砥石にも種類がある
砥石と聞いてまっさきに思い浮かべるのは、包丁研ぎではないでしょうか。日本では砥石というと包丁研ぎにつかわれる水砥石ですが、そのほかにもさまざまな砥石があり、その用途は木材や金属の切削や研磨からタイルの加工、サビ落としなど幅広くつかわれています。ここでは、DIYに役立つそれぞれの砥石の種類や用途、おすすめの商品までご紹介します。
砥石の基礎知識
砥粒(とりゅう)とは
砥石は「砥粒」という物質からできています。とがっている砥粒が刃を研磨し、刃の切れ味がもとに戻るという仕組みです。そのため、研いだときに出る水や油にも砥粒が含まれていて、これも刃を研磨してくれますから、うっかり間違って流してしまわないようにしましょう。この砥粒の細かさで砥石の研ぎやすさの基準である荒砥、中砥といった「番手」が決まります。
砥石の選び方
水を使う水砥石や油を使う油砥石にはいくつかの特徴があり、それぞれの特徴にあった使用方法があります。それを知らないと、砥石の減りが早くなるだけではなく、かえって刃にキズが付いてしまい、キレイに砥げないこともあります。水砥石、油砥石それぞれの特徴や砥石の使い方についてみていきます。
【切削・研磨】刃物につかわれる水砥石
日本ですぐに頭に浮かぶ砥石といえば、水を使って包丁などを砥ぐ水砥石でしょう。日本では昔から水が豊富で、さらに天然の水砥石もよくとれたため、古くからよく使われており、日本人にはなじみの深い砥石となっています。骨董品として高い値がつくものもあります。まずは、そんな水砥石の特徴や種類、おすすめ商品についてまとめていきます。
【水砥石の特徴】①吸水性と不吸水性
水砥石は水に浸して吸わせてからつかう吸水性のものと、水をかけてつかう非吸水性のものがあります。水をかけて染み込むようであれば吸水性、水が染み込まないようであれば非吸水性です。吸水性の砥石は、砥石から空気が出なくなるまで10分程度水に浸してから研ぎます。非吸水性の砥石は、砥石を水に浸す必要はありませんが、作業中に水を掛けなければ研げません。
【水砥石の特徴】②天然砥石と人造砥石
天然砥石とは、天然の岩を削って使いやすい大きさにしたものです。そのため番手がありません。切れ味は大変よくなりますが、採れる山がなくなってきているので、大変高価で、骨董品として扱われることもあります。人造砥石とは人工的に作られた砥石で、切れ味は若干鈍いですが、安く簡単に手に入り、荒砥、中砥などの番手やサイズも一定で安定した品質が得られます。
人造砥石のサイズ
人造砥石はサイズが「1丁掛け」から「3丁掛け」まであります。1丁掛けは一般向けな大きさの砥石で、2丁掛け、3丁掛けはプロの職人が使うような業務用のものを指します。家庭向けに作られている砥石は1丁掛けより一回り小さいものが多いです。
1丁掛け | 205mm×50mm×25mm |
2丁掛け | 205mm×50mm×50mm |
3丁掛け | 205mm×75mm×50mm |
【水砥石の特徴】③素材の硬さと砥石の硬さ
セラミック製の包丁はダイヤモンド砥石でないと研げません。
水砥石を選ぶときには、刃に合わせた素材を選ぶことが大切です。家庭の包丁に使われているステンレスは比較的柔らかいため、柔らかい砥石がおすすめです。逆に洋包丁など固い金属のものにはダイヤモンドのように固い砥石でないと、砥石が削れやすく減りが早くなります。特に固いセラミック製のものは、ダイヤモンド砥石でないと研げないので注意が必要です。
【水砥石の特徴】④粒度と番手
砥石には「砥粒」という小さな鉱石がついており、その大きさで粒度(番手)が決まります。番手が小さいほど砥粒が荒く、大きい欠けやキズを直すのに向いています(荒砥)。番手が大きければ小さなキズ直しや、仕上げ磨きに向いています(中砥、仕上)。番手は#〇〇〇といった数字で表され、明確な基準はありませんが、目安は以下のとおりです。
水砥石の番手と用途 | ||
