握り寿司をつくろう
回転寿司で私達に身近な握り寿司ですが、寿司職人が握ってくれるような寿司店はなかなか敷居が高いという方もいらっしゃるのではないでしょうか?寿司店がおいしいのは、素材はもちろんですが、仕込みやネタの切り方、「小手返し」といった握り方など技術的なところも大きいです。そこで、基本的な寿司づくりのコツをプロの動画を見ながら学んでいきます。
握り寿司にもいろいろありますが、今回は基本的なタネの切り方や、握り方「小手返し」のコツについてご紹介します。銀座で板前をなさっている「銀座渡利」様の動画をもとに解説いたしますね。
【お寿司の握り方】①材料の準備
材料①シャリの準備
お寿司に使うすし飯のことを「シャリ」といいます。シャリはご飯とすし酢を混ぜて作られます。最近では、あらかじめ調味料が混ざっているすし酢や粉末のものがあり非常に便利です。しかし、すし酢を作るのはそこまで難しくありません。ここでは、すし酢を作るところからシャリを作る基本的なレシピをご紹介します。
今回は、握り寿司用のさっぱりしたシャリのレシピです。ちらし寿司やいなり寿司は、酢と同量の砂糖を使って甘めに仕上げます。
シャリの材料(3合分:40貫前後)
- ご飯:3合
- 酢:60mL
- 砂糖:24g
- 塩:6g~9g程度
準備のポイント
ご飯を炊くとき、米と水が1:1になるようにすると、すし飯にちょうどいい固さになります。炊飯器の普通だき(1:1.2程度)より少なくするのがポイントです。また、ボウルを使うときはすし酢の量を5%程度少なくするのもポイントです。木でできた飯切り桶と違って、ボウルは酢を吸わず、ご飯にたいしてすし酢の割合が多くなってしまうので、注意が必要です。
作り方
【必要なもの】宮島(もしくはしゃもじ)、飯切り桶(なければ大きい深皿やボウル)、布巾
【下準備】
- 宮島と飯切り桶を濡らして拭いておく
- 調味料をあわせて、すし酢を作っておく
【作り方】
- 炊きあがったご飯を大きな器にうつし、すし酢を全体にまわしかける
- 全体を軽く混ぜてから、飯切り桶をこするように宮島を横に動かし、ご飯を飯切り桶に散らすように切る
- シャリをひとまとめにしてから、再度飯切り桶に散らすように切ることを何度か繰り返す
- シャリが切れたら、全体に広げて1~2分程度おく
- 上下を返して、酢が均等に混ざるようにする
- 馴染んだら、別の器に移してできあがり
すし酢に使うお酢は、コクが出て深みのある味わいの米酢が向いています。穀物酢を使うとよりさっぱりとした味わいになりますが、使っても問題はありません。赤酢を使うとより本格的なシャリになります。
材料②タネの準備
タネとは、シャリの上に乗せる魚介類のことです。タネの種類にはサクから切り出したり、貝をむいたり、タレを付けたりなどさまざまです。寿司種の切り方は刺し身とは微妙に違いますし、穴子などで使うタレ(煮詰め)は手作りできます。サクからタネを切り出すコツやタレ(煮詰め)の作り方など、さまざまな寿司種の準備の仕方をご紹介します。
準備①サクからの切り方
ここでは、筋のわかりやすいマグロのサクを例にお話しします。
①マグロの筋と直角に、身をそぐように斜めに包丁を入れます。このとき、マグロの筋や繊維の方向をしっかり見ることが大切です。マグロの繊維の方向は、サクをなでたときになめらかに指が滑る方向です。引っかかる方向は逆目といい、包丁を入れたときに身が崩れてしまいます。
筋や繊維の見極め方や、マグロのお刺身の切り方については、こちらの記事でまとめています。
②マグロを切り終わる最後の数mmだけ、寝かせていた刃を立てて切ります。これが「小刃返し」です。小刃返しをして身を断ち切ることで、刃に身が引きづられて形が崩れてしまうのを防げます。
③最後に、マグロの表側(段がついている側)に薄く切込みを入れます。こうすることで、筋も細かく切れて柔らかく、醤油をつけたときに味も乗りやすくなります。
準備②貝をむく
貝は砂抜きをしてから、貝がらを取り外します。貝の殻を取り外すことを「貝をむく」といいます。貝をむくには、専用の「貝むき」というヘラを使うと便利ですが、ハンバーグなどに使う洋ナイフでも代用可能です。
【貝の仕込み方】
- 貝を3%の塩水につけ、1時間~半日程度、暗所で寝かせて砂をはかせます。
- 貝の隙間から貝むきを入れ、貝柱を切って貝をむきます。
- 貝の汚れや内臓などを処理して、身をきれいにします。
3%は海水と同じくらいの濃度で、500mLのペットボトルの水にペットボトルキャップ2杯分の塩を溶かせば、簡単に作れますよ。
貝のさばき方のコツは、こちらでもご紹介しています。
準備③煮詰め(ツメ)の準備
煮穴子や煮ハマグリなどに塗る甘いタレが「煮詰め(ツメ)」です。煮穴子や煮ハマグリを煮た煮汁をザルやキッチンペーパーでこし、骨や残った身を取り除きます。その後、こした煮汁に砂糖を入れ、弱火でアクを取りながら30分から1時間煮詰めていきます。とろみが出てきたら完成です。
次のページでは、いよいよお寿司を握っていきます。初心者向けの基本的な握り方である「小手返し」もご紹介しますよ。
出典:写真AC