釣り魚としても人気のカマス
カマスはスズキ目カマス科の海水魚の総称で、細長い体と尖った頭、鋭い歯を持つのが特徴です。日本では主にアカカマスやヤマトカマスが知られ、食用とされています。しかしバラクーダと呼ばれるオニカマスなど、種類によってはシガテラ毒を持つので注意が必要です。カマスの名は、大きな口が「叺(かます)」に似ていることに由来するといわれます。叺とは藁むしろで作られた口の広い袋のことです。
カマスの旬の時期
カマス(アカカマス)の旬の時期は一般的に秋から冬といわれます。この頃のカマスは「霜降りカマス」とも呼ばれ、脂がのっておいしいです。ヤマトカマスは繁殖期が異なるため、夏が旬とされます。カマスは貪欲な肉食魚で、ルアーなどに対する反応がよく、釣り魚としても人気です。カマスの旬の時期は釣りのトップシーズンでもあります。
カマスのおいしい食べ方か…。そういえば、カマスって干物をよく見かけるわよね。
カマスは水分が多くてやわらかいので、余分な水分を抜くような食べ方がおすすめなのじゃ。干物や酢じめにすると旨味が凝縮しておいしいぞ。
今回は酢じめにしたカマスを棒鮨にする食べ方を教えてもらえるのね!楽しみだわ!
カマスの棒鮨の作り方①捌く
出典:銀座渡利のYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=hfY-k5AWOWo
まず、うろこを落とします。歯が鋭いので、うっかり触って怪我をしないように注意してください。包丁を尾側から頭側へ動かして、うろこを取ります。ひれのつけ根までていねいに取るのがポイントです。
頭を落とします。まず頭が左、腹を上にして置き、腹びれのつけ根から口のほうへ斜めに切り込んでください。次に画像のように腹が向こう側になるように魚体を倒し、胸びれの根元から斜めに包丁を入れます。反対側からも包丁を入れて、頭を落としましょう。
肛門から刃先を入れて腹を切り開きます。内臓を破らないようにていねいに取り除いてください。
内臓は塩辛に、白子は煮付けにしてもおいしいぞ。
背骨に沿っている血合いに包丁を入れます。流水で腹の中や血合いをよく洗い、ペーパーなどで水気を取りましょう。
カマスの棒鮨の作り方②3枚におろす
カマスを3枚におろします。魚体が細長いので少し捌きにくいかもしれませんが、方法は一般的な捌き方と同じです。まず腹部の切り口から中骨をこするように背骨まで切ります(画像上)。ひっくり返さずに向きを変え、背中側からも中骨に沿って背骨まで切ってください(画像下)。最後に血合い骨を断ち切って2枚におろします。
今度は中骨が下になるように置き、背中側から背骨まで(画像上)、続いて腹側から背骨まで(画像下)切り込んでください。常に中骨に刃が当たるのを意識しながら切ると、無駄が少なくなります。
血合い骨を断ち切れば、3枚おろしの完成です。
次は、寿司として食べやすいように小骨を取っていこう。
カマスの棒鮨の作り方③小骨を処理する
腹骨を処理します。腹骨は血合い骨とつながっているので、まずこの接続部を切り離すことが必要です。その際は包丁を逆さまに持ち(逆さ包丁)、尾側から頭側へと切り進めます(画像左)。包丁を持ち替え、今入れた切れ目から腹骨のカーブに合わせてそぎ落としてください(画像右)。
骨抜きで血合い骨を抜きます。左手の指で身をつまむように押さえながら、骨の向きに合わせて引き抜きましょう。カマスの骨は硬いので、骨が残っていないことを指で触ってよく確かめます。
次はカマスを酢じめにする方法じゃ。
カマスの棒鮨の作り方④酢じめにする
カマスの表裏に、塩を多めにふりかけてください。30分程度放置すると表面に水分が浮き出し、余分な水分が抜けます。
漬け汁を作ります。味はお好みですが、重量比で昆布だし4:酢4:みりん2:砂糖1が目安です。よくかき混ぜて砂糖を溶かしておきます。
脱水したカマスを水洗いし、水分を拭き取ります。これを漬け汁に漬け込みましょう。昆布は入れたままで結構です。魚が液面から出るときは上からペーパーなどで覆います。
冷蔵庫に入れて30分程度漬け込んだら、漬け汁から出します。お好みで1晩程度漬けても結構です。軽く水気を拭き取りましょう。
いよいよ棒鮨の作り方を紹介するぞ。
カマスの棒鮨の作り方⑤棒鮨を作る
カマスの身の厚みをそろえます。厚みのある背中側の身をそぎ取り(画像左)、腹身の薄い部分に足してください(画像右)。尾側の細い部分は切り落とします。
皮に包丁目を入れてください(画像左上)。包丁目を入れることで見た目も美しく、酢飯ともなじみやすくなります。清潔なさらしを濡らして固く絞って広げましょう。カマスの皮目を下にして置き、酢飯をのせます。
この酢飯、なんだか赤っぽいわね。どうしてかしら?
これは、赤酢で寿司酢を作っているからじゃ。赤酢は酒粕を原料にしてよく熟成させた酢で、昔から江戸前寿司に使われておる。
赤酢って米酢よりも旨味とコクがあるのね。酸味がまろやかだから、酢じめの魚によく合うわ!
さらしをまきすのように使いながら、棒鮨を向こう側へ180°回転させます。ネタが上の状態でさらしで巻いて形を整え(画像上)、さらにまきすで締めてください(画像下)。
家庭では、さらしとまきすの代わりにラップを使ってもよいぞ。
寿司の端とまきすの端を合わせ、両サイドの酢飯をさらしで押さえます。形が整ったらまきすとさらしを外してください(画像左)。
棒鮨って、切るときに崩れやすいの!
大丈夫じゃ。簡単にきれいに切れる切り方を解説するぞ。
カマスの棒鮨の作り方⑥切って盛り付ける
棒鮨を切ります。切り方のポイントは、ネタの部分と酢飯の部分で切り方を変えることです。ネタの部分は刺身を切る要領で、包丁を引いて切ります(画像左)。ネタを切り終わって刃が酢飯に当たったら、左手で包丁のみねをトンと叩いて一気に切りましょう。
直火調理可能な容器に寿司をのせ、煮切り醤油を適量塗ります(画像左)。煮切り醤油は、醤油、みりん、酒、だしなどを合わせ加え、煮切って作る醤油です。醤油の香りや味がまろやかになり、素材の味が一層引き立ちます。皮目をバーナーで炙りましょう(画像右)。皮が食べやすくなり、食感と香りがプラスされます。
お好みで、すりおろしたユズやスダチなどを添えます。カマスの棒鮨の完成です。
カマスを棒鮨にしてみよう
カマスはスーパーなどでもよく見かけますし、釣り魚としても人気です。カマスのおいしい食べ方として、今回はカマスの棒鮨をご紹介しました。干物や塩焼きもおいしいですが、手間を加えて棒鮨にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
参考動画
本記事は銀座渡利様のYouTubeチャンネルを参考にさせていただきました。本職の板前が魚の捌き方から調理法までていねいに解説してくれます。よろしければぜひご覧ください。
出典:写真AC