キスをさばいておいしく食べよう
海釣りでも人気の魚であるキスは、小さい魚ですが刺身で食べても加熱してもおいしいと人気です。キスの天ぷらはふかふかとした身がほっこりと口の中で崩れてとてもおいしく、フライにしてもその身の柔らかさを味わえます。さばき方は簡単なので基本を覚えていろいろなレシピを楽しみましょう。
キスとは?
キスはシロギスやアオギスなどいくつかの種類があります。脂が少なめで上品な味わいがすると人気です。そんなキスの栄養価や特徴などをみていきましょう。
キスの基本情報
分類 | スズキ目スズキ亜目キス科 |
学名 | Sillagonidae |
属 | アクトギス属、イトヒキギス属、キス属、ダイオウギス属、Sillaginopodys属 |
英名 | Silver Whiting&Sand berer |
和名 | 鱚、鼠頭魚 |
生息域 | 海岸付近の砂底、インド洋およいび西部太平洋 |
生息地 | 北海道以南~フィリピン近海、南アフリカ~オーストラリアなど |
地方名 | キスゴ、キツゴ、コツノ、ウデタタキ、ハナマガリ、アメノウオ |
全長 | 約20~30cm |
捕獲方法 | 底流し網、底引き網、延縄、一本釣り |
調理方法 | 昆布締め、吸い物、焼き物、天ぷら、フライ、唐揚げ |
キスの名前の由来
キスは魚へんに喜ぶと書き「鱚」と和名では書かれますが、これは喜が「キ」と読むため組み合わせて作った日本の国字です。もともとの由来は諸説ありますが、岸でよく見られる魚だったため「キシ」がなまり、「キシコ」から「キスコ」、「キス」となったといわれています。
あとは、淡泊な味がら「潔し」といわれ、それがなまって「キス」になったなど、本当にいろいろな由来があります。
キスのさばき方
キスは小さい魚ですが、さばき方は簡単で覚えればすぐにできるようになります。しっかりと覚えて、じょうずにキスをさばいてみてくださいね。
キスのさばき方①うろこをとる
まずキスのうろこをとりましょう。小さい見た目のキスですが、うろこもしっかりとついておりとらないと調理しても食べづらくなってしまいます。包丁の刃先を使って丁寧にうろこをとりましょう。強く削りとらなくてもうすいうろこなので簡単に取り除けます。
うろこはお腹側までしっかり取り除く
背びれ側のうろこを取り除けたら、お腹側のうろこも丁寧に取り除きましょう。お腹は柔らかいため、包丁の刃先を使って取り除く場合もゆっくり優しく取ります。お腹が破れないように気をつけましょう。片面が終わったらもう片方の面のうろこも取り除き、両面とり終わったら次の作業に進みます。
キスのさばき方②頭を切り落とす
うろこを取り終わったら頭を切り落としましょう。頭を切り落としたあとは内臓を取り、きれいに洗うためエラのあたりから切り落とすと次の作業がやりやすくなります。骨も小さいため力を入れなくても簡単に切り落とせるでしょう。
キスのさばき方③内臓をとりのぞく
頭を切り落としたら、包丁の刃先を使って内臓を取り除きます。体が小さいため、身を切らないように丁寧に内臓を取り出しましょう。包丁で取れない場合はキッチン用のハサミの刃先を活用したり、指でとるのも方法の1つです。
キスのさばき方④水できれいに洗う
内臓や血合いを取り終わったら、水でお腹の中をきれいに洗いましょう。小さいため洗いづらいですが小指などを駆使して奥まできれいに洗います。
水洗い後はふきんで水気をとる
水洗いをし終わったら、さばくのでふきんで水気をとりましょう。表面だけでなく切り口のあたりの水もふきとります。
キスのさばき方⑤腹開きまたは背開きにする
キスをさばくときは腹開きまたは背開きでさばくとよいでしょう。背開きの場合も腹開きの場合も、中骨があるため骨に沿うように開いていくときれいな開きにできあがります。背開きにするときは背びれを目安に開いていきましょう。
キスのさばき方⑥キスの骨を取り除く
続いて中骨を取り除いていきます。中骨側を上にして開いていってもよいですが、キスは骨がしっかりとしているため中骨側を下西、背びれにそって開くとさばきやすくなるでしょう。
丁寧に骨を切り取ろう
背びれ側から中骨までの骨を取り除けたら、あばらの骨も丁寧に切り取りましょう。包丁で斜めに刃をいれていき、上下2カ所のあばらを取れば食べるときにも気にならなくなります。
キスのさばき方⑦骨抜き用のピンセットで細かい骨を取り除く
天ぷらにする場合は骨が少し残っても食べられますが、刺身や昆布締めにする場合は骨抜き用のピンセットで丁寧に骨を取り除きましょう。キスの骨はしっかりとしているため、残らずとる方がおいしく食べられます。
キスの昆布締めの手順
