天ぷら油を使った料理が苦手な理由
主婦層を中心に「家では天ぷら油を使わない」とか「揚げ物料理は苦手」という人が増えています。揚げ物料理を避ける人にその理由を聞くと、いくつかの事情が明らかになりました。
理由①サラダ油による汚れが苦手
揚げ物調理をすると、油はねがあります。キャノーラオイルの場合、サラサラしているように見えて、加熱されて時間が経過するとべたついてしまいます。このことでガスレンジやIHヒーターの油汚れが面倒に感じるようです。このほか食器の油汚れによるヌルつきもなかなか落とせず、食器洗いの時間が苦痛に感じてしまうことも。
理由②天ぷら油の捨て方・処理が面倒
天ぷらや唐揚げはおいしいけれど、そのあとの天ぷら油の捨て方がわからないという人も少なからず見られます。また液体の処理になるため、面倒に感じてしまうことも。一度オイルポットに保管したとしても、次に揚げ物をする機会がなく油が酸化して使えなくなるため、揚げ物はしたくないという結論に至ることもあるようです。
理由③天ぷら油を大量に使うことに抵抗
揚げ物料理をカリッと仕上げるためには、たっぷりの油で揚げることがポイントとなります。少ない油でも唐揚げができる方法なども紹介されていますが、中が生のままだったなど、できあがりがイマイチになる場合も考えられます。特売が多い天ぷら油ですが、たっぷり使うとそれだけ処理がしにくいなど面倒なことも増えるため、避けたいと感じる原因につながるようです。
天ぷら油の処理の目安
揚げ物に使ったサラダ油は繰り返し使えます。もちろん永久的に使えるものではありません。処分する目安を紹介します。
天ぷら油を処理する目安
- 天ぷら油の温度が上がりにくくなったら処分
- 灰汁のような泡がたくさん出てきたら処分
- 酸化臭がしてきた場合や、使い始めてから2週間以上経過したら処分
天ぷら油の処理方法5選
ここからは、みなさんが気になる天ぷら油の処理方法について紹介します。開封したまま使わなかったごま油や、一時期流行したココナッツオイルなども同様の処理方法で捨てられます。
方法①牛乳パックで処理
牛乳パックは耐水性・耐油性のフィルムが貼られています。牛乳パックに新聞紙などを詰めて油をしみこませましょう。しっかり蓋をして、お住いの自治体の処分方法に従って処理してください。油の場合は「燃やせるごみ」として捨てられる自治体が多いようです。油が漏れださないように耐油性のガムテープを使って封をしましょう。
方法②油凝固剤で処理
80度程度に冷ました天ぷら油に油凝固剤を入れて溶かすことで、油がゼリーのように固まります。固まった油は、生ごみと同様に処分可能です。油が冷たくなってから捨てられるので、安全です。揚げ物用鍋からきれいに固まった油が外せるので、その後の鍋の洗浄が簡単ですよ。
方法③天ぷら油を吸わせて処理
先に紹介した牛乳パックの派生です、耐油性の袋に廃油を吸うための綿状の吸収剤が入っています。油を吸わせて処分できるので牛乳パックや新聞紙が準備できない場合はこちらが便利です。やけどや引火といった危険防止のために、油の温度が下がってから処理してください。
方法④炒め物で再利用
一度揚げ物に使っただけ、という場合なら、毎日の炒め物用に使いまわしましょう。フライパンの温度を上げるために大さじ1杯程度の揚げ物油を使うだけで無駄なく使いきれます。処分するにはもったいないごま油やココナッツオイルも使い切るために炒め物に使用してみてはいかがでしょうか?
方法⑤天ぷら油廃油リサイクルで処理
地域によっては、天ぷら油を回収することもあるようです。バイオ燃料に精製し、バスや公用車の燃料として使うためのリサイクルが活発に行われています。地域によって取扱いが異なり、家庭用廃油の回収を行わない自治体もあるようです。NPO団体の回収情報などもチェックしてみましょう。また、回収には条件や制約があるので回収に出す前に必ず確認してください。
次は、便利な廃油の使い道を紹介します
天ぷら油で作る固形燃料
災害などでライフラインの寸断や途絶が増えてきました。ガスコンロが使えてもガスがないということもあるかもしれません。ここでは、あると便利な処理する天ぷら油でつくる固形燃料の作り方を紹介します。
材料
- 天ぷら油(古いものでOK) 適宜
- 空き缶(鯖缶など若干高さがあるもの) 1つ
- 油凝固剤(1本600mL用) 1/3本
- 段ボール 空き缶の高さ×40cm程度 3枚
- ガスバーナー、割りばし、軍手
段ボールの1枚は芯になるので缶の高さから5mm程度高めに切り出してください
作り方
- 空き缶に天ぷら油を8分目ほど入れる
- バーナーで空き缶を加熱し、油凝固剤を入れる(目安量より多めに入れる)
- 油凝固剤を完全に溶かし、バーナーから外す
- 3枚重ねて丸めた段ボールを缶にゆっくりと押し込む(溢流注意!)
