カメノテとは
カメノテとは、石灰質の殻をもつ固着動物です。主に海辺の岩肌やテトラポッドに付着しています。カメノテは見た目が貝に似ていますが、甲殻類でカニやエビの仲間です。そのため、貝類にある貝毒はないとされています。普段は波によって運ばれたプランクトンを食べて生息しており、サイズは個体によってさまざまですが約4cm~8cmのものが多いです。
基本情報
科名 | ミョウガガイ科 |
属名 | カメノテ属 |
学名 | Capitulum mitella |
英名 | Japanese goose barnacle |
和名 | 亀の手 |
生息地 | 北海道~マレー半島 |
正式名称・名前の由来・別名
カメノテ(亀の手)とは正式名称で、亀の手のような見た目から名づけられました。産地によっては「セイ」や「タカノツメ」と呼ばれます。また、スペインでは「ペルセベ(Percebe)」と呼ばれ、高級な貝として扱われる人気の食材です。
味・食感・におい
カメノテは日本ではあまりなじみのないものですが、地域によっては食用として親しまれています。味はエビやカニに似ていて、雑味がなく食べやすいでしょう。食感は貝のような歯ごたえでコリコリしています。食べると磯の強い香りがします。
相場・売り場
地域によって異なりますが、カメノテ約500gの相場は1000円~3000円です。通販でも購入可能で新鮮なものが届きます。店頭ではあまり売られていませんが、四国の瀬戸内海に面した地方では地元の食材として購入可能です。
産地・旬
カメノテは日本ならどこでも採集できる生物で、主な産地は四国・九州です。カメノテの産卵期が6月下旬~8月ですが産卵に向けて栄養を蓄えるため、旬は5月~8月とされています。
おいしいカメノテの見分け方
カメノテは、殻をむいていない状態からおいしさを見分けるのは難しいとされています。カメノテの可食部(身の部分)を取りだしたとき、きれいなピンク色をしているものがよいでしょう。可食部が変色している場合は、あまり新鮮ではありません。またカメノテの殻のサイズは可食部の大きさと比例するので、食用として選ぶときのポイントになります。
カメノテの食べ方・保存方法
殻のむき方
カメノテは、爪のようなかたちで緑色をしている部分と、茶色で皮膚のような見た目をしている部分に分かれています。その境目に指をいれましょう。左右にひっぱると身がでてきて、かんたんに殻をむけます。強引にひっぱると身の部分がうまく取りだせない場合があるので注意しましょう。
おすすめのレシピ①カメノテの塩ゆで
カメノテの塩ゆではシンプルで食べやすい一品です。そのまま食べてもおいしいですが、お好みで醤油やラー油をつけるのもよいでしょう。調理行程がとてもかんたんなので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
材料
- カメノテ:あるだけ
- 水:被るくらい+蒸発する分
- 塩:しっかりめ
作り方
- カメノテを水でよく洗う
- カメノテを鍋にいれて、水と塩をいれる
- 火にかけて沸騰させたら完成
おすすめレシピ②カメノテの味噌汁
カメノテの味噌汁は、アクをしっかり抜くことがポイントです。またカメノテと一緒にわかめや豆腐、油揚げをいれるなどアレンジが豊富なのでいろいろ試してみましょう。
材料(2人分)
- 亀の手:200g
- 味噌:大さじ3
- 水:300cc
- 中ネギ:適量
作り方
- カメノテを水でよく洗う
- アクを取るために熱湯で茹でる
- 火をとめて味噌を溶きいれる
- お椀にいれて中ねぎを散らしたら完成
おすすめレシピ③カメノテの佃煮
こちらでご紹介しているカメノテの佃煮は、濃いめの味付けなのでお好みで調味料の量を変えてみましょう。おつまみにおすすめの一品です。
材料(2人分)
- 亀の手:適当あるぶん
- 水:100cc
- 砂糖:大さじ1
- みりん:大さじ1
- めんつゆ2倍濃縮:50cc
- 昆布:2~3切れ
作り方
- カメノテを塩茹でする
