ストームグラスとは
「ストームグラス」とはいくつかの化学薬品をアルコールに溶解してガラス管に封入して作製したものです。しずく型のガラス容器に封入したものは「テンポドロップ」とも呼ばれます。溶液内に析出する結晶の様子が美しく、おしゃれなインテリアとして注目されているアイテムです。
ストームグラスの歴史
ストームグラスの結晶の様子は天候の変化や嵐の襲来によって変わるので、「天気管」とも呼ばれます。ストームグラスは19世紀のヨーロッパでは、天気予報の道具だったのです。ロバート・フィッツロイは、ストームグラスの考案者はCortiという人物だと書き残しています。フィッツロイは気象学の開祖とも呼ばれるイギリス海軍の軍人です。
ベルヌの「海底二万里」にも登場
フィッツロイはビーグル号の2度目の航海で艦長を務めました。この航海はチャールズ・ダーウィンが参加したことでも知られています。航海中にフィッツロイは天候や嵐とストームグラスの変化を詳細に記録していました。1870年に発表されたジュール・ベルヌの「海底二万里」の中では、潜水艦ノーチラス号の艦内にストームグラスが設置されています。
本来のストームグラスとは
本来のストームグラスに封じられている溶液は、しょうのう、硝酸カリウム、塩化アンモニウムをエタノール水溶液に溶かしたものです。この溶液を長さ25cm、直径2cm程度の試験管に入れ、針で小さな穴を開けた紙や皮で封じて作製していました。
天候や嵐を予測できる?
ストームグラスは容器内の結晶の様子によって、近い未来の天気や嵐を予測できるとされます。ストームグラスの見方の例としては、結晶が沈んで液体が透明になっていたら、天候は晴れに向かうそうです。星のような結晶が浮遊して沈殿物も増えてきたなら、天気は雨となります。季節によっても異なり、析出する結晶が少ないのは夏で、多くなるのは冬です。
嵐の前には結晶が変化
また、天候が崩れて嵐になるときには結晶が大きな葉のような形になり、溶液は濁るといいます。昔はこうした変化から天候を予測していました。しかし天気と結晶の変化の関係については明確になっていません。大気の温度、湿度、気圧、大気中の電気現象などが、物質の溶解度や結晶の形に影響しているためと考えられています。
ストームグラスって不思議できれい!身近な材料で簡単に手作りできるのかしら?
出典:写真AC