- 固まるのを待って完成
使用方法
しっかり固まった固形燃料の段ボールに火をつけるだけです。バーナーのような火力が期待できます。ただし、鍋を温めようと缶の上にじかに置くと、空気の循環が妨げられ火は消えてしまいます。ダッチオーブンスタンドなど「ごとく」の代わりになるものを置いて使いましょう。しまうときは、必ず冷めてから。保管中は火気厳禁。保管中の虫害にも気を付けてくださいね。
天ぷら油で作る石鹸
廃油石鹸というものがあります。古い油を「鹸化(けんか)」させて石鹸を作るものです。以前は家庭で作れましたが、材料が手に入りにくいことと、作業工程において危険を伴うため、ここでは簡単に紹介します。
材料
- 天ぷら油(古いものでOK) 500mL
- 水 190mL
- 苛性ソーダ 70g
- 塩析用食塩水(水200mLに塩40gを溶かしたもの)
- ゴーグル、手袋、異臭が強いため屋外での作業推奨
苛性ソーダってなんですか?
劇薬で購入には署名捺印が必要じゃ。個人には売らない薬店が大半じゃ
劇薬…!手に入りにくいってこのことなんですね。
作り方
- 容器に、温めた水・油・苛性ソーダを入れる
- かくはんさせ「鹸化」させる。
- 牛乳パックなどの型に②を移し、2週間ほど乾燥させる
- 細かく削った③を熱湯で溶かし、塩析用食塩水を入れてかくはんする
- クリーム状の固形分をモールドに入れ、乾燥させて完成
注意事項
苛性ソーダは水に触れると発熱します。また油と反応する際に異臭がします。屋外でも、住宅密集地での作業は避けましょう。また鹸化した液体だけではなく、水蒸気や臭気に触れると皮膚がただれますので、家庭での製作には向いていません。作業工程も時間がかかるので、自作は避けるべきでしょう。
天ぷら油のNG処理3選
ここからは、私たちがやってしまいがちな油のNG処理方法をピックアップして紹介します。NG処理を続けると、環境汚染につながるので絶対にやめましょう。
NG処理①排水溝へ捨てる
排水溝へそのまま捨てると、水と比重が異なるため排水溝のつまりが生じます。また油は自然界で中和されにくいため、河川の汚染に直結します。これまで少量でも排水溝に捨てていた場合は、キッチンペーパーなどに吸わせて燃やせるごみとして処分しましょう。
NG処理②温度が高いまま捨てる
サラダ油は300度を超えると発火しやすくなります。300度に満たなくても、熱されれば火がついてしまうものもキッチンにはたくさん存在します。除菌用のアルコールスプレーの空き容器と、熱いままの天ぷら油がごみ袋の中に混在した場合、火事の火元になる可能性も否めません。天ぷら油の処理は、冷めてからにしましょう。
NG処理③油乳化剤を使う
廃油の捨て方のひとつとして「油乳化剤」を使うという方法があります。廃油と混ぜると乳化し石鹸として使えるという触れ込みで、SNSでも紹介されるようです。ただし、時間の経過とともに乳化したものが再び分離するため、排水になった後の汚水の問題が浮上しています。国民生活センターでも注意喚起しているので使用はNGです。
まとめ
揚げ物をした後の油の捨て方や再利用方法などをまとめました。また、NG処理の方法もまとめたので、環境にやさしい油の処理方法を模索するきっかけにつながったのではないでしょうか。処理方法をいくつか把握すれば、料理のレパートリーにも揚げ物料理が定番化するかもしれませんね。
肉や魚を大量に揚げた場合は、保管せずに即処分のほうがいいですよ!