荒砥 | #400~#600程度 | 欠けてしまった刃の修正 |
中砥 | #700~#2000程度 | 切れ味が悪くなった刃の修正 |
仕上げ砥 | #3000以上 | 研いだ刃の仕上げ用 |
【水砥石の特徴】⑤水砥石の使用用途
水砥石の一般的な使い方として、包丁を砥ぐというイメージが強いです。しかし、包丁を研ぐだけではなく、実はガーデニングで使うハサミやカマ、DIY用のカンナの刃やノミ、アウトドアに使うサバイバルナイフ、クラフト用のレザーナイフや彫刻刀、骨董品の日本刀やナイフのサビ落としなど、実用品から趣味のものまで、さまざまな身近な金属に使えますよ。
水砥石での使用用途
- 【料理用】和包丁とぎ
- 【ガーデニング用】ハサミ、カマ
- 【DIY用】カンナやノミ
- 【アウトドア用】サバイバルナイフ
- 【クラフト用】レザーナイフや彫刻刀
- 【骨董品】日本刀やナイフのサビ落とし
水砥石のおすすめ商品3選
おすすめ水砥石①スエヒロ「SKG-27」
スエヒロ 研ぎ器 キッチン両面砥石 #3000/#1000 全ゴム台付 SKG-27
参考価格: 2,000円
両面がそれぞれ#1000(中砥)と#3000(仕上砥)の砥石になっています。一般的な中砥と仕上げとのセットになっていて、これひとつあれば、普段の包丁の手入れには事欠かないです。ゴム台もついていて値段もお手頃なので、初めてのかたでもおすすめです。サイズは少し小さめで、家庭用のキッチンに丁度いい大きさです。姉妹品に荒砥と中砥のセットもあります。
品番 | SKG-27 |
---|---|
サイズ | 150×50×27mm |
重さ | 400g |
粒度 | #1000/#3000(青:中砥/白:仕上砥) |
吸水性 | 吸水 |
台の有無 | 有(ゴム台) |
おすすめ水砥石②キング砥石HT-65
キング ホームトイシ KW-65(HT-65)(透明プラケース入)台付【P2B】
参考価格: 2,000円
キング砥石は、プロの間でも使われていて、砥石といえばキング砥石と言われるほど評判がいいです。便利な#1000(中砥)と#6000(仕上砥)の両面砥石になっています。仕上砥が#6000という細かさなので、より鋭い切れ味を求める方に最適です。プラケース付きで、収納する際にも便利です。こちらも荒砥と中砥がセットの姉妹品があります。
品番 | HT-65 |
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サイズ | 185×63×25mm |
重さ | 800g |
粒度 | #1000/#6000(茶:中砥/黄:仕上砥) |
吸水性 | 吸水 |
台の有無 | 有(ケース付き) |
おすすめ水砥石③シャプトン「刃の黒幕」シリーズ
【シャプトン SHAPTON】シャプトン セラミック砥石 刃の黒幕 ブルー 中砥 #1500 K0707 ATIA905
参考価格: 3,021円
こちらのシリーズは粒度別に10種類あります。荒砥から中砥、仕上げ砥まで必要に応じてちょうどいい粒度のものを選べますよ。基本的には非吸水のため、水を染み込ませる時間が必要ありません。付属ケースは台としても使えるので、砥ぐときにも保管にも大変便利です。セラミック砥石なので、面直しにはダイヤモンド砥石が必要です。
品番 | K0707 |
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サイズ | 210×70×15mm |
重さ | 500g |
粒度 | #1500(中砥) |
吸水性 | 非吸水(初回や仕上げ砥は吸水が必要) |
台の有無 | 有(プラスチックケースを使用) |
水砥石のおすすめ商品比較表
商品 | |||
