豚肉を焼くときのポイント
中心部までしっかり火を通す
- どんな豚肉料理でも表面についた細菌を死滅させるために、中心まで火を通す
- レバーは中心の赤みがなくなるまで、火を通す
ローストポーク、ひき肉、筋切りした肉、タレに漬け込んだ肉など、どんな形や料理法であっても、中心まで火を通すことが鉄則です。国によっては生の豚肉を食べる地域もありますが、日本では生の豚肉を食べたら危険だと考えられています。
焼肉店やBBQなどにぎやかにおしゃべりしながら、自分たちで調理をする際には、肉の中心部分が生焼けになっているのに気づかず食べたり、「ちょっと赤いけど大丈夫だろう」という理由で油断したりすると、食中毒を引き起こす危険性があるので注意しましょう。
生肉を触った箸やトングは要注意
生肉を触った箸やトングから、食中毒に感染する危険性があり、それらを口に入れると細菌を体内に入れることになります。生肉と食事用の箸は分け、食べるときには清潔な箸を使うように心掛けましょう。特に外食時に子どもが区別がわからず、生肉用の箸やトングを使ってしまわないように注意してくださいね。
ハンバーグを焼くときはココを注意
- 生のひき肉から作られる料理は、付着している病原体が中心まで入り込むので、75 ℃で1分以上加熱する
- 外側が焼けていても中が焼けているとは限らない
- 火が通っているか不安な場合は、肉汁や断面の色を確認するとよい
特に厚みのあるハンバーグは、半生になっていないか心配になりますよね。初めから強火で調理をするとすぐに表面が焦げてしまうので、弱〜中火でフタをしながら、ゆっくりと中まで加熱していきましょう。
中まで火が通っているか肉汁の色で確認するときには、どうすればいいのかしら?
豚肉が生焼けかどうかの判断基準
厚みのあるハンバーグや肉の場合
- 真ん中を竹串で刺し、透明の肉汁が出てきたらOK
- 赤い肉汁が出てきたら、加熱が足りないサイン
- どうしても心配なときは、肉の真ん中をカットして断面を確認するとよい
厚みのある肉やハンバーグは短時間で火を通すのは難しいですが、ゆっくりと時間をかけながら、しっかり中まで加熱することを意識して調理しましょう。また、中がちょっと赤いなというときには、フタを使うと肉がぱさつくことなく中まで火を通せるので、おすすめです。
揚げ物の場合
- 多めの油で揚げる
- 肉が油の中で完全に浮いてきたら、揚げ上がりのサイン
- 心配な場合は揚げたあとに、切って断面を確認する
「油の処理が面倒」や「健康のために」という理由でできるだけ少ない量の油で揚げ物をする方が増えていますが、しっかり中まで火を通すには、できるだけたっぷりと油を使い揚げることが大切です。また、肉がふわりと浮いてくると揚げ上がりのサインにですので、参考にしてみてください。
豚肉料理の生焼けを防ごう
ハンバーグの場合
厚生労働省の基準によると、豚肉の中心温度が75℃で1分以上、または63℃で30分以上加熱すれば病原体は死滅できるとされています。ハンバーグは大人も子どもも好きな定番料理ですが、生で食べてしまったら大変ですよね。焼きハンバーグの場合だと加熱が不十分な可能性があるため、安心なのが「煮込みハンバーグ」です。
寒い時期になると食べたくなるわね!どんな手順で作ったらいいのかしら?
煮込みハンバーグの作り方
- 焼きハンバーグと同様にタネを作る
- 油を引いたフライパンでハンバーグの両面を焼き、火を通す
- フライパンの余分な油を拭き取り、カットトマト缶(1缶)、コンソメ(大1/2)、バター10g、ケチャップ(大2)ソース(大1)を加え煮込む
- 10分程度弱火で煮込む
- ハンバーグの中心を竹串で刺し、透明な肉汁が出てきたら完成(もし赤い肉汁が出てきたら再度様子を見ながら煮込む)
煮込みハンバーグの素がスーパーで売っているので、それを使うのもおすすめです。
揚げ物の場合
揚げ物の場合は、揚げたあとも余熱で肉の中まで火が通ります。したがって、揚げたあとにすぐ切ったり食卓に出したりせず、3分ほど待ちましょう。その後は中まで火が入っているか確認してから召し上がってください。
生の豚肉を触った箸と揚げたあとの肉を触る箸は、食中毒の危険を考えて別のものにしましょう。
困ったときには?
