毛ガニのさばき方
毛ガニのさばき方は人によって若干違います。今回ご紹介するのは、和食のプロ「銀座渡利」流のさばき方です。手と包丁で、簡単にさばく方法をご紹介します。
毛ガニと一緒に、会話も楽しみたいものよのう。予め食べやすいようにさばいて盛り付けておくのもよいかもしれぬぞ。
①足とはさみのさばき方
まず、足をつけ根で外します。手で足やはさみをつかんで、関節で腹側に折るようにしてください。はさみや包丁を使わないのがコツです。画像右をご覧いただくと、足の根元の胴から引き抜いた部分に、軟骨が見えます。関節を刃物で切ると、この軟骨を切ることになり、身の中に残ってしまうのです。関節を手で折れば簡単に軟骨を抜くことができます。
足は関節でABCDの4つの部分に、はさみは2つの部分に分かれています。それぞれの関節を、曲がる方とは反対の向きに折って抜きましょう。どの関節からも、足先に近い側に軟骨がついて抜けてきます。
刃物を使わずに手だけで、足が4つの部分(根元からABCD)、はさみは2つの部分、甲羅(胴体)の部分に分けられました。足D(爪の先)はほとんんど身がないので捨てます。
関節は簡単に折れるし、手だけでこんなに簡単に解体できるなんて感激!次は甲羅(胴体)部分のさばき方だね。
②胴体のさばき方
胴体部分を開けて、甲羅側と腹側に分けます。甲羅側を下、腹側を上向きに置いて、下側(ふんどしがついていた側)から上下に開いてください。カニ味噌が飛び散らないように気をつけましょう。
カニ味噌は主に2か所に入っています。1か所は甲羅側です。もう1か所は腹側の口の下辺り、膜の下にあります。腹側のカニ味噌を、小さめのスプーンかカニスプーンで甲羅の中に移してください。
腹側から食べられない部分を外します。外すのは次の3つの部分です。
- 口の前に、小さな足のように出ている部分
- 両脇にある、細くぴらぴらした部分
- えら(がに:黄色で囲んだ部分)
甲羅側についている口は、硬くて食べられません。画像左上のように、口を親指で押し込むと、簡単に外れます。口にはカニ味噌がついているのでていねいに取り、甲羅の中のカニ味噌に合わせましょう。
さて、いよいよ身を取り出していこう。
③足の身の取り方
足の一番根元の部分(A)は最も大きな身が取れる部分です。この部分は画像左のように、直線的な側と曲線的な側があります。この曲線側の部分を包丁で開いていきましょう。まず、足先に近い側(Bと接続していた側)を、オレンジの線で切ります(画像右上)。次に足Aを立てて、ピンクの線でそぎ落としてください(画像右下)。
画像右上のように、曲線側の殻が切り落とされました。すると画像右下のように、殻をぱかっと開けるようになります。根元側を中心にして、中の身を斜めに引き出してください(画像中央)。
殻から身を完全に取り出してしまうこともできるけど、こうするとおしゃれで高級に見えるな!
はさみの2つの部分、足B~Cの部分は、包丁で縦半分に割ります。箸やカニスプーンのフォーク側(ツマ)で、身をかき出してください。
これで足の処理は完了じゃ。次は胴体の身の取り方をご説明しよう。
④胴体の身の取り方
胴体の腹側の部分は、まず包丁で縦半分に割ります(画像左)。足を外した部分の反対側を三角に落としてください(画像右)。
この切断面から横半分に包丁を入れましょう(画像右上)。向きを変えて縦にして断ち割り(画像左下)、背側と腹側に分けます。カニ味噌がついていたらていねいに取り、甲羅の中のカニ味噌に合わせましょう。
胴体横断面から、身をほぐして取ります。腹側は軟骨のつくりが単純なので、身がまとまって外れやすいです(画像左下)。軟骨が混じることもほとんどありません。一方、背側は軟骨が入り組んでいるので、軟骨の間から身をほぐして取り出してください。この段階では、背側にはまだ身が残っています。
今度は胴体背側をひっくり返し、えらを外した側を見てください。白い軟骨の部分は、先程三角に切り落とした部分から各足のつけ根部分に向かって、筒状になっています(画像上)。切り落とした部分の穴から箸やカニスプーンのツマを入れ、身をかき出しましょう。さらに軟骨を適宜割りながら、身をていねいに取り出します。
軟骨が最も混入しやすいのが、胴体背側の身じゃ。ほぐした身を軽く指で触ってみて、硬いもの(軟骨)がないか確認するとよいかもしれんな。
これで、甲羅に入ったカニ味噌、足の最もつけ根の部分(A)、その他の部分をほぐした身に分けられました。
次はカニ味噌の掃除の仕方じゃ。
⑤カニ味噌の下処理の仕方
カニの甲羅から、カニ味噌を取り出します。その際に、食べない部分を分けていきましょう。卵の白身のようなプルプルした部分は、人によって食べるかどうかが分かれる部分です。また、軟骨のような硬い部分が1つ入っているので、これは取り除きます。捨てる部分に付着しているカニ味噌は、ていねいに取って可食部に合わせましょう。
甲羅の縁の裏の硬い膜は外してください。甲羅の内側にも、卵の白身のようなプルプルしたものがべったりとついています。これも先程と同様、食べるか食べないかはお好みで結構です。
さあ、カニの身とカニ味噌のシンプルな食べ方を、一つご紹介しておこう。
毛ガニの簡単な食べ方例
カニ味噌を包丁でたたき、滑らかにします。深さのある小皿などに入れてください。
カニ味噌に酒を適量加えてよく混ぜ、ソース状にします。ほぐした身は甲羅に盛り付けましょう。次の画像を参考に皿に盛り付けます。身をソースにつけながら召し上がるのがおすすめの食べ方です。
うまい!!苦労した甲斐があったよ!
毛ガニをきれいにさばいて堪能しよう!
毛ガニはズワイガニやタラバガニに比べて可食部が少ないかもしれません。しかし、甘みのある身の味やカニ味噌の多さで人気が高いカニです。茹で方も食べ方も、コツをつかめば簡単です。きれいにさばいて盛り付けると、食べやすく見栄えもよいごちそうになります。毛ガニを無駄なくさばいて、堪能してみてはいかがでしょうか。
参考動画
本記事は銀座渡利様のYouTubeチャンネルを参考にさせていただきました。和食の名店で修業を重ねたプロの料理人が、魚介類のさばき方や料理法をきめ細かく解説しています。よろしければぜひご覧くださいませ。
銀座渡利様のYouTubeチャンネルはこちら
- 1
- 2
カニをさばきながら食べると、みんな無口になっちゃうんだよねー。