ミル貝とは
ミル貝とは、本名は「ミルクイ」といいます。漢字表記にすると「海松(ミル)食い」と表記します。水管に海藻をつけた状態で水揚げされることもあり、これが海藻を食べているように見えたことから「ミルクイ」と呼ばれるようになったとされています。このところでは、漁獲量も減り高級食材となりました。
ミル貝の種類を紹介!白ミル貝との違いは?
ミル貝には「本ミル貝」や「白ミル貝」と呼ばれるものもあります。これらの言葉の違いは何でしょうか。これらの言葉を整理するとともに、ミル貝の違いを紹介します。
ミル貝(本ミル貝)
今回取り上げるのは、「本ミル貝」や「黒ミル貝」と呼ばれるミルクイです。一般的に広く「ミル貝」と呼ばれるのは、こちらの貝です。
分類 | バカガイ科オオトリガイ亜科ミルクイ属 |
色・形状 | 黒色の二枚貝、15cmほどの大きさの逆三角形型 |
生息域 | 北海道から九州、朝鮮半島などの海水域 |
旬の時期 | 12月~2月、産卵期前の3月~5月 |
白ミル貝
白い二枚貝で、貝からはみ出した水管が目印です。本ミル貝とは異なり、水管を貝の中にしまい込むことができません。流通の際には「白ミル貝」と呼ばれますが、本名は「ナミガイ」といいます。海外では「Geoduck」と呼ばれ、広く食べられている貝です。漁獲量は多く、本ミル貝の代替として使われています。
分類 | オオノガイ目キヌマトイガイ科 |
色・形状 | 白色の二枚貝、楕円に近い形 |
生息域 | 北海道から九州。オホーツク海などの貝水域 |
旬の時期 | 産卵期前の3月~5月 |
分類上「本ミル貝」と「白ミル貝」は全く違う二枚貝です。
ミル貝のさばき方
ここからは、銀座渡利の動画を参考にミル貝(本ミル貝)のさばき方を紹介します。工程は多いのですが、料理をするために大切な下ごしらえになるので丁寧に進めてください。貝毒の心配は少ない貝ですが、予防のために全般を通して貝の内臓を破かないように作りましょう。
さばき方①貝から取り出す
貝剥きと呼ばれる専用の器具を使います。二枚貝の隙間に貝剥きを差し込みます。はじめは上側の貝と貝柱を外します。画像の丸印のところに貝柱があるので、貝と身の間に貝剥きを差し込んでください。
貝柱と貝を断ち切るように貝剥きの刃を入れたら、手を返して、刃の向きを変えると貝が開きます。貝剥きをいったん引き抜き、貝を持ち替えてもう一つの貝柱を同じ工程で外します。
2つの貝柱が外れたため、貝が開きました。次に反対側の貝を外します。
反対側の貝も同様に、貝剥きを差し込んで貝柱を断ち切ります。初めに手前の貝柱を外します。
次に、ミル貝のヒモが貝についているので、貝剥きを使って外します。最後にもう一つの貝柱を外してください。
これで、貝と身が外せました。貝は、最後の刺身の盛り付けで使いますので、取っておきましょう。
ミル貝用貝剥き
遠藤商事 業務用 ミル貝むき 鉄 木 日本製 BKI06
参考価格: 800円
ミル貝の大きな貝柱を外せる刃渡りの長い貝剥きです。ペティナイフなどでも代用できますが、身を傷つけてしまうことも考えられます。両刃がついているものを準備しておくと、カキやハマグリなどの貝剥きにも使えるので便利です。
さばき方②貝柱を外す
身の中央付近に白くて丸い貝柱があります。これは親指でしごくように取り出せます。こちらは刺身で生食可能です。
貝柱が外せたら、清潔な皿の上で盛り付け時まで保管します。
さばき方③部位ごとに解体する
次に、ミル貝の部位ごとに解体します。まずは、画像の丸印で囲ったグレーががかった部分は内臓に当たります。ここは食べられないため、切り落とします。先ほども触れたとおり貝毒汚染を予防するため、この袋は破かないように処理してください。
この内臓の部分を外すために包丁を2ヶ所入れます。包丁をいれた後、切れ目から引き離すように外してください。
