イトヨリダイのさばき方を覚えよう
イトヨリダイは料理店などで主に活用される種類の値段の高い高級な魚です。天ぷらや刺身など食べ方も豊富なレパートリーがあり、旬の時期にたべればぷりぷりとしたおいしい食感を楽しめます。新鮮なイトヨリダイをまるごと手に入れたら自宅でさばいてその魅力を味わいましょう。
イトヨリダイとは
魚の中でも高級で臭みもクセもなくほろほろ崩れて食べやすいと人気の魚がイトヨリダイです。イトヨリダイの基本情報や旬の時期、おいしい料理方法や名前の由来などをみていきましょう。
基本情報
分類 | 硬骨魚網スズキ目イトヨリダイ科 |
学名 | Nemipterus vigatus |
英名 | Golden threadfin bream |
和名 | 糸撚鯛 |
生息地 | 西日本、南日本、東シナ海、台湾、南シナ海 |
日本の主な産地 | 静岡県、西の太平洋側、長崎県、熊本県、山口県 |
旬の時期 | 秋~春 |
別名 | イトヒキ、イジュキン |
関西だと特に高級とされていて、珍しいお魚の分類のようですよ。
イトヨリダイの由来
イトヨリダイの名前の由来は、見た目からきているといわれています。尾びれから頭にかけて色鮮やかな黄色の糸状の模様が、泳いでいるときにまるで糸を撚っていたように見えることから名づけられました。そのため市場ではイトヨリなどと省略されて呼ばれています。
イトヨリダイのさばき方
魚のさばき方を知っていればイトヨリダイのさばき方は簡単に覚えられます。身がきゅっとし、包丁の刃も入りやすくさばきやすいため、やり方をみて試してみてください。
さばき方①うろこをとる
最初にイトヨリダイのうろこを取りましょう。イトヨリダイのうろこはタイと同様に大きめのため、うろこ取り器で尾のほうからゆっくりと引っ掛けるように動かすときれいに取り除けます。片側が終わったらもう片方も同じようにうろこを取りましょう。
さばき方②頭を切り落とす
両面のうろこを丁寧にとり終わったら、頭を切り落とします。胸ヒレと腹のヒレをつなぐように切り落とすときれいに切り落とせるでしょう。
さばき方③内臓を取り除く
次にイトヨリダイの内臓を取り除きましょう。イトヨリダイのお腹を肛門の方まで包丁で切り開きます。内臓の奥に膜があるため、膜とその奥にある血合いにも切れ目を入れて内臓を取り出します。
内臓を取り除いたら水できれいに洗うのじゃ。
きれいに洗えたら肛門から尾の方に向かって包丁を入れましょう。
さばき方④背中から包丁を入れる
イトヨリダイを回転させ、背を下に腹を上に向け背中から包丁を入れて切り開いていきます。背びれのすぐ上のあたりから包丁を入れ、中骨に沿って背中側の身を半分くらいまで切りましょう。包丁の刃を尾に向けて入れていき、尾の近くの身まで切ります。尾まで切れたら包丁の刃を頭側に向け、中心部分の身を切りましょう。
さばき方⑤3枚おろしにする
3枚おろしにするため、イトヨリダイを裏返しましょう。反対側も同じように切り開いていきます。背びれ側を下、お腹側を上に向けて背びれの上あたりから包丁の刃を入れましょう。反対側の身をきれいに切り取れたら3枚おろしの完成です。
さばき方⑥骨を抜く
イトヨリダイを尾を下に頭を上に向けるようにまな板の上に置きます。内臓が入っていた部分の骨は固いため、包丁の刃の先をを使ってすくうようにして取り除きましょう。
骨抜き用のピンセットで小骨をとる
骨抜き用のピンセットを活用して、細かい小骨を取り除きましょう。骨が残っていると刺身や料理に活用したときに食べづらくなります。そのため細かい骨を残さないように取り除きましょう。
さばき方⑦切り身にする
