自作シルクスクリーンに挑戦してみよう
シルクスクリーンを自宅で行うのは難しそうに感じますね。実は少しコツはいりますが、道具さえあれば自宅で製版できますよ。シルクスクリーン製版ができれば、オリジナルTシャツや、ホワイトインクやゴールドインクを使ったオリジナルグッズが作り放題になります。DIYの可能性を大幅に広げてくれるので、ぜひ挑戦してみてください。
シルクスクリーンとは?
「ステンシル」をやったことがありますか?耐水ペーパーの一部に穴を開け、その上からスタンプなどで色をつけて絵柄を抜く技法です。シルクスクリーンも同様に、スクリーンの一部に穴を開け、そこからインクを流しこむことで印刷する技法です。
自作シルクスクリーン~製版~
さっそく製版してみましょう。難しそうですが、道具を揃えることができれば誰でも挑戦できますよ。
必要な道具
製版に必要な道具は以下です。
- スクリーン
- スクイージ
- ジアゾ感光乳剤
- ジアゾ再生液
- 印刷したい原稿
- 黒い紙または布
- ストップウォッチまたは時計
スクリーン
スクリーンは枠とセットになっているものが便利です。スクリーンは目の細かさを「メッシュ」という単位で表しています。単純な模様やラメの入ったインクを使いたい場合は、粗く目詰まりを起こしにくい80メッシュを、繊細な線などを表現したい場合は細かい120メッシュを使うと良いでしょう。
スクイージ
感光乳剤やインクを薄く伸ばす道具です。樹脂製とゴム製があり、どちらも使えます。
ジアゾ感光乳剤
光に反応して固まる薬品で、大きい画材店の版画コーナーかネットショップで購入できます。50mL入りではがきサイズの版が7〜8枚製版可能です。
ジアゾ再生液
ジアゾ感光乳剤専用の再生液です。失敗してしまった時や、もう使わない版の乳剤を落とし、再利用可能な状態にしてくれます。
印刷する原稿
印刷する原稿は、完成時にインクが乗らない部分は光を通すように加工する必要があります。この3パターンのいずれかで原稿を加工しましょう。
- 透明フィルムに印刷する
- トレーシングペーパーに印刷
- レーザープリンターで印刷し、油にひたして透かす
黒い紙か布
スクリーンより1回り以上大きい黒い紙か布を用意してください。書道用の下敷きも使いやすいです。露光するとき、床や地面から光が跳ね返るのを防ぎます。
ストップウォッチか時計
露光時間を計測するために用います。
製版工程
材料の準備ができたところで、実際に製版をしてみましょう。
①スクリーンの油分をとる
スクリーンを中性洗剤で洗い、油分や汚れをとります。その後はよく乾かしてください。
②感光剤と乳剤を混ぜる
ジアゾ感光乳剤の箱を開けると、感光剤と乳剤、2つのビンが入っています。感光剤を温水で溶き、乳剤の瓶に入れてよく混ぜ合わせます。
ジアゾ感光乳剤は紫外線で固まるため、必ず太陽光を遮断してください。蛍光灯の光にも反応するので、長時間の作業は避けたほうがいいでしょう。
③感光乳剤をスクリーンに塗布し乾かす
スクリーンに感光乳剤を垂らし、スクイージで薄く均一に伸ばします。伸ばしたら押入れなど光の入らない場所でよく乾燥させてください。ドライヤーの冷風を用いてもいいでしょう。
④露光する
露光させるまでは版を光に当てないよう注意して作業してください。上から順に、
- 裏面を上にした原稿
- 裏面を上にしたスクリーン
- 黒い画用紙か布
⑤シャワーで洗い流し乾燥させる
露光後はすみやかにシャワーで洗い流します。露光時間が短すぎると関係ないところまで流れてしまい、長すぎると上手く抜けなくなります。ちょうどよい時間に流すと、原稿の黒い部分だけをきれいに抜くことができます。上手くいかなかった場合は再生液を使って落版し、再挑戦しましょう。
⑥白抜けしたところを埋める
感光乳剤を伸ばすときにうっかり抜けてしまったところや、シャワーで洗い流すときにこすりすぎてできたピンホールなどを感光乳剤で埋めておきましょう。最後にしっかり光に当てると版が固定され、数十回使っても大丈夫な状態に仕上がります。
TシャツくんJr.で簡単に
手軽にシルクスクリーンが作れるキット「Tシャツくん」を使えば、工程を大幅に省略することができます。「TシャツくんJr.スモールスクリーン」には、先ほどの工程表の①〜③が終わった状態のスクリーンが入っているので、手軽に失敗なく版作りができます。大型の「Tシャツくんワイド」から小型の「TシャツくんJr.」までいくつか種類があり、粗さも60メッシュから230メッシュまで販売されています。
これでシルクスクリーン製版は完成です。次のページでは実際にこの版を使って印刷してみます。
出典:著者撮影