瀬戸内海の夏の味マナガツオ
マナガツオは、スズキ目マナガツオ科の海水魚です。「カツオ」の名がついていますが、スズキ目サバ科に属するカツオとは異なります。見た目もカツオとは違って、平たいひし形に近い形です。マナガツオは東日本ではほとんど獲れません。西日本では初夏の高級魚として知られ、夏に産卵のために瀬戸内海に回遊してきたところを漁獲します。最近では流通の発達により東日本でも出回るようになりました。
名前の由来
「マナガツオ」の名の由来には諸説あります。カツオが獲れない瀬戸内海で初夏に獲れるマナガツオを、カツオに見立てて「真似鰹」から転じたというのが一説です。また、「まな」が親愛を表す言葉で、真においしいカツオ「真名鰹」と呼ばれたともいわれます。あるいは、真に菜としておいしい魚という意味で「真菜鰹」となったのかもしれません。
マナガツオのさばき方には、普通の魚と違う注意もあるぞ。じゃが、刺身、切り身、あら、どの部分をどう食べるにせよ、さばき方は同様じゃ。
マナガツオのさばき方①うろこを取る
まずうろこを取ります。マナガツオのうろこは、小さくて取れやすいです。鮮度が悪いと、うろこがほとんど落ちてしまいます。画像のように包丁でも簡単に取れますが、金だわしでこすってもよいでしょう。ひれのつけ根のうろこまでていねいに落とします。
次は頭と内臓を取るぞ。頭をV字形に切り落とすのがポイントじゃ。
マナガツオのさばき方②頭と内臓を取る
次に頭を落としましょう。普通の魚は胸びれと腹びれを結んだ線で頭を落とします。しかしマナガツオには腹びれがありません。そこで、画像の位置に切れ目を入れます。内臓に傷をつけないようにしましょう。
上側は、頭の骨が終わる位置と胸びれを結ぶ線で切ります。包丁は背中側に倒して切り込みましょう。表側にV字形に切れ目が入ったら裏返し、裏側にも同じ位置に切れ目を入れ、背骨を断ち切ります。まだ頭は外しません。
マナガツオは刺身も切り身もたっぷり取れる魚なのじゃ♪
続いて内臓を取ります。尻に包丁の刃先を入れて頭側に向かって切り、腹を開いてください。頭を腹側に引き下ろし、一緒に内臓を出します。
腹に内臓が残ったら、全部出してください。背骨近くの血合いを包丁の刃先で掃除します。腹の中までよく洗い、水気をよく取りましょう。
マナガツオのさばき方は難しいって、本当?
うむ、マナガツオは身はしっかりしておるが、骨がやわらかいのじゃ。さばき方のポイントを解説していこう。
マナガツオのさばき方③2枚におろす
下身(頭を左にしたときに下になる側の身)を切り離して2枚におろします。まず、刃先で下側のひれのきわに包丁を入れてください(画像左)。中骨の上をこすりながら刃を進め、背骨まで切り込んでいきます(画像右)。体形が平たく背骨までが遠いので、一度に切ろうとしないで少しずつ刃を進めましょう。
魚の向きを変えて、下身の背側から切り込みます。腹側と同様にひれのきわにぐるりと刃を入れてから(画像左)、中骨に沿って背骨まで切り進みましょう(画像右)。
身を持ちあげるようにしながら、背骨から横に張り出している血合い骨を断ち切ります。これで下身が外れ、2枚におろせました。
マナガツオのさばき方④裏おろしで3枚におろす
今度は上身と中骨をおろします。まずは普通の3枚おろしのように中骨を下にして置き、ひれのきわにぐるりと1周切れ目を入れてください(画像左)。そのまま普通にさばいてもよいですが、裏おろしのほうがさばきやすいかもしれません。その場合は中骨が上になるように置きます。左手で中骨を押さえて、包丁の刃にやや上向きに力を加え、中骨をこするように刃を進めましょう(画像右)。
腹側の中骨は、一番手前(内臓が入っていたすぐ後ろの部分)の骨が太いです。この骨は、他の中骨と一緒におろそうとしないで、一番先か一番最後に1本だけ外すとおろしやすいかもしれません。背骨に達するまでしっかりと切り進めしょう。
向きを変えて、腹側からおろすのと同様に背側からも裏おろしします。中骨に沿って背骨まで切り込み、血合い骨を断ち切ってください。3枚おろしの完成です。
本当に骨がやわらかいのね!骨をそいで身に残ってしまったわ!
そういう場合の対処法や、小骨の処理も解説するぞ。あらも骨ごと使えるので、とっておこう。
マナガツオのさばき方⑤小骨と腹膜を処理する
マナガツオは骨がやわらかいので、おろすときに骨を削ってしまうことがあります。こうして身に残った骨は、指で触ってチェックしながら骨抜きなどで取り除けばOKです。
3枚おろしした身には、骨が2本(オレンジ点線の位置)と腹骨(緑の点線)と腹膜(水色の点線)が残っています。腹膜や腹骨ごと味噌床や醤油だれに漬け込むと、味のしみ込みがよくありません。まずオレンジ点線の骨2本を包丁の刃先で外し、画像のように腹骨(緑の点線)をそぎ落とします。
続いて腹膜(前の画像の水色の点線部分)をそぎます(画像左)。最後に皮1枚が残ったところで、包丁を立てて切り取りましょう。
血合い骨を取り除きます。魚体が小さい場合は骨抜きで抜きますが、大きい場合は血合い骨に沿って、背身と腹身に切り分けると扱いやすいです。血合い骨のぎりぎりで切り分け、血合い骨部分を切り取ります。これで5枚おろしが完成しました。
次項ではマナガツオのおいしい食べ方をご紹介するぞ。他の魚にも応用できる料理法じゃから、覚えておくと重宝するじゃろう。
変わった形の魚ね!普通にさばけるのかしら?