3枚おろしにできたらイトヨリダイを食べやすい大きさに切り、切り身にしていきます。イトヨリダイは皮目がおいしいため、皮をつけたまま切り身にしましょう。
料理によって切り方を変える
食べ方によってイトヨリダイの切り身の切り方を変えましょう。アクアパッツァやムニエルなど焼き物にする場合は皮を大きめにするとパリッとした皮のおいしさをたっぷり味わえます。刺身の場合は皮と身の大きさを同じくらいにするとバランスよく味わえるでしょう。
イトヨリダイのアクアパッツァの作り方
イトヨリダイの食べ方でおすすめなのがアクアパッツァです。白身魚の料理でオーソドックスなイタリアン料理であるアクアパッツァは、作り方も簡単で旬の時期のイトヨリダイのおいしさを海の幸と一緒に味わえます。
作り方①塩コショウをする
アクアパッツァ用に切ったイトヨリダイの切り身に塩、コショウをします。片側を塩、コショウしたら反対側にも振りましょう。量はひとつまみ程度で大丈夫です。
作り方②材料の下ごしらえをする
ニンニク、アンチョビ、ドライトマトなどアクアパッツァに入れる材料を下ごしらえします。ニンニクは薄くスライスし、ベーコンは一口大に切りましょう。ドライトマトも食べやすい大きさにカットしておきます。
あさりはあらかじめ砂抜きしておく
アクアパッツァにかかせないのがアサリなどの貝類です。貝のほどよい出汁がイトヨリダイの美味しさを倍増させるため、準備しておきましょう。アサリはあらかじめ砂抜きをしておきます。
作り方③材料を炒める
材料の下ごしらえが終わったら順番に炒めていきましょう。温めたフライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクとアンチョビを炒めます。ニンニクの香りがしてきたらイトヨリダイを入れましょう。
イトヨリダイの皮目は下にする
イトヨリダイは皮目を下にして入れると皮がパリッとおいしく仕上がります。皮目に火が通ったら身の方を下にして両面に火が通るようにしましょう。
作り方④白ワインをいれる
全体に火が通ってきたら白ワインを入れましょう。白ワインを入れるとアサリの出汁とうまくからみあい、旨みをぎゅっと凝縮します。水を入れて煮詰めていきましょう。
作り方⑤煮詰める
5分ほど煮詰め、ほどよく火が通ったら塩を少し入れて味をととのえましょう。お好みで唐辛子などを入れると、大人の味を楽しめます。
イトヨリダイのおすすめレシピ
刺身で食べても十分においしさを楽しめますが、イトヨリダイはさまざまな食べ方で魅力を味わえます。おすすめの食べ方をみて気になったレシピがあったら試してみてください。
①ムニエル
白身魚の魅力を引き出す食べ方でおすすめのレシピがムニエルです。バターやニンニク、オリーブオイルの風味がイトヨリダイを包み込みます。
材料(1人分)
- イトヨリダイ切り身:一尾
- おろしニンニク:小匙一杯
- 食塩:ひとつまみ
- 小麦粉:大匙一杯
- バター:大匙一杯
- オリーブオイル:小匙一杯
- 料理酒:大匙一杯
作り方
- イトヨリダイの切り身にニンニクと食塩をすり込み、小麦粉をまぶす
- フライパンをあたためオリーブオイルをひいたらイトヨリダイを身の方から焼き、焦げ目がついたら裏返す
- 料理酒を入れて2~3分蒸し、水分がなくなったらフタをはずす
- バターを入れ両面に焼き目がついたら完成
②塩焼き
魚の魅力を最大限引き出す食べ方が塩焼きです。塩加減を調節すればしっとりとし、ジューシーな味わいを楽しめます。イトヨリダイのふっくらとした甘みを味わいましょう。
材料(2人分)
- いとより:2匹
- 酒:大1
- 粗塩:少々