内臓の部分が外れました。中でも粘膜のようなグレーががった部分は、食べられない部分です。包丁で切り落としてください。画像左手の上にある白い肝は、後程料理法を紹介します。刺身としては食べませんので、間違わないように別皿で取り分けておきましょう。
『ミル貝の肝の処理と食べ方』で詳しく紹介します。
これで、4つの部位にミル貝の解体ができました。内臓の部分は廃棄処理してください。このタイミングで一度包丁を洗うと、貝毒予防になります。
さばき方④下ごしらえする
刺身として食べるのは、水管とヒモ、貝柱の部分です。水管の部分は黒い皮でおおわれているので、これを外して下ごしらえをします。
先端の皮は、手で簡単にむけます。まずは先端の皮を外してください。胴体の部分は手でむきにくいので、お湯で軽く熱を加えてから皮をむきます。
小鍋にお湯を沸かし、塩をひとつまみ入れます。ボウルに水を張り、氷を入れておきましょう。このボウルは加熱した水管を冷やすために使います。
刺身なので、加熱しすぎないように気を付けます。まずは水管の部分だけを10秒ほど付けます。その後、全体を湯にくぐらせるようにして加熱してください。その後引き上げて、氷水を張ったボウルに入れます。
手で触れるほど水管が冷めたら、指でこそげるように黒い皮をはがしていきます。加熱すると簡単に皮がむけるようになるので、身を傷つけないように丁寧に皮をむいてください。
黒い皮が剥がれました。ヒモのひだや、水管のくぼみなどに汚れや砂がついている場合があるので、氷水の中でもう一度洗いましょう。
最後に、水管とヒモを包丁で切り離してください。ヒモは、貝柱と一緒にしておきましょう。
ミル貝の刺身の仕立て方
ここからは、ミル貝の水管を刺身に仕立てていきます。引き締まった身が楽しめる冬場の旬の時期と、ふっくらとした身が楽しめる春先の旬の時期いずれの時期の刺身もおいしく食べられます。料理法を覚えて、おうちでの食事を楽しみましょう。
仕立て方①包丁を入れる
水管の横から包丁をいれて2枚に開きます。
下ごしらえをするので、全部落とさずに開きの状態に作ってください。
管の根本に茶色の粒がついています。生臭さの原因となるので、2ヶ所とも外します。
茶色の粒と身の間に包丁をいれて切り離すようなイメージで外してください。
水管の先端の黒い部分は、見栄えと口当たりが悪いため、切り落とします。ここで中央に包丁をいれて2つに切り離してください。
仕立て方②そぎ切りにする
根本と水管の先端の向き(繊維を縦に見る)に飾り包丁をいれます。細かく切り目を入れてください。
次は繊維を断ち切るようにそぎ切りにします。半分に切った水管から3枚ほどの刺身が取れます。
軽くたたくと、身が引き締まり花が咲いたように開きます。ほかの身も同様に一口大にそぎ切りしてください。
仕立て方③盛り付ける
ミル貝の殻にわかめや大葉を引き、飾り切りをした水管と貝柱、ヒモをバランスよく盛り付けます。スダチやワサビ、塩などを添えたら、刺身盛りの完成です。コリコリとした食感を楽しんでください。
ミル貝の肝の処理と食べ方
先ほど分けておいた、貝柱と肝の部分を処理します。横から包丁をいれて2枚に開きます。
家で調理をするときは、刺身を作った後で貝柱と肝の部分を処理してください
切り落とさないように開くと、黒い肝が見えます。これを包丁を使ってこそげ落としてください。
丁寧にこそげ落とした部分です。こちらは肝を包んでいた部分ですので、よほど新鮮でない限り刺身では食べられません。家庭で食べる場合は、バター焼きなど加熱する料理法がベターです。貝毒による中毒の予防法となります。
まとめ
ミル貝の刺身の作り方や、食べ方などを紹介しました。高級な貝ですが、地域によっては手に入りやすいこともあるようです。自宅でも調理できるため、ぜひチャレンジしてみてください。
参考動画
今回の記事は、銀座渡利様のYoutube動画を参考に作成をいたしました。
出典:写真AC