- 殻から身を取りだす
- 調味料をすべて鍋にいれ、一度沸騰させる
- カメノテを鍋にいれ、煮つめたら完成
おすすめレシピ④カメノテのお吸い物
カメノテのお吸い物は、和風の料理ととても相性があいます。三つ葉や小ねぎを散らすと彩りがよくなるでしょう。
材料(1人分)
- 亀の手:お好み
- 水:200cc
- 白だし:小さじ1
- 醤油:小さじ1
- 塩:少々
- 顆粒だし:少々
作り方
- カメノテを水でよく洗う
- 水をいれた鍋にカメノテをいれて一度沸騰させる
- 火を弱めて調味料をすべてあわせる
- 最後に味を整えて完成
おすすめレシピ⑤カメノテの酒蒸し
カメノテの酒蒸しはシンプルな味つけなので、どんな料理とも相性がいいでしょう。生姜が好きな方は、量を増やしたり大きめにカットしたりするとよりおいしく仕上がります。
材料
- カメノテ:約250g
- 生姜の千切り:1片
- 長ネギの青い部分:3本
- 酒:2カップ
- 塩:小匙1/2弱
作り方
- カメノテを水でよく洗う
- 鍋に材料をすべていれる
- 火にかけて一度沸騰させてフタをする
- 中火で約5分放置する
- 最後にネギを取り除いたら完成
おすすめレシピ⑥カメノテの炊き込みご飯
カメノテの炊き込みご飯は、メインになるおすすめの一品です。カメノテを茹でた汁と一緒にご飯を炊くことで、より風味が増しておいしくなります。
材料
- 米:3合
- カメノテ:100g
- 茹で汁(塩入):適量
- 醤油:大さじ3
- 酒:大さじ2
- みりん:大さじ2
作り方
- カメノテを水でよく洗う
- 塩水で約3分茹でる(ゆで汁は取っておく)
- 炊飯器に材料をすべていれてご飯を炊いたら完成
保存方法
- 塩水で砂抜きをする
- 沸騰させたお湯で約5分茹でる
- 水気を切って冷凍保存する
カメノテの栄養価
コハク酸
カメノテには、コハク酸という栄養が豊富に含まれています。コハク酸は多くの貝類に含まれていますが、なかでもカメノテは特に多いとされる栄養素です。コハク酸に期待できる効果として、疲労回復・滋養強壮などがあげられます。
ミネラル
カメノテに多く含まれているミネラルは、人間の筋肉や骨を構成する重要な栄養素です。また体内で作られない成分なので、食べ物や飲み物で補わなければなりません。カメノテはミネラルを多く含んでいるので、積極的に摂取するとよいでしょう。
カメノテの採集方法
カメノテは素手でも採集可能ですが、道具を使うことで怪我の予防になります。特別な道具は必要ありません。カメノテは岩のすき間やテトラポットについていて、比較的にどこにでも生息しています。もしもカメノテが見当たらなければ、日本海側の沿岸を探索してみましょう。
準備するもの
準備するもの
- 軍手
- ドライバー
- 長靴
カメノテを採集する際に、怪我をしないように上記のものを揃えましょう。ドライバーは、古いものを使うと先が欠ける恐れがあるので注意します。
取り方
- カメノテと付着部分のあいだに、ドライバーを差し込む
- テコの原理で根元から剥がす
カメノテとフジツボの違い
カメノテとフジツボは固着生物で甲殻類に属し、味や群生する姿がにています。どちらも広い地域に生息していますが、フジツボには日本海側で特に多く群生しているものや東北地方を中心に採集されるものなどさまざまです。
フジツボとは
- 殻がゴツゴツしていて、サイズは個体によって異なる
- 磯や船底などに群生している
- 世界中の海に生息している
食用
フジツボは種類が豊富にありますが、主に食用とされるのは「ミネフジツボ」です。特に青森県ではよく食べられていましたが、乱獲が原因で現在では希少なものとなりました。カメノテと同じように塩茹でや味噌汁、お吸い物に使われます。
まとめ
カメノテは地域によって異なりますが、日本でも食用として食べられていて、産地のものをネットで購入できます。味や食感をより感じられるような、シンプルな料理にあわせるのがおすすめです。ぜひ調理して食べてみましょう。