幻の魚「げんげ」
「幻魚」をご存じでしょうか?「げんげ」と読みます。富山県の特産で、コラーゲンが豊富で、高い美肌効果があり、テレビで取り上げられ、特集もくまれているほどです。しかし、産地以外のスーパーや鮮魚店ではあまり見かけず、手に入りづらいあまり馴染みのない魚でもあります。そこで、いったいどんな魚なのか、また、おすすめの料理法や入手方法をご紹介します。
げんげってどんな魚?
今でこそ富山県の特産物であるげんげですが、県外ではその存在はなかなか知られていません。かつては浜辺に捨てられ、あるいは地元の漁師達の間で食べられていた魚がいつしか「幻の魚」と呼ばれ、今では高級魚として料亭などの料理に使われるようになりました。そんななじみの薄い知られざるげんげの生態をご説明します。
げんげの生息地
げんげは水深1000mに棲む深海魚
げんげは富山湾をはじめとする日本海に生息している深海魚です。富山湾は日本三大深湾のひとつで、その深さは1000mにを超えるところもあります。富山県特産の白エビやベニズワイガニをはじめとする500種類もの生物が生息おり、日本海に生息している800種類のうち半数以上になります。その種類の豊富さから「天然のいけす」として知られています。
げんげの特徴
つるつるの肌が最大の特徴
その形はウナギのように長く、腹びれが短いのが特徴です。また、その身は寒天状でつるっとした感触です。げんげ科は200種類以上いますが、その中で食用にされているのは主に「ノロゲンゲ」「タナカゲンゲ」「シロゲンゲ」「カンテンゲンゲ」の4種類です。見た目の特徴は種類によって異なりますが、どのげんげも非常に個性的です。
げんげの旬はいつ?
げんげの旬は冬
げんげの旬は冬で、12月~3月が最もおいしい時期とされていますが、深海魚で水温の影響を受けづらいため、特別味に変わりはありません。ですが、げんげ自体の漁は行われておらず、白エビ漁やズワイガニ漁など、他の漁の際に一緒に網にかかるため、その漁が行なわれる9月から5月までがシーズンになります。
げんげの名前
「下の下」から高級魚へ
げんげはエビ漁などの底引き網にかかることが多いものの、鮮度が落ちやすく商品にならないため、かつては捨てられていたことから「下の下」の魚とされてきました。「下魚(げぎょ)」とも言われ、そこから転じて「げんげ」と呼ばれるようになり、幻の魚と漢字があてられるようになりました。げんげは地域や種類によって、「水魚(みずうお)」「ばばちゃん」「なんだ」など、さまざまな呼び方があります。
げんげのさばき方
「下の下」から「高級魚」と言われるまでになったげんげですが、「幻の魚」というだけあって入手が難しく、地元以外ではあまりお目にかかることはないですよね。そのため、その選び方やさばき方もなかなか触れる機会はなく、一般的にはあまり知られていません。ここでは、新鮮なげんげの選び方やそのさばき方についてお話ししていきます。
生きのいいげんげの選び方
ポイントは目と体
げんげは先ほども書いたように、水分が多いため、鮮度が落ちるのが早いです。鮮度のいいものを選ぶときは体と目を見ましょう。鮮度がいいものの特徴は体が透明で張りがあり、目も澄んでいます。一方、鮮度が悪くなると体は黒っぽくなってきて、目も濁ってきます。また、生臭くアンモニア臭がしてきます。なるべくきれいなものを選ぶようにしましょう。
げんげの基本のさばき方
げんげのさばき方は簡単
まず、げんげの頭を落として胸びれから腹側を開き、内臓を取り出した後、水洗いします。うろこは退化しているのであまり感じませんが、気になる場合や揚げ物にする時は水分の多い皮をはいでおきましょう。その後、料理によって食べやすい大きさに切ります。汁物や鍋ものにいれる場合は骨ごとぶつ切りに、揚げ物やサイズが大きい場合などは2枚や3枚におろします。
げんげの味ってどんな味?
どんな料理にも合う白身魚
げんげは白身魚なので、味は淡泊です。また、水分が多いため、生で食べるとあまり味を感じられません。コラーゲンが多く含まれるため、食感は同じ深海魚のアンコウに似てゼラチン質で弾力があり、つるつるとしていて汁物や鍋、煮付けではその食感を楽しむことができます。しっかり火を通すと同じ白身魚のタラに近く、から揚げやてんぷらなど揚げ物にするとフワフワとして柔らかく食べられます。