コウイカとは
コウイカは、イカ類コウイカ目に属する頭足類です。甘みが強く、人気の高いイカです。身は柔らかく、熱を加えてもあまり硬くなりません。そのため、刺身やてんぷらなどさまざまな料理法があります。旬は冬ですが、夏の小さい新イカも人気です。また、イカ類の中ではアニサキスが少ないことで知られています。
学名 | Sepia esculenta |
和名 | コウイカ |
大きさ | 20cm前後 |
別名はスミイカ
コウイカには、スミイカという別名があります。他のイカに比べ、スミをたっぷりもっていることからつけられました。また、色あせた茶褐色を表す「セピア色」の語源は、ラテン語でコウイカを表すsepiaです。これも、新聞や写真などにコウイカのスミを使った顔料が使われたことが由来になっています。
釣り人に大人気
コウイカは、イカ類の中でも釣りやすいことや、うま味が濃く料理も簡単なことから、釣り人に人気のターゲットです。生息地や時期などはアオリイカと同じで、最盛期は春先です。また、夏から秋にかけては子イカを釣ることもできます。コウイカ釣りには、主にエギングと呼ばれるルアーが用いられます。
大きな甲が特徴
コウイカの名前の由来は、体の中に入っている大きな甲(こう)です。コウイカは、この甲を浮き袋がわりにして生活しています。主に炭酸カルシウムからできており、貝の貝殻とほぼ同じものです。そのため人間は食べられませんが、鳥やカメのエサとしては古くから利用されています。
コウイカのさばき方
コウイカの刺身は、ねっとりとした甘味とうま味、柔らかさを存分に味わえる食べ方です。特に、幅広に厚く切ることで、より甘みを楽しむことができます。一見すると、ずんぐりとした体形から自分でさばくのは難しそうに感じますが、実は手順を知ることで簡単にさばくことができます。
ここからの説明は、最後にご紹介する銀座渡利さん・SUSHI LABOさんの動画を参考にさせて頂きました。
説明の中では、ゲソがある方が「下」・三角形にとがっている方を「上」とするね。
コウイカのさばき方1:甲を取り出す
まず甲を取り出します。最初に、甲が入っている下の部分に、軽く包丁を入れます。次にイカを持ち、まな板に上側を押し付けます。すると切り込みの部分から、つるりと甲が出てきます。そのまま手で引っ張ると、簡単に取り出すことができますよ。
コウイカのさばき方2:内臓とゲソを外す
甲を取り出した部分を、再度縦に割きましょう。そのまま上の方まで皮をまっすぐ割くと、内臓が現れます。この内臓は、イカの頭の部分とくっついているため、頭を外すとすべて外すことができます。付け根の部分を手で持ち引っ張ると、頭の両サイドに体とくっついている部分があることがわかりますよ。これをはがすと、簡単に内蔵を取り出すことができます。
墨袋を破らないように注意
内臓を開くと、大きなスミ袋がついています。しかしスミ袋を破ってしまうと、イカ全体が黒く汚れてしまいまう上、うま味の塊であるイカスミが使えなくなります。慎重にスミ袋を外しましょう。もし破れてしまったときは、さっと水で洗って皮をむくときれいになりますよ。どうしても気になる場合は、キッチンペーパーでふきとりましょう。
コウイカのさばき方3:外側の皮をむく
外側の皮は硬く、食べるのにはあまりむきません。左右の耳の部分の付け根には、皮と身の境があるので、ここにぐっと親指を差し込みましょう。そのまま下に向かって指をスライドさせていけば、片側の皮がはがれます。反対側も同じように、親指を差し込んではがします。最後は両方の皮を持って上に引っ張れば、きれいに皮がむけました。
コウイカのさばき方4:両端を落とす
外の硬い皮をはがすと、どうしても両端だけが薄くなります。このままでは薄皮がむきづらいので、ここを切り落とします。全体が丸みをおびた三角形になるように、細く両端を切り落としましょう。この部分は、さっとゆでてわさび醤油で食べると美味しいですよ。
