風邪に効く料理とは?
風邪をひいてしまった場合、食欲がわきづらく通常の食べ物では喉を通りづらいのが現実です。風邪が治る食品がないのも事実ですが、力をつけるために少しでも食事をとった方がよい場合もあります。朝食・夕食と毎回無理して食べる必要はありませんが、食べられそうなら身体をいたわったやさしいメニューを試すとよいでしょう。
水分摂取にも気をつけましょう
人間は発汗することで体温を放出して熱を下げます。しかし発汗して身体の水分が減りすぎると、さまざまな循環がうまくゆかなくなってしまいます。また水やお茶だけだと水分とともに放出されるナトリウムの摂取ができないので、スポーツドリンクもおすすめです。風邪のときには、普段よりも積極的な水分摂取を心掛けたほうがよいでしょう。
ひきはじめの風邪には「消化のよい食事」
風邪のときによい食事を考えるとき、風邪の段階によって心掛けるポイントが変わるため注意しましょう。なんとなく熱っぽい、寒気がする、のどが痛いなど風邪の初期症状を感じた場合に食事で注意すべきポイントは3つです。
- 身体をあたためる食事
- 消化によい食事
- 食後はやすむ
辛い食べ物はNG
風邪のときは胃腸が弱っているので、キムチやトウガラシなど辛い食べ物はおすすめできません。発汗作用を促す目的であってもおすすめできない理由として、消化のために体力を余分に消耗してしまったり、発汗しすぎて体温を下げすぎる恐れもあります。なるべく控えたほうがよいでしょう。
揚げ物もNG
SNSでは「喉が痛いときは唐揚げを食べると治る!」という説もありますが、あくまで民間療法で風邪のための対策ではないのでおすすめできません。カロリーの高い唐揚げはエネルギーにはなりますが、油や唐揚げの硬い衣が喉の粘膜の負担になり、さらに痛くなってしまう場合もあります。また風邪の際は胃腸も弱っているため脂っこい食事は避けた方が無難です。
コーヒーも控えましょう
コーヒーなどのカフェインの多い食材も、風邪のときには控えたほうがよいでしょう。カフェインには利尿作用があり、排尿によって水分を排出しすぎてしまう可能性があります。そのため、普段コーヒーを飲む習慣がある方でもコーヒーの摂取は控えたほうが無難です。
風邪でつらいときには「水分+エネルギー」
どうしても辛く食事ができないときでも、脱水症状に注意して水分はこまめに摂取するようにしましょう。自分で体調不良のサインを出せない小さな子どもの場合には特に水分補給に注意が必要です。また乳幼児の場合、喉痛などで水分補給すら嫌がる場合もあります。その場合は、かかりつけ医にはやめに相談がおすすめです。
アイスクリームもおすすめ
嘔吐などでおかゆを受け付けない場合には、ゼリーやアイスクリーム、プリンなどを試すのもよいでしょう。夕食がアイスというと不思議な感じがしますが、いずれもすぐにエネルギーに代わる糖分が多く含まれる優秀な食べ物で問題ありません。冷たい食感が熱によるほてりをおさえ、また水分が多い食材はのど越しがよいためうけつけやすい場合があります。
風邪の回復期には「高タンパク低刺激」
熱がひと段落して食欲が出始めた「回復期」には、胃腸に優しくタンパク質もとれる食べ物を心掛けるとよいでしょう。卵や鮭などがおかゆとも組み合わせやすい食べ物からはじめるとよいでしょう。また夕食など、メイン食材に肉を使いたい場合は肉の油が負担になる場合もあるので、鶏むね肉やささみ肉など油の少ない肉を選ぶのが無難です。
風邪に効く料理「おすすめ食材紹介」
おすすめ食材①ネギ
ネギは、「風邪のときは首に巻け」とおばあちゃんの知恵袋でもおなじみの食べ物です。風邪によい成分も実際に含まれているため、実際には首に巻くよりも調理して食品として摂取するほうがおすすめです。代表的なものとして「血行が促進され身体があたたまる効果」が期待できる食品です。
注目成分「アリシン」
ネギの独特のにおいや辛みの原因でもある「アリシン」という成分は、殺菌や疲労回復効果が期待できます。水に溶けやすく熱に弱い特徴をもつ成分なので、理想は生食ですが食べにくい場合にはおかゆと一緒に煮てしまうなど、成分が溶けだしたスープも一緒に取れるように工夫するとよいでしょう。
おすすめ食材②生姜
ピリッとした辛味が特徴の生姜も、ドラッグストアの店頭POPによくある「風邪の予防に生姜湯」などでお馴染みの風邪のときによい食事の材料のひとつです。風邪や体調不良が治る食べ物として古くから親しまれてきた生姜は、身体を内側から温めて免疫力向上が期待できます。また、加熱しても風邪対策効果が期待でき、調理しやすい食品です。
注目成分「ジンゲロール」
生の状態に多く含まれる成分で、解熱や鎮痛、抗炎症作用が期待できます。多く摂取するには、チューブタイプよりも生の生姜をすりおろしたほうがよいでしょう。喉の痛みが治るといわれています。摂取するにはすりおろし生姜とはちみつをカップに入れて熱湯を注ぎ熱いうちに飲むとよいでしょう。
