はじめに
コーヒーリキュールとは、コーヒー豆を使って作られたリキュールのことで、文字どおりコーヒー味のお酒です。実はこのコーヒー酒は梅酒や杏酒のように自宅で手軽にコーヒー豆と蒸留酒で作れます。コーヒー豆やお酒の種類の組み合わせで多種多様な味を楽しめるコーヒー酒の作り方と楽しみ方をご紹介します。
コーヒーリキュール・コーヒー酒とは?
コーヒー味のお酒というと市販品のコーヒーリキュール(ティアマリア、カルーアなど)も数多くあります。その多くはコーヒーを原材料の一部としてフレーバーにバニラやカラメル、ハーブなどをプラスしたリキュールです。自宅ではシンプルに蒸留酒、砂糖、コーヒー豆の三つで作れます。
リキュールってどんなお酒?
- 蒸留酒に甘味を加えて果物やハーブなどの風味や味を移したお酒のことで、梅酒もリキュールの一種になります。
- 蒸留酒は醸造されたお酒を加熱冷却してアルコール分を取り出した度数の高いお酒で、焼酎、ブランデー、ウィスキー、ラム酒などが蒸留酒にあたります。
コーヒーリキュール・コーヒー酒の材料
コーヒー豆
日本で流通しているコーヒー豆の多くはアラビカ種とロブスタ種の二種類で、コーヒーショップなどで味わえるコーヒーの多くが、風味が豊かでしっかりした酸味が特徴のアラビカ種が主流となっています。アラビカ種もさらに細かく分かれ、その数は200種以上あります。
コーヒーの伝来
アラビカ種の原産はエチオピアといわれ、最初は食用や薬として使われていました。その後焙煎、飲用されアラブ地域からヨーロッパ、そして世界へと広まり日本に江戸時代後期にオランダから伝来しました。
コーヒーの効能
カフェインを代表とする薬効成分を含むコーヒーの効能ですが、近年ポリフェノールも多く含まれていることが知られてきました。その効能は広く香りによるリラックス効果をはじめ覚醒・鎮痛・利尿・消化作用やさまざまな予防効果・効能が期待されています。
砂糖
一般的に砂糖と果物を一緒にいれ果実酒をつくりますが、なぜ砂糖を使うのでしょう?これは浸透圧の作用を使うためなんです。蒸留酒に砂糖をいれると濃度が高くなり、浸透圧の作用が効いて果物のエキスが出やすくなります。入れる砂糖の違いで風味が変わってきますよ。
果実酒作りの定番“氷砂糖”
自宅で作る果実酒に使用される氷砂糖ですが、その溶け方にもちいられる理由があります。氷砂糖は他の砂糖にくらべてゆっくりと溶けるので、蒸留酒にコーヒーのエキスや香りが移りやすくなるからです。
カラメルフレーバーをプラス“コーヒーシュガー”
コーヒーシュガーは氷砂糖にカラメル溶液をプラスして作られた砂糖なので、砂糖とカラメルがゆっくり溶けだしてコーヒーの味を引きたててくれます。
あと味すっきり“グラニュー糖”
純度の高い糖液からつくられるグラニュー糖は、くせがなく氷砂糖より早く溶けるのでさっぱりしたコーヒー酒ができます。
甘味が苦手な人には砂糖入りより少し時間はかかりますが、コーヒー豆と蒸留酒だけでもおいしいコーヒー酒ができますよ。
ベースになる蒸留酒
ベースになる蒸留酒はコーヒー豆の風味が引き立つホワイトリカーや焼酎、ウォッカなどくせの少ない蒸留酒がおすすめです。独特な香りがあるブランデーやウィスキーなどは個性的なコーヒー酒になります。
すっきりタイプの蒸留酒
ホワイトリカーや焼酎、ウォッカ、泡盛などくせの少ないクリアな蒸留酒がベースにおすすめです。糖蜜を主原料に使った甲類焼酎のホワイトリカーは、基本的に無味無臭に近くそのためコーヒー酒をふくめ果実酒につかうとストレートに漬けた果物の風味を楽しめます。
芳醇な香りの蒸留酒
ブランデーは果物を発酵・蒸留させたお酒で、アルコール度数が高く、材料になる果物の違いで個性的でほのかな甘みが感じられる蒸留酒です。その風味からブランデーはお菓子や料理によくもちいられます。コーヒー酒にするとブランデーの香りに加えてコーヒーの味や香りをほのかにまとった個性的な風味になります。ウィスキーで作るコーヒー酒もウィスキーの香りにコーヒーの香りがプラスされてまた一味違う楽しみ方ができます。
アルコール度数の注意点
日本では果実酒などを家庭で作る場合、酒税法上20%以上のアルコール度数の蒸留酒以外での果実酒作りはできません。本来であれば無許可でお酒は造れないのですが例外として“家庭で自分が飲むために果実酒を作る場合は、無許可でも作ってOK”なんです。
