石垣貝とは
石垣貝(いしがきがい)は、ザルガイ科イシカケガイ属の二枚貝です。三陸沖から北の海に広く分布しており、海底50mほどの浅めの砂泥状の底に生息しています。プランクトンを食べて体を大きくする貝です。赤貝と似た貝殻をもっていますが、全く異なる種類の貝です。
市場には、岩手県陸前高田市の養殖ものが主に出回っています。
基本情報
分類 | ザルガイ科イシカゲガイ属 |
生息地 | 三陸沖以北の海に広く分布 |
身の色 | 胴体は白、足はオレンジ色 |
石垣貝が旬の時期を迎えるのは、夏の初めころからです。
石垣貝の魅力
石垣貝は、トリ貝の代替品としてすしネタで使われてきたものです。貝殻は赤貝に似ていますが、身は青柳貝と同様に足先を食します。肉厚の身は味や食感ともにホッキ貝に似ているといわれており、おいしく食べられる貝としても知られています。
石垣貝の名前の由来
石垣貝は正式な名称ではなく別名(通り名)です。本当の名称は、エゾイシカゲガイ(蝦夷石影貝)です。別名である石垣貝が通用している由来は、市場関係者にあるとされています。
市場ではかつて正式名称である「イシカゲガイ」と呼ばれていました。しかし、聞き間違いと伝聞などが相まって、いつの間にか「イシガキガイ」として広まったというのが顛末です。別名がまかり通ってしまったという事実とその由来を知ると、また違った角度から石垣貝を理解できるでしょう。
石垣貝の捌き方
貝を捌くのは難しそうと考える人もいますが、コツさえつかめばとても簡単です。ここでは銀座渡利の板前さんの動画を参考に、石垣貝の捌き方を紹介します。鮮度が良い石垣貝が手に入ったら、ぜひ自宅でチャレンジしてみましょう。
捌き方①貝を開ける
貝から身を外すには、貝柱を切り離すことから始めます。まずは、貝のどこに貝柱があるのかを覚えておきましょう。石垣貝は画像の赤丸印のところに貝柱があります。2枚貝ですので、反対側の貝の同様の位置にもあります。
貝開けナイフを二枚貝の隙間から差し入れます。貝殻に沿ってナイフを滑らせ、片側の貝柱を2ヶ所とも断ち切ります。その後、ナイフを少しだけ外に戻し、90度ひねるようにナイフを動かして貝をこじ開けてください。すると、身が片側の貝についたままの状態で貝が開きます。
身がついている側の貝殻に貝開けナイフを滑り込ませ、反対側の貝柱も断ち切ると、貝殻から身を取り出せます。貝の本体についている、糸状のヒモの部分は切り落としておきましょう。ヒモの部分も下ごしらえをすると食べられます。
おすすめの貝開けナイフ
関兼常 オイスターナイフ ケヤキ柄
参考価格: 880円
二枚貝と身を結ぶ貝柱を切り、強い力でとじている貝をこじ開けるために使います。石垣貝のような小ぶりの貝に関しては、オイスターナイフのような薄めの刃で成り立っている貝開けナイフを用いるとよいでしょう。
捌き方②身を開く
生きている貝を捌くので少しでも身に負担がかかると、オレンジ色の足に当たる部分が褪色してしまいます。摩擦による熱でもその傾向があるので、調理の前にまな板にラップフィルムやアルミ箔を敷いておくと、身への負担を防げます。
石垣貝の身は、足に当たる部分が長いのが特徴です。石垣貝は小さいので、このまま捌いて開きにします。まずは、足を下に向け、カーブがある方を包丁を入れる側に向かせます。この場合右手に包丁があるので、自分の向かって右側にカーブがある側を置きましょう。
出刃包丁を横に寝かせるように刃を入れ、中心から背割りをする要領で包丁を入れていきます。「開き」をつくるので、身を二分しないよう注意しながら刃先を入れてください。
足先まで包丁を動かして、開ける状態まで刃を入れていきます。あとは身を開いてクセをつけておきましょう。
身を開いた状態の内側です。指先に見える茶色の部分はすべてキモに当たる部分です。
キモは、包丁の先を使って丁寧にこそげ落として下さい。手のひらの熱が貝に入らないよう手早く済ませましょう。
石垣貝がさばけました。ヒモは、少量の塩をまぶしてぬめりをとっておくと食べやすくなります。身もぬめりが気になるようであれば、塩をまぶして揉んでおくとぬめりが取れますし、歯ごたえが上がります。
盛り付けの前に、氷水で振り洗いをして、身を引き締めておきましょう。ヒモも塩を洗い流して、ぬめりがない状態にしておくときれいに盛り付けられます。
捌き方③盛り付ける
もともとは生きていた貝を短時間で刺身に仕立てたのですが、刃を入れたダメージや手のひらの熱などで身は弱っています。氷水で引き締めた後は、手のひらを使って身を叩きましょう。身を叩くと、筋肉が引き締まり身が立ち上がります。盛り付けたときに新鮮さをアピールできるので、覚えておくと役立ちますよ。
体裁よく盛り付け、レモンやワサビを添えて完成です。わさび醤油で食べるのがベストです。
石垣貝と赤貝の違い
貝の形が似ていることから、赤貝と混同してしまいがちです。違いを知ることで、それぞれのおいしさを引き出した食べ方ができます。
石垣貝 | 赤貝 | |
分類 | ザルガイ科イシカゲガイ属 | リュウキュウサルボウ亜科サルボウガイ属 |
分布 | 北東北より北部の海 | 北海道南部から九州の内湾 |
身の色 | オレンジがかった白 | 赤に近いオレンジ |
旬の時期 | 初夏~秋 | 秋~春 |
赤貝には人間と同じヘモグロビンが含まれているので、鮮やかなオレンジ~赤色をしています。
石垣貝のおいしさを楽しんでみましょう
石垣貝の捌き方を中心に、旬の記事や名前の由来に関してまとめました。エゾイシカゲガイの別名が石垣貝だったという事実には驚いた人もいるのではないでしょうか。捌き方自体は簡単ですので、活石垣貝をお取り寄せしておいしく食してはいかがでしょうか。
参考動画
今回の記事は、銀座渡利様のYoutube動画を参考に作成をいたしました。
出典:写真AC