揚げ物を切った場合、まだ中が赤くても再度油に入れて揚げ直すことはできませんよね。そのときには、ラップをかけずに電子レンジで30秒くらいずつ温めましょう。電子レンジで短時間の加熱ならば、揚げたてとほぼ変わらないおいしさで食べられます。もし切り口が赤くても、落ち着いて対処してくださいね。
おいしく豚肉を焼くには?
肉のたんぱく質は65℃前後で固まり始め、その反動で肉汁が流れ出てきます。そしてその温度は、食中毒を引き起こすさまざまな菌が死滅していく温度と同じです。したがって肉の中心温度が約65℃になるように、時間をかけてじっくり弱火で加熱することで、ジューシーな肉を安全に食べられるのです。とんかつなどの揚げ物でも同様です。表面を一気に強火で加熱するとすぐに焦げてしまうので、火加減に注意しましょう。
もしも生焼けの豚肉を食べてしまったら
もし生や半生で食べたとわかったら焦っちゃうわ!どんな症状だったら病院にかかればいいのかしら?
一般的に肉が原因の食中毒は、食べてから7日以内に症状が出ます。食べてから7日以上経過していれば特に心配はいりません。もし期間内に以下のような症状が出た場合、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 腹痛
- 吐き気
- 倦怠感
- 発熱など
症状の経過をメモしたものを診察時に持っていくと、状態をより詳しく伝えられていいですね。
ローストポークの疑問
肉のピンクは生焼け?
ローストポークの断面はほんのりピンク色ですが、あれは血の色なのでしょうか?もしそうだとすると生焼けの肉を食べたことになってしまいますよね。実はあのほんのりピンク色の部分は「ミオグロビン」というたんぱく質の色なのです。
ミオグロビンとは
ミオグロビンはたんぱく質からできている成分です。また、生肉の赤さはミオグロビンの量で決まります。牛肉は肉の赤さが強く、逆に鶏肉は白っぽいのは肉に含まれるミオグロビンの量が違うからなのです。
またミオグロビンは肉の鮮度(空気にさらされる時間)によって変色していきます。色の変化はミオグロビンの中に含まれる「鉄」の成分が空気中の酸素に触れ、酸化するために起こります。身近な例でいうと、スーパーで割引の値札が貼られている古い肉は、新しい肉に比べて茶色っぽいですよね?その状態が酸素に触れて、変色した状態です。
このミオグロビンは酸化の他にも変色することがあります。それは「加熱」です。肉を加熱調理したときに、茶色く変化するのは、加熱したことで温度が上がったミオグロビンに変化が起きたからなのです。
このミオグロビンが加熱して変色する温度は約80℃で、病原体や寄生虫が死滅する温度よりも高いため、ローストポークの中がほんのりピンク色でも、加熱の仕方や温度、時間をしっかり守っていれば安全に食べられるということになります。
ローストポークに火が通っているか確認するには
①竹串
最も一般的な確認の仕方は、肉の一番厚い部分に竹串を刺して、肉汁の色を確認することです。肉汁の色が透明ならOK、まだ赤かったりほんのりピンク色だったら再度時間を置きましょう。肉はオーブンから出したあとも余熱で火が入るので、予定の焼き時間が過ぎたらオーブンから出し、アルミホイルで肉をしっかり包むといいでしょう。
②調理用温度計
クッキング温度計防水ThermoPro 温度計料理用 防水 調理用温度計 デジタル キッチン防水温度計 油 お肉 ミルク 天ぷら コーヒー 揚げ物 珈琲 お茶 菓子 バーベキューなどの温度管理 サーモメーター ステンレス製TP15
参考価格: 1,580円
肉汁の確認だけでは心配な場合は、調理用の温度計を使うと安心でしょう。使い方は、肉の中心部分に温度計を刺して、肉の中心温度が推奨されている基準に達しているか確認します。
豚肉が安全に食べられるとされる中心部の温度は75℃ですが、余熱で中の温度が上がるので、65℃程度でオーブンから出してもいいでしょう。余熱でどのように温度があがるのか知りたい方は、温度計を肉に刺したままアルミホイルで包み、経過を見ていくとわかりやすくおすすめです。
まとめ
生姜焼きにとんかつ、ローストポークなど、おいしい豚肉料理はたくさんありますよね。簡単に安く手に入る身近な食材ですが、生で食べるととても危険な食材でもあります。レアや半生など、生の豚肉を食べるのは絶対に避け、安全に豚肉料理を楽しんでくださいね。
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豚肉のレアは禁物!中心部までしっかり火を通すのを意識しましょう。