白ミル貝とは
白ミル貝は、貝の仲間です。日本国内では、北海道から九州・オホーツク海に分布する貝です。海外に至ってはサハリンや沿海州のほか、太平洋沿岸の地域に生息しています。オオノガイの仲間で、学術的には「ナミガイ」と呼ばれる貝です。本ミル貝の代用品といわれており、コリコリした食感で人気があります。
基本情報
英名 | Japanese geoduck (学名/Panopea japonica A.Adams,1850) |
分類 | オオノガイ目キヌマトイガイ科 |
原産地 | 不明(日本では国内全域で漁獲可能) |
色 | 貝は白い波状の模様がある |
本ミル貝との違い
ミルクイと呼ばれる本ミル貝と白ミル貝はそれぞれに異なる種族の貝です。本ミル貝の漁獲量が減り、同様に水管を食べる白ミル貝が代用品として提供されるようになったとされています。本ミル貝と比べて、日本ではどこでも漁獲が可能なうえ、可食部である水管が大きいため、安く提供できるメリットがあります。
白ミル貝のさばき方【下処理編】
白ミル貝は市場などで手に入りやすい貝です。もし、運良く入手できたなら自宅で刺身に仕立ててみませんか。ここでは銀座渡利の板前さんの動画をもとに白ミル貝のさばき方をプロセスごとに紹介します。まずは、貝から身を外す下処理の仕方です。
①貝から外す
白ミル貝には、貝柱が2つついています。貝から身を外すときには、ヘラやナイフなどを差し込んで身と貝を切り離します。貝柱がある位置を目指してヘラを差し込んでください。
貝の両側に貝柱がついているので、両側にヘラを差し込んで貝柱を離します。貝は薄く欠けやすいので、やさしく取り扱ってください。
貝柱さえ切り離すことができれば、簡単に身が貝から外せます。貝は刺身の盛り付けの際に器として使えるので、蝶番から外し、軽く洗っておくとよいでしょう。
②内臓を取る
次に内臓を外します。白ミル貝の肝は、画像の赤丸の内部を参考にしてください。取り方は、水管と身のつなぎ目から指を差し込み、ヒモと身を引きちぎるように分けるだけです。肝は通常食べませんが、バター焼きなどのレシピを使って加熱する食べ方があります。
内臓が外れました。水管とヒモの部分が可食部となります。
③湯引きして皮をむく
水管とヒモには弾力性がある皮がついており、湯引きをすることで簡単にむけます。小鍋にお湯を沸かし、沸騰したら塩をひとつまみいれてください。ボウルには冷水と氷を入れておきましょう。
沸騰した鍋に、水管だけを入れ10秒湯通しします。その後ヒモの部位まですべて入れて5秒ほどで引き揚げ、冷水にさらしてください。ヒモを入れる目安としては、水管の先端の黒い部分がわずかに白く返書したタイミングが良いとされています。長くお湯に入れておくと、内部まで熱が浸透してしまうので注意しましょう。
ヒモがある側を下に持ち、水管の先端を引き出すと皮が脱げていきます。ゆっくりと引き出し、皮をすべて取り除きます。
ヒモについた皮も同時にむけます。すべての皮がむけたら、刺身に仕立てていきましょう。
白ミル貝のさばき方【刺身編】
白ミル貝は切り方によって食感が異なる刺身に仕立てられます。2つの造り方を学ぶことで、それぞれのコリコリ感が楽しめますよ。
①水管を開く
まずは、水管とヒモを切り離します。境目に包丁を入れて、それぞれを分けてください。
ヒモがついていた側から水管を見ると、中心にうっすらと筋目が見えます。この筋目をガイドに包丁を入れていきましょう。
横から包丁を寝かせて刃を入れ、「開き」の状態に作ります。水管は切り落とさず、途中で包丁を止めてください。
「開き」の状態です。中心に見える管に砂が詰まっている可能性があります。ここで一度親指の腹でぬめりなどをしごくように、こそげ洗いをしましょう。洗った後は水気を取っておきます。
刺身に仕立てていきます。はじめに、口当たりが悪くなるので、水管の先端の黒い部分をわずかに切り落としてから、開きの中心に包丁を入れ切り分けましょう。切り分けたそれぞれの水管を、異なる切り方で刺身にします。
②刺身のレシピ【糸造り編】
糸造りとは、糸のように細長く切る方法です。水管の横半分を切って長さをトリミングしたのち、縦に薄く切ります。筋肉の繊維に沿って切るので、弾力のある歯ごたえが期待できます。
③刺身のレシピ【薄造り編】
薄造りは水管の内側(管がある面)に、縦に切れ目を入れ繊維を柔らかくしてから、横に薄くそぎ切りにする方法です。繊維に逆らって包丁を入れていくので、切っていく過程で身が引き締まります。糸づくりとは異なる歯ごたえと、おいしい味わいが楽しめる刺身になるでしょう。
薄くそぎ切りにした水管は、それぞれ掌でつぶすようにたたきます。筋肉に軽く刺激を与えると、さらに身が引き締まっていくき、身が踊るように変化します。コリコリ感を増すための手法です。
④刺身の盛り付け方
涼やかな印象があるガラスの器に白ミル貝の貝殻を乗せます。安定がつくように、わかめなどで土台を作るとよいでしょう。敷物として、わずかな水戻しわかめとカボスのスライスを準備します。
貝殻の上にバランスよく糸造りにしたものと薄造りにしたものを乗せると、刺身の完成です。わさび醤油で食べるのがおすすめです。刺身の上にカボス果汁を振って風味をつけるのもよいですね。
白ミル貝のさばき方【ヒモの食べ方とレシピ編】
水管と分けて切り落としたヒモは、口当たりが悪くなるので両端の薄い膜を切り落とします。身側についていた膜は、薄刃包丁を横に寝かせてそぎ落とすと簡単です。
残ったヒモの可食部は一口大にカットし、串を打って串焼きにします。シンプルに塩焼きでもおいしいですし、フライパンでバター焼きをしても風味があるレシピです。試してはいかがでしょうか。
刺身の盛り合わせに添えてもよいですね
白ミル貝のさばき方を試してみよう
白ミル貝は、本ミル貝の代用として扱われてきた貝です。市場などで流通しやすいだけではなく、下処理も簡単です。自宅でも簡単に刺身に仕立てられるので、酒の肴においしい刺身を準備してはいかがでしょうか。切り方を変えると、食べ方や味も変わるのでおすすめです。また、肝は加熱して食べてくださいね。
参考動画
今回の記事は、銀座渡利様のYoutube動画を参考に作成をいたしました。
寄生虫の可能性があるので、肝(内臓)を食べるときはしっかりと加熱してください。