キスをさばいて、開きの状態にしたら昆布締めにしていきましょう。昆布締めにするにはキスをはさめるくらいの大きさの昆布を用意します。また昆布を戻すためのみりんかお酒も用意しましょう。
手順①さばいたキスにお湯をかける
キスは皮までおいしく食べられます。通常魚を刺身で食べる場合、皮が食べづらさを感じさせるためむくのですが、キスはそのまま食べても問題ありません。さらに食べやすくするためにお湯をかけて皮を柔らかくしましょう。
ふきんでしっかり水気をとる
お湯はキスの皮にむかって軽くおたまでかける程度で大丈夫です。お湯をかけたら少し冷やし、ふきんでしっかりと水気をとりましょう。
手順②昆布をお酒でふく
続いて昆布を柔らかくなるように戻していきます。水で戻してもよいのですが、お酒などを使って戻した方が香りがよく昆布のおいしさを引き立てるのでおすすめです。お酒をふくませたキッチンペーパーなどで昆布を優しくふきましょう。
全体的にしめったらOK
昆布の両面をお酒でふき全体的にしめったのを確認したら、昆布が柔らかくなったのか触ってみましょう。カチコチだった昆布が柔らかくなっていたらOKです。
手順③キスを昆布ではさむ
昆布の用意ができたらキスを昆布締めにしていきましょう。昆布締めにする前に、キスに軽く塩をふっておくと下味がつきます。キスの身がはみ出ないように昆布ではさんだら30分ほど冷蔵庫におき、味がしっかりと入るようにしましょう。
手順④時間がたったら盛り付ける
キスの水分が抜け、しっかりと味がついたら盛り付けをしていきましょう。
昆布締めをしている間に添え物を作る
昆布締めができたら盛り付けに必要な添え物を用意します。菜の花など緑色の野菜などを添えると、淡泊なキスの白と相対して美しいできばえになるでしょう。
キスは食べやすく切る
昆布締めにしたキスを昆布からとりだしたら、包丁で尻尾を切り取ります。食べやすい大きさに切ったら盛り付けをしていきましょう。キスの皮が固いと感じたら、少し切れ目を入れてあげると食べやすくなります。
キスのおすすめレシピ
キスそのものの味をしっかりと味わうのであればお刺身や昆布締めなどは最適なレシピです。しかし他にもキスをおいしく食べるレシピがいくつかあります。キスの食感や淡泊な風味をよりおいしく味わえるので参考にして試してみてください。
①フライ
キスはフライにしてもおいしく、ほくほくとしたキスの身を堪能できます。サクッとした衣と淡泊なキスの味わいがマッチしていくつでも食べられるため、キスをたくさん手に入れたらフライにしてたっぷり味わいましょう。
②天ぷら
クセのないキスは天ぷらにしてもおいしく、キスの定番レシピともいえるでしょう。天つゆと絡み合い上品なキスの食感をしっかりと味わえます。お酒のおつまみとしてもおすすめのレシピです。旬の食材なども一緒に天ぷらにすればさらに豪華な食卓になります。
③南蛮漬け
上品な味わいのキスは南蛮漬けにしてもおいしく、骨までまるごと食べられます。さばいたキスを南蛮漬けにするのもよいですし、海釣りで釣り上げたキスを南蛮漬けにしてもよいでしょう。あっさりとした味わいでおいしく、さらに野菜もたっぷり食べられるのでキスを手に入れたら試してみてください。
④カルパッチョ
カルパッチョは魚をお刺身で食べる際のおすすめレシピの1つです。ビネガーを使ってほどよい酸味で味わえばキスのおいしさをそのまま味わえます。ルッコラやミニトマトなども付け合わせで盛り付けてちょっとおしゃれなキスの料理を作ってみましょう。
⑤ムニエル
白身魚におすすめなのがムニエルですが、キスもムニエルにして食べるとおいしく味わえます。カリッとした食感とほくほくした身がほろっと口の中にひろがり、お酒にもおかずにもあう一品となるのです。塩胡椒でしっかりと下味をつけておいしく食べましょう。
⑥キスのハサミ焼き
キスにネギ味噌やチーズ、大葉などをはさんで焼くのもおいしい食べ方の1つです。あっさりとしたキスの味わいがネギ味噌やチーズの風味を引き立て、食べやすくおいしい1品となります。オーブンなどで焼けば手間もかからず簡単なうえに豪華な見た目なので、忙しい日のおかずに最適です。
まとめ
見た目も味わいも上品なキスは、食べればおいしいのですが小さい魚なのでさばくのが億劫になってしまいます。しかしコツをつかめば簡単で、慣れればすぐにできるようになります。海釣りでたくさん手に入れればいろんなレシピを試せるでしょう。脂ののった旬のキスで刺身や昆布締めを作っておいしい時間をすごしてみてください。
参考動画
今回は、銀座で板前をされている銀座渡利さまの動画を参考に記事にさせていただきました。銀座渡利さまのYoutube動画は以下より、ご覧いただけます。
他にもすぐに群れることから「帰す」を語源とするという由来もありますよ。