み込みやすく、濡れることで耐久性が落ちるため、食器などには使えません。しかし、コート剤を塗れば水や油から守ってくれるので、水を使う場所でも安心して使えますよ。また、つや出しの効果もあるため、強度を高めるためだけではなく、ニスのような使い方もできます。
材料③アクリル絵の具・化粧土
陶器の色付けには、図画工作に使われる水性絵の具は弾いてしまうため使えません。そこで使われるのがアクリル絵の具です。原料にアクリル樹脂が含まれていて、乾くと耐水性ができ落ちなくなります。化粧土は、上から塗ることで白い陶器にしたり、絵の具の色をよくしたりしてくれますよ。
あると便利な道具
たたら板
参考価格: 767円
オーブン粘土は手で成形して焼いても簡単に陶器を作れます。しかし、粘土べらやのし棒などの道具を揃えれば、さらにきれいで簡単に手作りしやすくなります。下の表を参考に必要なものを揃えてみてくださいね。
オーブン粘土を作るのに便利な道具 | |
粘土板 | 粘土をこねるときに周りが汚れないように使う。 |
アルミホイル | 粘土を焼くときに敷いて、熱が均等に伝わるようにする。 |
粘土ベラやクレイニードル | 粘土を成形するときにあると便利。 |
たたら板・のし棒 | たたら板を両端において、のし棒でならすことで粘土を均等に平らにできる。 |
型 | 好きな形のクッキー型を使うとモチーフを作るのに便利。マグカップなどを作るなら円筒を用意して粘土を巻いて使える。 |
ガーゼや布巾 | 粘土板に敷いたり、型にかぶせたりして使う。粘土が張り付いてしまうことを防いでくれる。 |
タコ糸 | ピンと張って使うことで、粘土がきれいに切れる。 |
筆と水入れ | アクリル絵の具での色付けに使ったり、接着面にどべとよばれる接着剤を塗ったりするときに使う。 |
スポンジ | 水をつけて作品の表面をなでることで、表面をなめらかにならせる。 |
作り方もわかりやすい便利なキットもある
オーブン粘土やコート剤などの材料や、のし棒などの簡単な道具といった必要なものが一式全部セットになったものもあります。詳しい作り方が書かれているテキストもついているので、オーブン粘土が初めてで何を揃えたらいいかわからないという初心者の方のスターターキットとしておすすめです。
【オーブン粘土での作り方】陶器の作り方
事前準備
まずは「どべ」を作ります。どべとは、粘土を水に溶かして泥状にしたもので、陶器の補修や接着に使います。粘土を細かくして乾燥させた後に砕いて水に溶かす方法や、乾かないまま細かくちぎって水につけておく方法があります。大体マヨネーズくらいの硬さに練り上げれば完成です。陶芸は粘土が乾くまでの時間との勝負になるので、あらかじめ作っておくと便利ですよ。
作り方①粘土を伸ばす
粘土を粘土板の上で薄くのばしていきます。丸めた粘土をガーゼなどを敷いた粘土板の上に置き、その両脇にたたら板をおきます。のし棒で伸ばして均等な厚みの板状の粘土にしましょう。フィギュアやオブジェなど直接造形する場合以外はのばしてから作ると、厚みが均等できれいに作れますよ。たたら板の間は、お皿やカップなど作るものの幅にすると作りやすいです。
作り方②成形する
型抜きを使う
箸置きなどの小物やブローチなどのアクセサリーは、型抜きを使うと便利です。簡単に抜けるので、小さなお子さんでも一緒に楽しんでできますよ。型抜きはダイソーなどの100均でも売っていますが、小さめのものが多く、焼いたときにさらに小さくなってしまいます。作りたいサイズより一回り大きめのサイズを用意しましょう。
型を使う
食器を作るときは型を使うと便利です。スープボウルなど深皿を作るときは、お椀をひっくり返したような型に平たくのばした粘土をかぶせて型どります。マグカップなど背の高いものは、円筒の型に平たくのばした粘土を巻きつけて型どり、後から円形に切った粘土で底をつけます。型に布やガーゼをかぶせてから使うと、粘土を型からきれいにはずせますよ。
マグカップの持ち手や、粘土で作った飾りもつけましょう。接着面に引っ掻いて傷をつけ、「どべ」を塗って貼り付けます。
作り方③乾燥させる
成形が終わったら、風通しのよい場所で1週間ほど乾燥させましょう。ここでしっかり乾かさないとひびや割れに繋がります。また、窓際やエアコンの風が当たる場所だと、乾かす温度や湿度にムラができて均等に乾燥しないため、割れやひびの原因になります。乾き具合をこまめにチェックしてまんべんなく乾かしましょう。作品の色が白っぽく変わったら、いよいよ焼きます。
焼く前の陶器は大変もろくて割れやすいので、取り扱いに注意してくださいね。
作り方④オーブンで焼く
乾燥が終わったら、オーブンで焼いていきます。天板にアルミホイルを敷き、160℃に予熱したオーブンで40分程度焼きます。作品の大きさやオーブンの機種などで焼き加減も変わってきますので、こまめに確認しながら焼きましょう。白っぽさが抜け、色が濃くなったら焼き上がりです。
作り方⑤色付けする
次は、アクリル絵の具などでの色付けです。水であまり薄めず、濃いままのアクリル絵の具をしっかり塗っていきます。アクリル絵の具で薄い色を使う場合は、陶器の地の色が透けてしまうことがありますが、少し厚めに塗るか白い化粧土で地の色を隠せばきれいな色で塗れますよ。
作り方⑥仕上げにコート剤を塗る
色付けした絵の具などが乾いたら、仕上げにコート剤を塗ります。薄く塗って乾かし、ベタつかなくなったら100℃で15分程度焼きます。塗るときに泡が入るとそこからはがれたり、水が染み込んでしまったりするので、なるべく泡が立たないように静かに塗るのがうまくいくコツですよ。
コート剤の中には食器に適さないものもあるので、使う際は確認してから使いましょう。
次のページでは、オーブン粘土を使うときの注意点と作品のアイデアについてご紹介します。
出典:写真AC