「もりそば」と「ざるそば」の違いは?そもそも「せいろ」ってなに?

「もりそば」と「ざるそば」の違いは?そもそも「せいろ」ってなに?

みなさんは「もりそば」と「ざるそば」の違いをご存じですか。どちらも同じ味で、似たそばの「せいろ」もあり、よく理解していない人が多いのではないでしょうか。今回は、そばの歴史を通して「もりそば」「ざるそば」の違い、「せいろ」についてご説明いたします。

記事の目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.そばの歴史
  3. 3.「もりそば」と「ざるそば」の違い
  4. 4.「せいろ」とは?
  5. 5.まとめ

はじめに

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みなさんは「もりそば」と「ざるそば」の違いについてご存じですか?そばは秋から冬が旬で、年越しそばを食べる大みそかは、そばを最もおいしく食べられる時期です。年越しそばは温かい「かけそば」が定番ですが、冷水で締めたコシのある「もりそば」あるいは「ざるそば」の方が好きだという方も多いのではないでしょうか。

年越しそばの食べ方に決まりはないから「もりそば」や「ざるそば」でもいいのよ!

そこで疑問に思うのは、「もりそば」と「ざるそば」の違いについてではないでしょうか。どちらも味や冷たい麺をつけつゆにつけて食べるという点は同じですが、どのような違いがあるのかをご説明いたします。また、似たそばの「せいろ」についても後ほど触れていきます。

違いは海苔がかかっているかいないか

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結論からお話すると、現代の「もりそば」と「ざるそば」の違いは、そばの上に海苔がかかっているかいないかです。正確には器がざるであるかどうかや材料の違いがあるのですが、一般的には味にも器にも違いはなく、海苔の有無で分けられています。どうしてこのような違いが出たのかは、そばの歴史を知れば理解できるでしょう。

そばの歴史

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「もりそば」と「ざるそば」のに違いについてを理解するためには、そばがどんな歴史をたどって今の食べ方になったのかを知っておいたほうが分かりやすいでしょう。そばの食べ方の歴史についてさらっとご説明いたします。

「粥」や「そばがき」にして食べた時代

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そばは奈良時代から食べられ人々に身近な存在でしたが、麺としてそばが食べられるようになったのは、江戸時代に入る少し前のことです。それまでは粥やそばがき(そば粉を水で練り茹でたもの)にして、簡易的に食べられていました。

「そば切り」の登場

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江戸時代になってからは、「そば切り」というそばを麺にした食べ方が徐々に人気になります。以前から町中にあったうどん屋さんより、そば屋さんの方が多くなるほどだったそうです。「そば切り」が登場した当時は、後に区別される「もりそば」や「ざるそば」のように、つけつゆに麺をつけて食べる食べ方が主流でした。

多様化する食べ方

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以降さっと食べられるようにと、つゆをかけた「ぶっかけそば」や温かい汁をかけた「かけそば」などが登場し、そばの食べ方は多様化していきます。そして現代にいたるまでそばは麺で食べられ、普段の食事としてはもちろん、年越しそばや引っ越しそばなど日本の食文化に根付き続けてきました。

「もりそば」と「ざるそば」の違い

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そばの食べ方の歴史を理解したところで、本題の「もりそば」と「ざるそば」の違いについてです。それぞれのそばをご説明しながら、違いを見ていきましょう。

「もりそば」とは?「ざるそば」との違い

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「もりそば」は、そばを茹でてそのまま器に盛り付けることに由来しています。つけつゆをつけて食べる「そば切り」としてそばが食べられるようになった江戸時代、その後に登場した「ぶっかけそば」と区別するために、もともとの食べ方を「もりそば」と呼ぶようになりました。そばを器に盛り付けただけなので「ざるそば」と違って、そばの上に海苔はかかっていません。

「ざるそば」とは?「もりそば」との違い

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「ざるそば」は、「もりそば」よりも高級のあるものとして登場したそばです。江戸時代に「もりそば」が定着したころ、あるそば屋さんが他店との差別化を図ろうとして、ざるに盛り付けた「もりそば」を客に提供したことが「ざるそば」の始まりとされています。暑い時期に食べる「もりそば」は、ざるに盛り付けられることで涼しげに見え、人気になりました。

当時の違いは、そばの盛り付けが器か、ざるかだけだったのね。

そして明治時代には、さらなる差別化として、良質な材料を使ったり海苔をそばの上にかけたりすることで高級感をアップさせる店が出てきました。現代は同じ器や材料でも、海苔がかかっているのが「ざるそば」、かかっていないのが「もりそば」として提供するお店が一般的です。

一部の老舗やこだわりのあるそば屋さんは、しっかり区別しているわよ!

「せいろ」とは?

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ところで「せいろ」という、「もりそば」「ざるそば」と似たように麺をつけつゆに付けて食べるそばがあります。これは一体どのようなそばで、「もりそば」「ざるそば」とはどのような違いがあるのでしょうか。ご説明いたします。

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「せいろ」は、蒸籠(せいろう)を器にした「もりそば」のことを言います。麺としてそばを食べるようになった当初はそばを茹でるのではなく、蒸籠に麺をのせて蒸していました。つなぎの小麦粉を混ぜない十割そばは切れやすく、蒸すことが最適であったためです。「せいろ」はその名残です。

老舗や手打ちのそば屋さんは「せいろ」として提供するお店が多いわよね。

「もりそば」「ざるそば」との違い

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このように、起源から説明すると、「せいろ」はそばを蒸籠に盛り付けることが「もりそば」や「ざるそば」との違いです。しかし、一般的には「せいろ」と「もりそば」「ざるそば」を区別していないお店も多く、定義もあいまいです。そのため味にも大きな違いはありません。

ざるにそばを盛り付けて海苔をかけた「ざるせいろ」というそばもあるのよ!

まとめ

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「もりそば」と「ざるそば」の違いは、海苔がかかっているかいないかで、「せいろ」はそばを蒸籠で蒸していたころの名残の呼び方でした。それぞれ大きな違いはありませんが、一部の老舗やこだわりのあるお店では器や材料でしっかりと区別されているので、機会があればぜひ違いを思い出して注文してみてくださいね。

chinabo
ライター

chinabo

モットーは Simple is best! DIY、ハンドメイド大好き主婦です!

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