酢飯の作り方
酢飯(すし飯)は、寿司などによく使われる味付きご飯です。酢を中心に、砂糖や塩などを加えて作ります。通常のご飯に比べて固くなりにくいため、冷めても美味しく食べられます。また、保存性が高まり痛みくくなるので、暑い夏にもぴったりです。
ここからの説明は、最後にご紹介する銀座渡利さんの動画を参考にさせて頂きました。
酢飯の作り方1:米を洗う
まず、米を洗います。水を入れ、2・3回全体を混ぜたらすぐに水を捨てます。物をつかむような手つきで、ボウルの中をぐるぐるとかき回します。このとき、あまり力を込めすぎると米が割れてしまいます。これを何度か繰り返し、うっすらと米がすける程度まで水がきれいになれば洗いあがりです。
酢飯の作り方2:分量の水を吸水させる
洗った米に分量の水を入れ、1時間ほど吸水させます。水の割合は、容積比で米1:水0.9~1です。通常、炊飯器の目盛りは米1:水1.2のため、かなり硬めの炊きあがりになります。一つ気をつけるのは、このときの比率は重量比(重さ)ではなく、容積比(体積)です。はかりではなく計量カップで計るようにしましょう。
酢飯の作り方3:米を炊く
炊飯器でご飯(シャリ)を炊いてもいいですが、ここでは土鍋で炊く方法を解説します。十分に吸水した米と水を土鍋に入れ、中火にかけます。5~10分ほどで沸騰するので、弱火にしましょう。12分たったら、最後に10秒だけ強火にしてから、火を止めます。
酢飯の作り方4:ご飯をむらす
火を止めたあと、ふたはまだ開けてはいけません。土鍋のふたを閉めたまま、8分むらします。火を止めたばかりのご飯は、水分が表面と内側で均等になっていません。そこで、ふたをしたまま蒸気を全体になじませることでご飯をおいしくします。
酢飯の作り方5:すし酢を作る
ご飯を蒸らす間に、すし酢を作ります。すし酢の割合は、米1升に対して酢200ml+砂糖80g+塩20~30gが基本です。これを米3合にあわせると、酢60ml+砂糖24g+塩6~9gの割合です。好みにもよって変わってきますが、お店では、関東では砂糖が少なく関西では多い傾向があります。塩と砂糖は、ここでしっかり溶かしておきましょう。
酢飯の作り方6:シャリをすし桶に移す
ご飯とすし酢をあわせていきます。まず、すし桶全体をしめらせましょう。ぬれたふきんで全体をふき、余計な水気を乾いたふきんでふきとります。次に、ご飯をすし桶に移します。ただし、底におこげができている場合は、おこげは入れないようにしましょう。おこげはやや硬くすし酢がなじみにくいからです。この部分はおいしいので、そのまま食べるのがおすすめです。
ボウルを使ってもいい
すし桶がなくても、ボウルを使えば酢飯は作れます。ボウルを使う場合は、すし酢の量を分量より少し控えめにしましょう。これは、木製のすし桶は水気を吸う効果があるためです。また、ラップをかけて置いておくと、水気がでてべちゃりとなってしまいます。そんなときは、さらしなどの布をかぶせておくといいでしょう。
酢飯の作り方7:すし酢を加えてシャリを混ぜる
すし酢をご飯全体に回しかけます。まず、全体をざっくりと混ぜます。それからすし桶全体を使うように広げていきましょう。もう一度手前側に集めたら、今度はすし桶全体を180度回転させます。まとまった部分が一番奥に来たら、また全体に広げていきます。ヘリにはお酢がたまりがちになるので、ふきんなどを使って集めていきましょう。
無理に冷まさなくても大丈夫
酢飯というと、うちわで全体をあおいで冷ますイメージがある人もいるかもしれません。しかし、無理にあおぐ必要はありません。それよりも全体を手早く混ぜて、均等にすし酢を行き渡らせるほうが大切です。扇風機を使う方法もありますが、今度はご飯が固くなりやすいので、注意が必要です。