家庭で作る果実酒は「漬け込むお酒はアルコール度20%以上をつかう」「穀類(米、粟、麦など)、ぶどう類(ぶどう、山ぶどう)は漬けこまない」などの条件をクリアしなくてはなりません。ただし”家庭でつくった果実酒は、家族以外に振る舞ったり販売してはダメ!”なので気をつけてくださいね。
20%以下だと酵母菌が活動して発酵がすすみ、はじめに入れたアルコールよりもでき上がりの度数が高くなってしまう可能性があるからなんです。
コーヒーリキュール・コーヒー酒の作り方
用意するもの
- 材料を入れるための密閉できる容器(広口のビンなど)
- ローストしたコーヒー豆100~200g
- 氷砂糖100~200g(甘さはお好みで)
- 果実酒用ホワイトリカー(35%)1.8L
作り方
- 保存容器をよく洗い熱湯消毒してしっかり乾かしておきます。
- コーヒー豆を弱火で炒って、常温にさましておきます。
- コーヒー豆、氷砂糖を入れてホワイトリカーをそそぎ、2~3週間ほど漬け込みます。
保存方法
- 全部材料を入れ終わったら、常温で保管してください。
- 最初コーヒー豆が浮いてきますが一週間ほどすると沈んできます。
- 時々保存容器を軽くゆすって混ぜ合わせます。
- コーヒー豆がすべて底に沈んで色がでてきたらできあがりです。
- 後はお好みで漬け込む時間を調節してください。
使用したコーヒー豆によっては長時間漬け込むとえぐみが出る場合があるのでコーヒー豆を取り出し濾してから熟成させてくださいね!
- コーヒー酒は味はもちろん香りを楽しむお酒なので、コーヒー豆はなるべく新鮮で焙煎したてを使うとより一層風味を楽しめます。
- さっぱりとした「浅炒り」、大人の苦み「深入り」といろいろ好みで焙煎の度合いを変えてみてください。味は酸味の強い豆がおすすめですよ!
コーヒーリキュールはアレンジ多彩!カクテルの作り方
できあがったコーヒー酒の飲み方はロックやストレートで楽しんでももちろん美味しくいただけますがいろいろなアレンジを加えて楽しんでみてはいかがでしょう。
レシピ①ミルクとあわせる飲み方
グラスに氷を入れ、コーヒー酒1/3、ミルク2/3の割合で注ぎかるく混ぜ合わせます。カクテルのカルアミルクに代表されるように、ミルクとの相性は抜群です。口当たりがよいので飲みすぎにはくれぐれも注意してくださいね。
レシピ②オレンジジュースとあわせる飲み方
グラスに氷を入れ、コーヒー酒1/2、オレンジジュース1/2の割合で注ぎます。割合はお好みで調節してください。オレンジの酸味とフルーティーな味わいがコーヒーとミックスされ、さわやかな味わいのカクテルになります。
レシピ③ソーダとあわせる飲み方
グラスに氷を入れコーヒー酒1/2、ソーダ1/2を注ぎ炭酸が抜けないようにかるく混ぜ合わせます。こちらも割合はお好みで。ソーダでわるとさっぱりした味わいの一杯になります。オレンジやレモンスライスなどの柑橘系のトッピングをあわせても楽しめます。
レシピ④ウォッカとあわせる飲み方
グラスに氷をいれコーヒー酒1/3、ウォッカ2/3の割合で注ぎかるく混ぜ合わせます。カクテルのブラックルシアンに代表されるようにかなりアルコール度数の高い一杯になります。こちらに生クリームをプラスするとホワイトルシアン風になってまろやかな口当たりになります。
レシピ⑤コーヒーと合わせる飲み方
寒い日に、コーヒー酒でつくるアイリッシュコーヒー風の一杯はいかがでしょう。カップにコーヒー酒1/3、ホットコーヒー2/3を注ぎ少しホイップした生クリームをトッピングします。アクセントにお好みでシナモンシュガーをふるってください。
レシピ⑥アイスが“溺れる”デザートの作り方
食後にアフォガードはいかがでしょう。溺れるという意味を持つデザートで市販のアイスクリームをうつわにいれコーヒー酒をお好みでかけてください。
ゼリーやムースにしたり、ティラミスやケーキの風味づけに使ったり、お菓子作りにもコーヒー酒を使って楽しめますよ!
まとめ
コーヒー豆・砂糖・蒸留酒と簡単な材料でできるコーヒー酒ですが、コーヒー豆の種類、焙煎の度合い、ベースに使う蒸留酒、砂糖の選び方次第でバラエティーにとんだ組み合わせができます。いただくときもアレンジは多彩!ぜひお好みの組み合わせを見つけて楽しんでください。
ロブスタ種は主にインスタントコーヒーなどの材料に使われるんだね。