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商品名 | スエヒロ 研ぎ器 キッチン両面砥石 #3000/#1000 全ゴム台付 SKG-27 | キング ホームトイシ KW-65(HT-65)(透明プラケース入)台付【P2B】 | 【シャプトン SHAPTON】シャプトン セラミック砥石 刃の黒幕 ブルー 中砥 #1500 K0707 ATIA905 |
価格 | 2,000円 | 2,000円 | 3,021円 |
品番 | SKG-27 | HT-65 | K0707 |
サイズ | 150×50×27mm | 185×63×25mm | 210×70×15mm |
重さ | 400g | 800g | 500g |
粒度 | #1000/#3000(青:中砥/白:仕上砥) | #1000/#6000(茶:中砥/黄:仕上砥) | #1500(中砥) |
吸水性 | 吸水 | 吸水 | 非吸水(初回や仕上げ砥は吸水が必要) |
台の有無 | 有(ゴム台) | 有(ケース付き) | 有(プラスチックケースを使用) |
商品リンク |
包丁の切れ味を手軽に復活させる方法はこちらでご紹介しています。
水砥石のお手入れ方法(おすすめ修正砥石)
通常であれば洗って乾かせばいい水砥石ですが、長い間使っていると部分的に削れてしまい、均等に研げなくなります。その場合、硬い修正用の砥石やダイヤモンド砥石でデコボコを修正します(面直し)。修正砥石は溝のあるタイプを選ぶと、水砥石と密着して動かなくなってしまったり、水砥石ごと滑ってしまったりすることがありません。
おすすめ修正砥石①スエヒロ「WA280」
末広 中/仕上げ砥石用 修正砥石 WA#280 802-W
参考価格: 1,919円
スエヒロ「WA280」は番手が#280の中砥相当の修正砥石です。そのため、荒砥の砥石には使えませんが、#280以上の中砥用や仕上砥石の水砥石のお手入れに最適です。コンパクトなので、小回りがきいて砥ぎやすいですよ。
品番 | 802-W |
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サイズ | 155×53×27mm |
重さ | 約415g |
粒度 | #280 |
使用用途 | 中砥、仕上げ砥の修正 |
おすすめ修正砥石②ナニワ研磨工業「QA-0160」
面直し砥石 溝入り 中目 #60 QA-0160 ナニワ研磨工業面直し用 めんなおし つらなおし 修正 砥石 研ぎ石
参考価格: 1,089円
ナニワ研磨工業の「QA-160 」は#60の荒砥でできているので、荒砥の水砥石でもしっかり面直しできます。お手頃価格で手に入るので、非常にコストパフォーマンスもいいです。収納用のケースも付いているため、周りが汚れず砥石と一緒に保管しやすいですよ。
品番 | QA-160 |
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サイズ | 170×55×30mm |
重さ | 約500g |
粒度 | #60 |
使用用途 | 荒砥、中砥、仕上げ砥の修正 |
修正砥石の比較一覧表
商品 | ||
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商品名 | 末広 中/仕上げ砥石用 修正砥石 WA#280 802-W | 面直し砥石 溝入り 中目 #60 QA-0160 ナニワ研磨工業面直し用 めんなおし つらなおし 修正 砥石 研ぎ石 |
価格 | 1,919円 | 1,089円 |
品番 | 802-W | QA-160 |
サイズ | 155×53×27mm | 170×55×30mm |
重さ | 約415g | 約500g |
粒度 | #280 | #60 |
使用用途 | 中砥、仕上げ砥の修正 | 荒砥、中砥、仕上げ砥の修正 |
商品リンク |
次のページでは、バイクのメンテナンスやナイフ砥ぎなど、金属を研ぐのによく使われる油砥石についてご紹介します。
出典:写真AC