コウイカのさばき方5:薄皮をむく
薄皮をむいていきます。まず、内側を表向きにして、下に浅く包丁を入れます。イカを裏返し、切込みを入れた部分からめくるようにして外側の薄皮をむいていきましょう。片手でイカを押さえて、もう片方の手で薄皮をひっぱると簡単にむけますよ。むき終わったら、次は内側の薄皮です。同じように上に浅い切込みを入れて、裏返したらめくるように内側の薄皮をむきます。
むき残しにはキッチンペーパーや竹串を使って
薄皮は弾力があるものの、ちぎれやすく身に残りがちです。しかし皮が残ったまま料理すると、どうしても舌触りが悪くなってしまいます。残った皮は、キッチンペーパーや竹串を使うときれいに取ることができます。竹串の先を使ってめくるように持ち上げ、慎重にむいてあげましょう。
コウイカのさばき方6:刺身にする
イカの繊維は、横向きに入っています。そのため、繊維をたつように切ることで、舌触りがよく柔らかさを楽しむことができます。はじめに横向きに2つか3つに分け、そこから縦に切っていくと、美味しいお刺身になります。またイカは、外側より内側のほうが甘みがあります。そこで、内側が表になるように飾り包丁を入れるのがおすすめです。
ゲソも美味しく食べられる
ゲソは、まず内臓を外し、裏返したら真ん中に包丁を入れてくちばしを出します。目も、同じように包丁を入れると簡単に取り出せます。また、10本足の内2本ある長い足は、味が落ちるのでひっぱり抜くのがおすすめです。次に、水でよく洗います。さらにボウルに入れて塩でもむと、汚れがよく落ちます。塩を洗い流したら、もう一度もんでから水洗いすれば終了です。ゆでたりてんぷらにしたりして、美味しく食べられますよ。
コウイカの注意点
コウイカを料理するときには、いくつか注意しなければいけない点があります。特に刺身で食べるときは、危険な寄生虫であるアニサキスに気をつけましょう。正しい知識を持ち慎重に扱うことで、リスクを下げることができます。また、せっかくのうま味が抜けないように手早く洗うことも大切です。
アニサキスに注意
アニサキスは、イカや青魚に多く生息する寄生虫です。生きたアニサキスを食べると激痛にあいますが、60度以上の温度で1分加熱することで死んでしまいます。また、目に見えないほど小さいわけではないため、刺身にするときはよく見てから料理するようにしましょう。もし糸状の姿を見つけたら、浅く切込みを入れてから竹串を使うと取り除くことができます。
一度冷凍したほうが安全
アニサキスは主に内臓に生息していますが、寄生主が死ぬとやがて身に移動します。そのため自分で釣りあげたコウイカの場合は、できるだけ早く内臓を手早く外すようにしましょう。そのうえで、一度冷凍するとより安全です。マイナス20度の環境では24時間で死んでしまいますが、家庭用の冷凍庫ではそこまで下がりません。そこで、内臓を外したあと48時間冷凍するのがおすすめです。
水につかると味が抜ける
コウイカは、水につかるとどんどん味が抜けていきます。そのため、水で洗うのは最低限に留める必要があります。汚れが付いた場合は、できるだけキッチンペーパーでとるようにするといいでしょう。また、まな板にもキッチンペーパーを敷いてからさばくようにすると、水洗いの回数を減らすことができます。
まとめ
コウイカはとても美味しく、生で食べるのがおすすめのイカです。コウイカのお刺身は、柔らかさと甘さを十分に楽しむことができます。イカをさばくのは、一見難しそうに見えますが、実は方法さえ知っていればとても簡単です。ぜひ、一度試してみてください。
参考動画
この記事では、銀座渡利さん・SUSHI LABOさんの動画を参考にさせていただきました。他にもさまざまな魚介類を扱っていますので、よろしければご覧ください。
出典:写真AC