- お好みで:大根おろし
作り方
- イトヨリダイの切り身に酒と塩をひとつまみふり、20分くらいおく
- 焼く直前にキッチンペーパーで水気をふきとる
- イトヨリダイの片面に粗塩をふり焼く
③酒蒸し
しっとりとした身と昆布の出汁が染み渡った酒蒸しもイトヨリダイの食べ方でおすすめのレシピです。蒸すだけで簡単にででき、さらにヘルシーなので試してみてください。
材料(2人分)
- イトヨリ(切り身):2切
- 塩:少々
- 酒:大さじ3
- 昆布:5✕10cm
- 椎茸:2枚
- 生姜の薄切り:2枚
- 青ネギ:少々
- 大根おろし:適量
- ポン酢:適量
作り方
- イトヨリダイの切り身に軽く塩を振り、20分おいてから熱湯をかける
- 青ネギを細かく切り、椎茸の軸を切る
- 深皿に昆布をしき、生姜の薄切りを置く
- 1の切り身を乗せ酒を振りかける
- 蒸し器に入れてアルミホイルを軽くかぶせたら10分~20分蒸す
- 蒸し上がったら大根おろし、青ネギを添えポン酢をたらす
④オーブン焼き
野菜の出汁とオリーブオイルと一緒にイトヨリダイをオーブンで焼けばほくほくとしたおいしい口当たりを楽しめます。焼くだけ簡単でお手軽なレシピです。
材料(2~3人分)
- イトヨリ(白身などなんでも):1尾
- じゃがいも:1個
- プチトマト:6個
- 玉ねぎ:1/2個
- ズッキーニ:あれば適量
- 白ワインか酒:50ml
- 塩:大さじ1~2ご用意
- オリーブオイル:大さじ4
- にんにく:2片
- パセリ(乾燥):適量、バジルでも
作り方
- オーブンを230度にあたため始める
- イトヨリダイに塩をふる
- じゃがいもをむいてスライスし、ズッキーニもスライスする
- 耐熱容器にイトヨリダイを置いたら野菜を周りにおき、オリーブオイル以外の調味料と水を半カップいれる
- オーブンで20分焼く
- 焼き上がったらパセリ、オリーブオイル、レモンなどをふる
⑤から揚げ
からっと片栗粉で揚げて唐揚げにすれば、白身のふっくらした甘さとカリッとした皮のおいしさを同時に味わえます。イトヨリダイと油の相性は抜群なので、まるごと揚げたり切り身を揚げたりして楽しみましょう。
材料(2人分)
- いとより:2匹
- 塩:小1
- 酒:小1
- 片栗粉:適量
- サラダ油:適量
作り方
- イトヨリダイに塩をふり、5分ほどおく
- 片栗粉をまぶして180度に熱した油であげる
- キッチンペーパーで油を切る
⑥天ぷら
おつまみにもおかずにもなるイトヨリダイの天ぷらは、食べ応えがあり満足できる一品です。青海苔やしそをまぶせばちょっと違った味わいも楽しめます。
材料(1パック180g)
- イトヨリダイのすり身:180g
- 青海苔:適量
- 揚げ油:適量
- わさびと抹茶の塩:適量
作り方
- すり身をスプーンですくって熱した油で揚げる
- 上がったら青海苔をふりかける
- お好みでわさびと抹茶の塩を添える
参考にしたレシピはすりじゃが、切り身に天ぷら粉をつけて揚げてもおいしいのじゃ
その場合は天ぷら粉に青海苔やしそを混ぜ込んで揚げましょう。
イトヨリダイをおいしく食べよう
値段が高く高級なイメージのイトヨリダイですが、まるごと手に入れたら自宅でさばいていろいろな食べ方で楽しみましょう。旬の時期のイトヨリダイは刺身にすればその魅力を存分に味わえます。
参考動画
今回は、銀座で板前をされている銀座渡利さまの動画を参考に記事にさせていただきました。銀座渡利さまのYoutube動画は以下より、ご覧いただけます。
イトヨリダイは約400gで3000円~4000円の値段で購入できるのじゃ。