おすすめ食材③梅干し
酸味の強い食べ物の梅干しは、思い浮かべるだけで唾液がでる方もいらっしゃるのではないでしょうか。身体によいとされる成分が多く含まれる伝統的な食品ですが食べやすく、風邪や体調不良のときにも「食欲増進効果」や「ミネラル補給」などの効果が期待できます。
注目成分「クエン酸」
梅干しの酸っぱさの原因となる成分が「クエン酸」です。疲労回復効果があるといわれ、疲れの原因となる乳酸をおさえる働きがあります。おかゆやうどんに乗せるだけで調理の手間がなく、体力消耗の激しい風邪などの体調不良時にはぜひおすすめしたい食品です。
おすすめ食材④大根
冬場に旬を迎える大根も風邪が治るとして重宝されてきた食べ物のひとつです。消化酵素や食物繊維が多く含まれており、消化を助けて体調不良時の胃腸にやさしい食材です。また味に癖が少ないため調理方法が多く、朝食昼食夕食と連続して出しても食べやすいことでもおすすめです。辛味を控えて生で食べたいなら、先端ではなく葉に近い部分がよいでしょう。
注目成分「イソチオアネート」
辛味に含まれる成分で、抗菌作用が期待できます。喉に痛みがあるときにおすすめです。大根に含まれる酵素の多くは加熱によって効果がなくなってしまうので、効果的に摂取したい場合はシンプルなすりおろし大根がよいでしょう。すりおろし大根が食べ辛い場合は、卵焼きと一緒に食べたりうどんや雑炊に乗せるなど他の食品と組み合わせがおすすめです。
おすすめ食材⑤ヨーグルト
ひんやり冷たいヨーグルトは喉越しがよく、消化にやさしい食材のため風邪や体調不良時におすすめです。そのまま朝食として出せるだけでなく、果物にかけたり、果物やはちみつと一緒にミキサーしてスムージーにするなど料理のバリエーションの多い食材でもあります。
注目成分「乳酸菌」
ヨーグルトは牛乳を乳酸発酵して作られた発酵食品です。乳酸菌は、腸内にももともと住んでいる細菌ですがヨーグルトを食べて体内に取り込めます。体内の乳酸菌を増やすことで腸内環境がよくなり、免疫力が上がるなどの風邪が治るために必要な抵抗力をつけられます。
次のコーナーから、風邪のときによい食事のレシピをご紹介いたします。
風邪に効く料理レシピ「ネギ雑炊」
身体をあたためるネギと、タンパク質などの栄養素が満載で完全栄養食とも呼ばれる卵を同時にとれるレシピです。簡単に作れるため、普段の朝食にもおすすめです。雑炊を簡単に作る場合は顆粒だしがあると便利です。もともと消化によい雑炊ですが、米粒がやわらかくなるまで煮込むとさらによいでしょう。
「ネギ雑炊」簡単レシピ
【材料】
ネギ、卵、顆粒だし、ごはん、水
【作り方】
- 鍋に水・顆粒だし・ごはんを入れて火にかけます。
- 卵を溶きほぐします。
- ネギを小口切りにします。
- 鍋が煮たってごはんが水を吸って膨らんできたら卵とネギを入れます。
- 火を止めて、余熱で卵が固まったら完成です。
量はお好みですが、生ネギの食感が苦手な場合はごはんと一緒に最初から煮こむとよいでしょう。
風邪に効く料理レシピ「生姜葛湯」
身体をあたためゆっくりと休息することも、風邪や体調不良が治るために必要です。冬の定番、葛湯に生姜を加えた生姜葛湯はマグカップひとつで作れるためおすすめのレシピです。はちみつを甘味として加える場合は、腸内環境が未熟な1歳未満の赤ちゃんに与えないでください。
「生姜雑炊」簡単レシピ
【材料】
生姜、片栗粉、はちみつ、水
【作り方】
- 生姜を1片すりおろします。
- 小さじ2杯の片栗粉とすりおろし生姜・はちみつをマグカップに入れます。
- 水を150~200mLマグカップに注ぎ入れよく混ぜます。
- 500Wレンジで1分程度加熱します。
- 取り出してかき混ぜ、とろみが足りないようなら様子を見ながらさらに30秒加熱してかきまぜ完成です。
硬さはお好みで水の量で調整するとよいでしょう。調理道具不要で体調不良でも簡単に作れるレシピです。
風邪に効く料理レシピ「みぞれ汁」
消化によい食材を使えば、風邪が治るために必要な栄養素をしっかり摂取できます。消化酵素がふんだんに含まれている大根を使ったみぞれ煮は食べやすく、汁の中にうどんやそうめんを入れるなどのアレンジがしやすいメニューです。肉を加えたい場合は、なるべく油の少ない肉がおすすめです。
「みぞれ汁」簡単レシピ
【材料】
大根、顆粒だし、水、具材(豆腐、鶏肉、ネギなどがおすすめです)
【作り方】
- 水を入れた鍋に顆粒だしと具材を入れて火にかけます。
- 大根をすりおろします。
- 具材がやわらかくなったところですりおろした大根を加えて完成です。
まとめ
食欲がなく、身体が辛いときでも食べやすいメニューの特集でした。風邪をひいたときにまず必要なのは休息です。胃腸も疲れて弱っているため、食事も胃腸に負担をかけないように心がけましょう。風邪をひきやすい冬シーズンの食事や看病の参考になれば幸いです。
まずは、調理の際に心掛けたいポイントをまとめました。