酢飯の作り方8:シャリびつに移す
できあがった酢飯は、全体に広げて1~2分休ませます。途中で1回上下を返すと、よりしっかりとなじみます。その後、シャリびつに移してできあがりです。シャリびつは、大きめのおわんやボウルでも代用できます。しかし専用のシャリびつがあれば、全体の湿度を一定に保ってくれるため、冷めても味が落ちにくくなります。
酢飯にむいている材料
酢飯にとって、米や酢の種類によって向き不向きがあります。お寿司を手作りするときに余裕があれば、高級寿司店で使われる赤酢をはじめ、さまざまな材料にこだわってみるのも面白いですよ。しかし、好みや地域性が出てくる部分でもあるので、最後は自分で試しておいしいと思うものを使うことが大切です。
酢飯にむいている米
酢飯には、粘りが少なくあっさりとしたササニシキ系のお米が向くといわれています。しかし一方、酢飯は冷めてから食べることが多いため、冷めてもおいしいコシヒカリ系の米のほうがいいという意見もあります。寿司店では、ササニシキ系とコシヒカリ系をブレンドして使う場合が多いです。家庭では、コシヒカリ系のお米を水少なめで炊くようにすると作りやすいですよ。
酢飯にむいている酢
酢飯に使われる酢には、大きく分けて穀物酢・米酢・赤酢の3種類があります。これはクセがない順に並んでいるので、家庭では穀物酢か米酢を使うのが作りやすくおすすめです。伝統的な江戸前寿司では赤酢を使い、砂糖を使いません。これは、昔砂糖が貴重だった時代に、赤酢のコクで甘みを補っていたことに由来します。
酢飯づくりにあると便利な道具
酢飯を作るのに必要な道具は、あまり多くありません。最低でも、ボウルとプラスチックのしゃもじがあれば、酢飯を作ることができます。しかし、専用のすし桶や大きなしゃもじがあれば、より作りやすくなります。使われている素材の種類によって調湿性能なども変わってくるので、好みのものを探すのも楽しいですよ。
すし桶
木曽さわらの厚口飯台 寿司桶・飯切 30cm
参考価格: 5,480円
木製のすし桶は、水分を吸い調整する効果があります。そのため、すし酢を混ぜるときにすし桶を使うと、シャリが固くなることを防いでくれます。他にも、木の香りを移し酢の匂いをやわらげる効果もあります。また手巻き寿司のときには、すし桶ごと食卓に出すと子供でも作りやすく場も盛り上がりますよ。他にも、真夏にそうめんなどを入れるのもおすすめです。
しゃもじ
【宮島工芸製作所】 新型杓子
参考価格: 1,210円
酢飯を作るときのしゃもじは、柄が長いものを使うのがおすすめです。表裏で形状が違いますが、角度がついている方を上にしてご飯を混ぜていきます。これは、角度に合わせてお米が下からひっくり返すためです。すし酢はご飯の下にたまってしまうため、それを上に持っていくことで全体を均一に混ぜることができます。
シャリびつ
木曽の桶屋 木曽さわらのおひつ(江戸びつ)6寸 3合用
参考価格: 8,860円
シャリびつもあれば、より本格的な酢飯ができるでしょう。
まとめ
酢飯は、寿司を作るときに欠かせない味つきご飯です。酢飯が作れると、ちらし寿司や手巻き寿司など、お寿司が気軽に作れるようになります。もちろん市販のすし酢を買ってきてご飯に混ぜるだけでも作れますが、せっかくなので自分ですし酢を作ってみるのも楽しいですよ。そのときにはぜひ、鍋を使ってご飯を炊いてみるのにも挑戦してみましょう。
参考動画
この記事は、銀座渡利さんの動画を参考にさせていただきました。他にもさまざまな魚介類を扱っていますので、よろしければご覧ください。
出典:写真AC